その他刑事事件
恐喝罪で逮捕されたらどうなる?無料相談できる窓口と弁護士に依頼するメリット
2024.02.13
犯罪の疑いで捜査の対象になると、最終的には「前科」または「前歴」がつくことになります。
前科や前歴が実際の生活に影響する場面は、ほとんどありません。
ただし前科については、再犯や就職活動の場面で影響が生じることがある点に注意が必要です。
今回は前科と前歴について、両者の違いや生活への影響、刑事手続きの流れなどをまとめました。
「前科」と「前歴」は、いずれも法律上の用語ではありませんが、犯罪に関する経歴を表す言葉として広く用いられています。
「前科」とは、犯罪について刑罰を受けた経歴を意味します。
刑事裁判で有罪判決が確定すると、前科が付きます。
これに対して、犯罪捜査の対象となっているに過ぎない場合や、不起訴処分となった場合などには前科は付きません。
「前歴」とは、犯罪捜査の対象となった経歴を意味します。
前科とは異なり、有罪判決が確定しなくても、捜査の対象になれば前歴として取り扱われます。
不起訴処分となった場合や、無罪判決が確定した場合も前歴となります。
前歴については、社会生活に与える影響は特にありません。
ただし、捜査機関の内部では前歴情報が管理されており、再度捜査の対象となった際に考慮されることがあります。
これに対して前科には、前歴とは異なる以下のデメリットがあります。
前科がある人が再び罪を犯すと、刑法上の「再犯」となる場合があります。
再犯となるのは、懲役刑の執行が終わった日などから5年以内にさらに罪を犯し、有期懲役に処せられる場合です(刑法第56条)。
再犯については、法定刑の長期(上限)が2倍となります(刑法第57条)。
ただし、有期懲役刑の上限は30年です(刑法第14条2項)。
就職活動などの際に提出する履歴書に賞罰欄が設けられている場合、前科があれば記載を要すると解されています(仙台地裁昭和60年9月19日判決等)。
前科があるにもかかわらず賞罰欄に記載しないと、経歴詐称として解雇等の原因になる可能性があるのでご注意ください。
ただし、以下の期間が経過すると刑が消滅し(刑法第34条の2)、前科として賞罰欄に記載することは不要となります。
前科がつく(有罪判決が確定する)までの刑事手続きの流れは、以下のとおりです。
犯罪捜査は、逮捕・勾留による身柄拘束の下で進められる場合(=身柄事件)と、身柄拘束をせず被疑者在宅のまま進められる場合(=在宅事件)があります。
重大な犯罪であり、被疑者の逃亡や罪証隠滅を防ぐ必要性が高い場合は、身柄事件となることが多いです。
身柄事件では、逮捕・勾留の期間は最長通算23日間で、その間に起訴・不起訴の判断が行われます。
一方、軽微な犯罪の場合や逃亡・罪証隠滅のおそれがない場合は、在宅のまま捜査が行われることが多いです。
在宅事件では、起訴・不起訴の判断が行われる時期はまちまちです。
被疑者の嫌疑が確実であり、処罰の必要性が高いと判断した場合、検察官は被疑者を起訴します。
勾留されている被疑者については、起訴後も引き続き身柄が拘束されます(起訴後勾留)。
なお、100万円以下の罰金または科料を求刑する場合は、略式起訴が選択されることもあります(刑事訴訟法第461条)。
被疑者が略式起訴に同意した場合、罰金または科料を納付すれば刑事手続きが終了します。
この場合も、犯罪について刑罰を受けることになるので、前科が付きます。
正式起訴された被告人については、刑事裁判によって有罪・無罪および量刑が審理されます。
公判手続きは、検察官が被告人の犯罪事実を立証し、被告人がそれに反論する形で進行します。
被告人の方針としては、無罪を主張して全面的に争うパターンと、有罪を認めて量刑だけを争うパターンの2つに大別されます。
公判手続きの審理が熟した段階で、裁判所が判決を言い渡します。
第一審判決に対しては控訴、控訴審判決に対しては上告による不服申立てが認められています。
控訴・上告を経て判決が確定し、有罪であれば刑が執行されます(執行猶予付き判決の場合を除く)。
執行猶予付きの場合を含めて、有罪判決が確定すれば前科が付くことになります。
前科がつかず、前歴が残るにとどまる場合には、以下の3つのパターンがあります。
警察官による取調べを何度か受けたものの、結局逮捕されることなく、そのまま不起訴となることがあります。
この場合、前歴にはなりますが、前科は付きません。
比較的軽微な犯罪事案や、証拠が不十分なケースでは、身柄拘束されないまま不起訴となることが多いです。
不起訴処分となっても被疑者に対して通知はされませんが、検察庁に確認すれば教えてもらえます。
逮捕・勾留による身柄拘束が行われても、検察官の判断によって不起訴処分となり、釈放されることがあります。
この場合も、前歴にはなるものの前科は付きません。
証拠不十分の場合などに加えて、嫌疑が確実であっても、社会における更生が適当と判断されて不起訴となるケースもあります(=起訴猶予)。
軽微な犯罪事案や、被害者に対して十分な被害弁償が行われたケースなどでは、起訴猶予となる可能性が高いです。
日本では少数ですが、検察官によって起訴されたものの、刑事裁判で無罪となるケースもあります。
この場合も、前歴として取り扱われるものの、前科は付きません。
