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恐喝罪で逮捕されたらどうなる?無料相談できる窓口と弁護士に依頼するメリット
2024.02.13
「私人逮捕という言葉を耳にしたことはあるが、具体的にどのような手続きかわからない」「私人逮捕をされたらどうなるか、どう対処したらいいのか知りたい」という方も多いでしょう。
私人逮捕とは、警察官などではない一般人が現行犯人を逮捕することをいいます。
私人逮捕をされてしまった場合に、その手続きが適法とはいえないケースも少なくありません。
違法性が疑われる場合は、そのことを警察などに主張してすみやかに釈放してもらうことが大切です。
また、適法に私人逮捕がおこなわれていたとしても、できるだけ早い釈放に向けて示談交渉をおこなうなど、できることはたくさんあります。
私人逮捕をされたら、まずはすぐに弁護士に相談・依頼することが大切です。
弁護士に相談・依頼すれば、適切なアドバイスをしてくれたり、示談交渉をおこなってくれたりします。
本記事では、私人逮捕の概要、要件や手続きの流れ、弁護士に相談するメリットなどについて、詳しく解説します。
「私人逮捕」とは、私人、すなわち警察官などではない一般人がおこなう逮捕のことです。
私人逮捕は、「現行犯逮捕」の場合に限って許されています。
「現行犯逮捕」とは、現行犯人または準現行犯人を逮捕することをいいます。
現行犯逮捕は、警察官などによる通常の逮捕などとは要件が異なります。
そもそも、逮捕は、原則として裁判官が発付した逮捕状がないとおこなうことができません。
逮捕状による逮捕のことを「通常逮捕」といいます。
逮捕状は、被疑者が犯罪を犯したと疑われる十分な証拠があるか、逃亡や証拠隠滅の恐れがあると裁判所が認めた場合に発付される書面です。
一方で現行犯逮捕であれば、逮捕状の発付を待つ必要がありません。
目の前で犯行に及んでいる犯人を逮捕するのに、逮捕状の発行手続きをすることはできないからです。
現行犯逮捕をした場合、被疑者を直ちに検察官や司法警察職員に引き渡さなくてはなりません。
一般人が私人逮捕をした場合は、110番で警察を呼ぶなどして被疑者を引き渡すことになるでしょう。
第二百十三条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
引用元:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索
私人逮捕が適法と認められるためには、現行犯逮捕としての要件を満たしていなければなりません。
2つの判断基準についてご説明します。
まず、私人逮捕においては、逮捕される者が「現行犯人」または「準現行犯人」であることが必要です。
「現行犯人」とは、目の前でまさに犯罪を実行している者や、目の前で犯罪を実行し終えた者のことです。
たとえば、目の前で他人に対して殴る蹴るの暴行を加え続けている者や、目の前で他人を刺した者などは、現行犯人にあたります。
「準現行犯人」とは、次のいずれかにあたる者であって、罪をおこない終わってから間がないと明らかに認められる者のことをいいます。
たとえば、「どろぼうだ! 誰かつかまえて!」と言われ逃げている者は、準現行犯人である可能性が高いでしょう。
また、血のついたナイフを片手に持ち、着ている衣服にも赤い鮮血が飛び散っている者も、準現行犯人であると考えられます。
第二百十二条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。
② 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。
引用元:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索
一定の軽微な犯罪の場合には、次のいずれかの場合に限って私人逮捕が許されます。
ここでいう軽微な犯罪とは、法定刑が30万円以下の罰金、拘留、科料にあたる罪です。
具体的には過失傷害罪や侮辱罪、軽犯罪法違反などがあげられます。
たとえば余所見をしながら歩いていて、反対側から来た歩行者にぶつかって怪我をさせてしまうと、過失傷害罪に問われる可能性が高いです。
