喧嘩をしたら後日警察から呼び出しが……逮捕される可能性は?

喧嘩をしたら後日警察から呼び出しが……逮捕される可能性は?

他人と喧嘩をして暴力を振るった場合、暴行罪や傷害罪などで逮捕される可能性があります。

喧嘩で逮捕されると、身柄拘束された上で警察官や検察官の取調べを受けることになります。

過酷な状況下で取調べを受けることは、肉体的・精神的に大きな負担です。

喧嘩による逮捕や重い刑事処分を避けるためには、早い段階で弁護士にご相談ください。

今回は喧嘩について成立する犯罪や、喧嘩をした当事者が逮捕される可能性などについて解説します。

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この記事を監修した弁護士
阿部 由羅
阿部 由羅弁護士(ゆら総合法律事務所)
ゆら総合法律事務所の代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

喧嘩について成立する犯罪

他人と喧嘩をした場合、以下の犯罪が成立する可能性があります。

  • 暴行罪
  • 傷害罪
  • 傷害致死罪・殺人罪
  • 器物損壊罪
  • 決闘罪

暴行罪

喧嘩の過程で他人に暴力を振るったものの、その他人がケガをしなかった場合は「暴行罪」が成立します(刑法第208条)。

暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。

傷害罪

喧嘩の過程で他人に暴力を振るい、その他人がケガをした場合は「傷害罪」が成立します(刑法第204条)。

傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

傷害致死罪・殺人罪

喧嘩の過程で他人に暴力を振るい、その他人が死亡した場合は「傷害致死罪」が成立します(刑法第205条)。

傷害致死罪の法定刑は「3年以上(20年以下)の有期懲役」です。

また、殺意を持って暴力を振るい、他人を死亡させた場合は「殺人罪」が成立します(刑法第199条)。

殺人罪の法定刑は「死刑または無期もしくは5年以上の懲役」です。

器物損壊罪

喧嘩の過程で物を壊した場合は「器物損壊罪」が成立します(刑法第261条)。

器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料」です。

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決闘罪

いわゆる「タイマン」などの決闘※を挑み、または決闘に応じた場合は「6か月以上2年以下の懲役」に処されます(明治二十二年法律第三十四号(決闘罪ニ関スル件)1条)。

決闘:当事者間の合意により、相互に身体または生命を害すべき暴行をもって争闘する行為(最高裁昭和26年3月16日判決)

また、実際に決闘を行った場合は「2年以上5年以下の懲役」に処されます(同法第2条)。

なお、決闘によって他人を殺傷した場合は、決闘罪ではなく刑法の規定(傷害罪・傷害致死罪・殺人罪)によって処断されます(明治二十二年法律第三十四号(決闘罪ニ関スル件)3条)。

相手が先に暴力を振るってきた場合の取り扱い

喧嘩による犯罪が問題になるケースでは、相手が先に暴力を振るってきて、やむを得ず応戦したという例もあります。

この場合は「正当防衛」が成立することがありますが、応戦の内容によっては犯罪となることもあるので注意が必要です。

「正当防衛」が成立することがある

以下の3つの要件を満たした場合には「正当防衛」が成立し、不可罰となります(刑法第36条1項)。

  • 急迫不正の侵害

急迫不正の侵害今にも殴られそうである、あるいはすでに殴られているなど、違法な法益侵害の危険が切迫していることが必要です。

  • 防衛の意思

急迫不正の侵害を認識し、これを避けようとする目的を有していたことが必要です。

  • やむを得ずにした行為

急迫不正の侵害を排除するために、必要かつ相当な範囲内の反撃であることが必要です。

やり過ぎると「過剰防衛」に当たる

急迫不正の侵害と防衛の意思は認められるものの、反撃の程度がやむを得ない(必要かつ相当な)範囲を超えた場合「過剰防衛」が成立します(刑法第36条2項)。

過剰防衛が成立する場合、情状によって刑の減軽または免除が認められることがあります。

しかし正当防衛とは異なり、犯罪には該当する点に注意が必要です。

「積極的加害行為」がある場合は、過剰防衛にも当たらない(通常の犯罪)