被告人が刑事裁判で無罪となるケースとしては、真犯人が別にいることがわかった場合、犯罪の故意が否定された場合、被告人の行為と被害結果の間の因果関係が否定された場合などが挙げられます。
前科と前歴について、よくある質問とその回答をまとめました。
積極的に前科や前歴を申告する義務はありません。
ただし、履歴書に賞罰欄が設けられている場合、前科については記載する必要があります(消滅した刑を除く)。
前科については、刑の消滅の制度が設けられています(刑法第34条の2「2-2. 前科は履歴書の賞罰欄に記載を要する」参照)。
これに対して前歴は、消滅に関する法律上の制度が設けられていません。
懲役刑または禁錮刑の執行猶予中の前科がある場合は、旅券(パスポート)が発給されない場合があります(旅券法第13条1項3号)。
ただし、常に旅券が発給されないわけではなく、外務大臣または領事館の判断によります。
また、渡航先の法規制によっては、前科がある人は滞在が認められないこともあるので注意が必要です。
これに対して前歴については、海外旅行に対する影響は特にありません。
重大犯罪の前科については、婚姻を継続し難い重大な事由(民法第770条1項5号)に該当し、離婚事由となる場合があります。
実際に離婚事由に該当するか否かは、離婚訴訟において判断されます。
これに対して、前歴が離婚事由に該当する可能性は低いです。
捜査機関に犯罪を疑われた場合は、速やかに弁護士へ相談することが大切です。
弁護士に適切な弁護活動を行ってもらえれば、重い刑事処分の回避に繋がります。
刑事弁護を弁護士に依頼する際には、主に以下の費用が発生します。
「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考に、各弁護士費用の目安額(いずれも税込)を紹介します。
あくまでも目安なので、実際に発生する弁護士費用の金額・仕組みは、相談先の弁護士へご確認ください。
正式な依頼前の相談料は、30分当たり5,500円程度が標準的です。
ただし、無料相談を受け付けている弁護士も多いです。
刑事弁護の着手金額は、事件の難易度などに応じて変動します。
<刑事弁護の着手金額の目安>
起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審) | 22万円~55万円 |
上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審) 再審事件 | 22万円~55万円以上 |
※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。
①特段の事件の複雑さ・困難さ・煩雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力または時間を要しないと見込まれる事件であること
②起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公開法廷数が2,3回程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く)であること
刑事弁護の報酬金額は、最終的に被疑者・被告人が受けた刑事処分の内容によって変動します。
<刑事弁護の報酬金額の目安>
起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審) | <起訴前> 不起訴:22万円~55万円 求略式命令:不起訴の報酬金額を超えない額 <起訴後> 刑の執行猶予:22万円~55万円 求刑された刑が軽減された場合:刑の執行猶予の報酬金額を超えない額 |
上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審) 再審事件 | <起訴前> 不起訴:22万円~55万円以上 求略式命令:22万円~55万円以上 <起訴後> 無罪:55万円以上 刑の執行猶予:22万円~55万円以上 求刑された刑が軽減された場合:軽減の程度による相当額 検察官上訴が棄却された場合:22万円~55万円以上 |
※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。
①特段の事件の複雑さ・困難さ・煩雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力または時間を要しないと見込まれる事件であること
②起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公開法廷数が2,3回程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く)であること
刑事弁護の日当額は、出張に要する時間を基準に決められるのが一般的です。
<刑事弁護の日当額の目安>
半日(往復2時間超4時間以内) | 3万3,000円以上5万5,000円以下 |
一日(往復4時間超) | 5万5,000円以上11万円以下 |
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