このとき怪我をさせたものの名前や住所が分からないか逃亡の恐れがあれば、私人逮捕をすることができます。
一方、その者が知り合いで名前や住んでいる場所が分かっていて逃亡の恐れもないようなら、私人逮捕はできません。
第二百十七条 三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第二百十三条から前条までの規定を適用する。
引用元:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索
私人逮捕をされた場合、基本的には通常逮捕と同じように手続きが進みます。
本項では、私人逮捕の後に具体的にどのような流れで手続きが進むのかについて説明します。
私人逮捕をした場合、ただちに現行犯人を検察官または司法警察職員に引き渡す必要があります(刑事訴訟法214条)。
司法警察職員の代表的な例は警察官です。
私人逮捕をしたあと、現行犯人を警察官などへすぐに引き渡さず、長時間にわたって事情を問いただしたりすることは許されていません。
現行犯人が警察官などに引き渡された後は、通常逮捕と同じ手続きが進められます(同法216条)。
警察では、まず被疑者の取り調べをおこないます。
被疑者は、身に覚えがないならその旨を主張することもできますし、罪を認めることもできます。
また、黙秘権を行使して最初から最後まで何も話さないでいることもできます。
警察は、被疑者を取り調べたうえで引き続き身体拘束をする必要がないと判断したときには、ただちに被疑者を釈放します。
引き続き身体拘束をする必要があると判断した場合には、逮捕した時点から48時間以内に検察官に被疑者を送致する手続きをとります(刑事訴訟法203条1項)。
検察官は、被疑者が警察から引き渡されたあと、あらためて取り調べをおこないます。
そのうえで、検察官が身体拘束を続ける必要がないと判断した場合、被疑者はただちに釈放されます。
引き続き身体拘束をする必要があると判断した場合には、被疑者を引き渡されてから24時間以内に裁判官に勾留請求をします(刑事訴訟法205条1項)。
まとめると、釈放される場合を除いて、逮捕された時から72時間以内(3日以内)に勾留請求がおこなわれるわけです。
勾留請求を受けた裁判官は被疑者に勾留質問をおこない、勾留する必要があると判断した場合に勾留状を発します(刑事訴訟法207条5項)。
勾留は原則10日間ですが、捜査の進捗状況などに応じて最大で20日間にまで延長されることがあります(同法208条)。
実際のところ、軽微な事件でなければ最大限の20日間にわたって勾留が続くのが一般的です。
その後、検察官は最大20日間の勾留期間が満了するまでに起訴するかしないかの判断をします。
起訴するべきと判断した場合、検察官は公訴を提起し、刑事裁判の手続きが始まります。
不起訴処分にするべきと判断したときには、検察官は勾留期間の満了に合わせて不起訴処分を決定するとともに、被疑者を釈放します。
処分保留で釈放された場合、起訴・不起訴のいずれの処分にするかを決めないでとりあえず釈放することとし、引き続き捜査を続けることもあります。
この場合を処分保留釈放といいます。
処分保留のまま釈放されたら、後で起訴するか不起訴にするかが決定されます。
起訴・不起訴の処分を決めるまでの時間制限は特にないため、起訴・不起訴の処分が決まるまでに長い時間がかかることもあります。
起訴された場合には、刑事裁判の手続きが始まります。
刑事裁判には、正式裁判と略式裁判があります。
正式裁判では、起訴された者が法廷に出廷したうえで審理がおこなわれます。
略式裁判は、法廷が開かれるわけではなく裁判官が書類に基づき審理をおこなうものです。
略式裁判では、100万円以下の罰金または科料に限って刑を言い渡すことができます。
私人逮捕は警察官などの権限ある公務員による逮捕と異なり、さまざまなトラブルが生じやすいです。
私人逮捕に関連するトラブル事例4つを紹介します。
私人逮捕が許されるのは現行犯逮捕のケースだけです。
現行犯人や準現行犯人でない者を一般人が逮捕することはできません。