防衛に名を借りて、侵害者に対して積極的に攻撃を加える行為(=積極的加害行為)がなされた場合は、防衛の意思が否定されます(最高裁昭和50年11月28日判決)。

たとえば、日頃から恨みを持っている相手から喧嘩を仕掛けられ、「待ってました」とばかりに激しい暴力を振るうのが積極的加害行為の典型例です。

積極的加害行為については防衛の意思が否定されるため、正当防衛も過剰防衛も成立しません。

この場合、傷害罪などの通常の法定刑によって処罰されます。

喧嘩で逮捕される可能性はどのくらい?

喧嘩をした人が逮捕されるかどうかは、事案の内容や警察の現場判断によるため一概に言えません。

ただし一般的に、相手にケガをさせた場合には逮捕される可能性が高いです。

ケガの程度が重傷であればあるほど、逮捕の可能性は高まります。

現行犯逮捕されなくても、喧嘩相手の被害届などをきっかけとして、後日逮捕されることもあり得ます。

喧嘩をしてしまったら、逮捕される可能性があることを踏まえて、早めに弁護士のアドバイスを受けましょう。

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喧嘩で逮捕された場合の手続き

喧嘩で逮捕された場合、以下の流れで刑事手続きが進行します。

  1. 逮捕による身柄拘束|最長72時間
  2. 検察官による勾留請求
  3. 勾留による身柄拘束|最長20日間
  4. 検察官による起訴・不起訴の判断
  5. 起訴後勾留・公判手続き
  6. 刑の確定・執行(または執行猶予)

逮捕による身柄拘束|最長72時間

逮捕による身柄拘束は、最長で72時間(3日間)続きます(刑事訴訟法第205条2項)。

その間、警察官や検察官による取調べが行われます。

相手がケガをしていない比較的軽微な事案では、逮捕期間が満了する前に釈放されるケースもあります。

検察官による勾留請求

被疑者の逃亡または罪証隠滅のおそれを防ぐため、引き続き身柄を拘束する必要があると判断した場合、検察官は逮捕期間が満了するまでに、裁判官に対して勾留請求を行います。

裁判官は、勾留の理由と必要性があると判断すれば、勾留状を発行します(刑事訴訟法第207条5項)。

勾留による身柄拘束|最長20日間

裁判官によって勾留状が発せられた場合、被疑者の身柄拘束は逮捕から勾留へ移行します。

勾留期間は当初10日間、延長された場合は最長20日間です。

勾留期間中も、逮捕期間に引き続いて取調べが行われます。

検察官による起訴・不起訴の判断

検察官は勾留期間が満了するまでに、被疑者を起訴するかどうか判断します。

比較的軽微な犯罪については、嫌疑が確実な場合でも不起訴(起訴猶予)となることがあります。

被害者と示談が成立すると、不起訴となる可能性が高まります。

なお100万円以下の罰金または科料が求刑される場合は、公判手続きによる正式起訴ではなく、略式起訴が選択されることもあります(刑事訴訟法第461条)。

略式起訴に被疑者が同意すれば、罰金等の納付を条件に身柄が釈放されます。

起訴後勾留・公判手続き

検察官によって正式起訴された被疑者は、「被告人」へと呼称が変わり、起訴後勾留として引き続き身柄が拘束されます。

起訴後勾留期間中は、裁判所に対して保釈の請求が可能です(刑事訴訟法第89条、90条)。

正式起訴から1か月程度が経過した時期に、公判手続きが開催されます。

公判手続きでは、検察官が犯罪事実等を立証し、被告人がそれに反論する形で有罪・無罪および量刑の審理が行われます。

刑の確定・執行(または執行猶予)

公判手続きの審理が熟した段階で、裁判所が判決を言い渡します。

判決に対しては、控訴・上告による不服申立てが認められています。

控訴・上告を経て有罪判決が確定すると、刑が執行されます。

ただし、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金については執行猶予が付されることがあります(刑法第25条1項)。