正当な理由がなく私人逮捕に及んだ場合、逮捕罪(刑法220条)が成立し警察から摘発される可能性があります。
また、正当な理由なしに相手を逮捕しようとした場合は、民事上も不法行為責任が発生して損害賠償の義務を負うこともあり得ます(民法709条)。
現行犯人を私人逮捕したら、逮捕後すぐに警察官などに引き渡さなければなりません。
犯人を引き渡さないまま、長時間にわたり事情を問いただしたりすることは、許されていません。
一般人が犯人を拘束し続けると、逮捕罪や監禁罪(刑法220条)が適用される可能性もあります。
また、民事上の不法行為が成立して損害賠償義務が発生することもありえます。
私人逮捕をしたものの、実際には相手が罪を犯しておらず誤認逮捕だったということもあり得ます。
私人逮捕後ただちに警察官などに引き渡せば、警察官が相手の言い分を聞くなどするので、誤認逮捕かどうかが明らかになりやすいです。
私人逮捕をしたら、手続きのルールを守ってただちに警察官などに引き渡すことが重要です。
なお、本当に現行犯人であると信じて私人逮捕に及んだのであれば、結果的に誤認逮捕だったとしてもその行為について逮捕罪や監禁罪が成立する可能性は低いです。
過失によって逮捕罪や監禁罪にあたる行為をした場合には、その行為は刑事罰の対象とはなりません。
ただし、民事上の不法行為責任は過失によっても負うことがあるので、事情によっては損害賠償義務を負うことはあり得ます。
私人逮捕にあたり、相手に対し殴る蹴るなどの暴力を加えることは許されません。
私人逮捕の際に、相手に対し暴力を加えたりそれによってけがをさせたりした場合には、暴行罪(刑法208条)や傷害罪(同法204条)が成立することもあります。
もちろん、民事上の不法行為責任に基づく損害賠償義務を負うことも考えられます。
なお、私人逮捕の際に現行犯人が暴れて抵抗したなどの場合には、一定の限度で実力行使をすることも正当な行為(刑法35条)として許されます。
このような実力の行使は、その際の状況からみて社会通念上逮捕のために必要かつ相当と認められる限度内のものであることが求められます。
たとえば、次のようなケースでは、その実力行使が必要かつ相当なものとして許される可能性があります。
逆に、次のようなケースは、過剰な暴力であるとして許されない可能性があります。
二 現行犯逮捕をしようとする場合において、現行犯人から抵抗を受けたときは、逮捕をしようとする者は、警察官であると私人であるとを問わず、その際の状況からみて社会通念上逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内の実力を行使することが許され、たとえその実力の行使が刑罰法令に触れることがあるとしても、刑法三五条により罰せられない。
引用元:裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan
通常逮捕をされた場合はもちろん、私人逮捕をされた場合にもできるだけすぐに弁護士を呼ぶことが推奨されます。
本項では、逮捕された際にすぐに弁護士を呼ぶべき理由3つを説明します。
逮捕されると、その後警察の取り調べが始まります。
弁護士を呼ぶことで、取り調べの際にどのように対応するべきかのアドバイスを受けることができます。
取り調べにどう対応するかは、非常に重要です。
もし罪を犯していないのであれば、その旨をしっかり主張しなくてはなりません。
また仮に罪を犯していたとしても、実際にはしていない犯罪行為まで自分の行為と疑われないようにする必要があります。
被疑者が取り調べの場で話したことは、供述調書に記録されます。
供述調書は検察官や裁判官が参照し、勾留するかどうかの判断材料や刑事裁判の際の証拠として扱われます。
このため、供述調書にどのようなことが記載されているかがとても重要になるのです。
警察は、必ずしも正確に供述調書をつくってくれるとは限りません。
警察が被疑者を真犯人だと思い込み、不適切な取り調べがおこなわれることもあるのです。
その結果、被疑者にとって不利な供述調書が作成されてしまうことも考えられます。
取り調べに際し、自分にとって不利な供述調書がつくられるのを防ぐためには、黙秘権を行使する方法もあります。
黙秘権を行使したうえで弁護士を呼び、弁護士のアドバイスを求めるのも有効な方法です。
犯罪行為をおこなったのが事実で被害者がいる場合には、被害者との間で示談を成立させることが重要です。
逮捕後すぐに弁護士に依頼すれば、示談の成立に向けた交渉を任せることができます。
逮捕直後に示談が成立すれば、勾留されずに釈放されることも少なくありません。
また、勾留されたあとでも示談が成立すれば、釈放され不起訴処分となる可能性もあります。
加害者やその家族などが、被害者との間で直接示談交渉をすることはあまりありません。
そもそも弁護士が相手でなければ、被害者やその家族が連絡先を教えてくれないということがほとんどです。
弁護士に依頼すれば、被害者の連絡先を教えてもらったうえで、示談交渉に望める可能性が高まります。
また、弁護士であればどの程度の額を示談金として支払えばいいかも把握しているので、適切な額の示談金を提示して交渉することができます。
逮捕直後は、警察が家族などに連絡してくれるとは限りません。
家族の知らないところで逮捕されてしまえば、家族は被疑者が逮捕されたことを知らずに行方不明になったと誤解してしまうケースもありえるのです。
逮捕直後に弁護士を呼べば、弁護士が家族に連絡をとって状況を説明してくれます。
また、逮捕されると最大で72時間身体拘束が続き、その後に勾留までされるとさらに最大20日間身体拘束が続きます。
会社員などであれば、無断欠勤が続くことになって会社を解雇されることにもつながりかねません。
弁護士に依頼すれば、あなたと相談したうえで、どのように会社に説明すればいいのか考えてくれます。
これにより、無断欠勤によって解雇されるのを防止できるのです。
私人逮捕に関するよくある質問をご紹介します。
現行犯人かどうかの判断基準として、「犯罪および犯人の明白性」があげられます。
簡単に言えば、犯罪がおこなわれたことと相手が犯人であることが明白であることです。
単に「あやしい」というだけでは、この要件を満たすことはできません。
犯罪および犯人の明白性は、客観的な事情にもとづいて総合的に判断されます。
客観的な根拠もなく主観的に確信していたというだけでは、明白性は認められません。
反対にこの要件を満たしたうえで、それが誤認逮捕だった場合は、刑事上・民事上の責任を問われる可能性は低いと考えられます。
私人逮捕したからといって、そのことで何か報酬がもらえるということはありません。
私人逮捕は、あくまでも現行犯人を逃さずに捕まえて処罰につなげるための刑事手続きのひとつです。
報酬目当てでおこなうものではありません。
もっとも、警察が懸賞金をつけて犯人を指名手配しており、その犯人が新たに何らかの犯罪をおこなった際に私人逮捕をしたケースなどでは、その懸賞金を受け取れることはあり得ます。
ただし、このケースではあくまでも過去の犯罪に関する懸賞金を受け取っているにすぎず、私人逮捕をしたことに対して報酬が支払われたわけではありません。
また懸賞金つきの犯人を単に見つけたというだけでは、その時点で現行犯逮捕の要件を満たしていないので、私人逮捕をすることはできません。
私人逮捕は、法律上の要件を満たしていないことも少なくありません。
私人逮捕をされたものの、それが適法とは言えないのであれば、そのことを指摘して身体拘束からの解放を求めることができます。
弁護士に依頼すれば、私人逮捕の手続きが適法なものでなかったかどうかしっかり確認して捜査機関に伝えてくれます。
また、実際に罪を犯しており適法に私人逮捕をされた場合でも、取り調べ対応のアドバイスや示談交渉など弁護士におこなってもらうべき活動は多いです。
私人逮捕をされたらすぐに弁護士に相談・依頼することで、迅速な身柄解放を実現できるケースもあります。
弁護士に相談しないまま時間が経つと、その分だけ身体拘束の期間が長期化するなど、さまざまな不利益が生じる可能性が高まるのです。
もしも自分や家族が何らかの事情で私人逮捕をされてしまったら、できるだけ速やかに弁護士に相談し、必要に応じて弁護活動を依頼しましょう。
参考:私人逮捕は違法ではない?|条件・誤認だった場合の責任など | 弁護士法人泉総合法律事務所