喧嘩で警察に呼び出された(逮捕された)場合の注意点

喧嘩をしたことについて警察に呼び出され、または逮捕された場合には、以下の各点に留意してご対応ください。

  • 被疑者には黙秘権がある|供述する内容は慎重に検討すべき
  • 相手方との示談が成立すると、重い処分を回避しやすくなる
  • 早期に弁護士のアドバイスを求めるべき

被疑者には黙秘権がある|供述する内容は慎重に検討すべき

刑事事件の被疑者には、憲法によって黙秘権が保障されています。

完全に黙っていることもできますし、話したいことだけ話すことも可能です。

取調べにおける供述は、刑事裁判の証拠となる可能性があります。

不本意な供述によって不利な立場に追い込まれないように、供述する内容は慎重に検討しましょう。

相手方との示談が成立すると、重い処分を回避しやすくなる

ケガをさせた被害者(喧嘩相手)との示談が成立すると、重い刑事処分を回避できる可能性が高まります。

弁護士を通じて示談交渉を行い、適正な金額での示談成立を目指しましょう。

早期に弁護士のアドバイスを求めるべき

犯罪捜査の対象になったら、早期に弁護士のアドバイスを求めることが大切です。

取調べの心構えについて助言を受けられるほか、示談交渉についても早い段階で着手してもらえば、起訴を避けられる可能性があります。

依頼できる弁護士に心当たりがない場合は、「ベンナビ刑事事件」の弁護士検索をご利用ください。

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喧嘩の刑事弁護を依頼する際の弁護士費用

喧嘩の刑事弁護を弁護士に依頼する際には、主に以下の弁護士費用がかかります。

  • 相談料
    刑事弁護を正式に依頼する前の法律相談について発生します。
  • 着手金
    弁護士と委任契約を締結して、正式に刑事弁護を依頼した際に支払います。
  • 報酬金
    弁護士による刑事弁護の対応が終了した際に、事件の結果に応じて発生します。
  • 日当
    刑事弁護の対応に関する、弁護士の出張に対して発生します。
    (例)逮捕・勾留されている被疑者の接見、示談交渉のための被害者宅への訪問、公判手続き(刑事裁判)への出廷など

「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考に、各弁護士費用の目安額(いずれも税込)を紹介します。

実際の弁護士費用は、相談先の弁護士へ個別にご確認ください。

相談料の目安

喧嘩の刑事弁護に関する相談料は、30分当たり5,500円程度が標準的です。

ただし、弁護士によっては無料相談を受け付けています。

着手金の目安

喧嘩の刑事弁護を依頼する際の着手金額は、事案の内容や複雑さに応じて決定されることが多いです。

<喧嘩の刑事弁護に関する着手金額の目安>

起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審)22万円~55万円
上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審)

再審事件

22万円~55万円以上

※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。

①特段の事件の複雑さ・困難さ・煩雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力または時間を要しないと見込まれる事件であること

②起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公開法廷数が2,3回程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く)であること

報酬金の目安

喧嘩の刑事弁護に関する報酬金額は、最終的な刑事処分の内容によって決まることが多いです。

<喧嘩の刑事弁護に関する報酬金額の目安>

起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審)<起訴前>
不起訴:22万円~55万円
求略式命令:不起訴の報酬金額を超えない額
<起訴後>
刑の執行猶予:22万円~55万円
求刑された刑が軽減された場合:刑の執行猶予の報酬金額を超えない額
上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審)
再審事件
<起訴前>
不起訴:22万円~55万円以上
求略式命令:22万円~55万円以上
<起訴後>
無罪:55万円以上
刑の執行猶予:22万円~55万円以上
求刑された刑が軽減された場合:軽減の程度による相当額
検察官上訴が棄却された場合:22万円~55万円以上

※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。

①特段の事件の複雑さ・困難さ・煩雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力または時間を要しないと見込まれる事件であること

②起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公開法廷数が2,3回程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く)であること

日当の目安

喧嘩の刑事弁護について発生する日当額は、弁護士が出張する際の拘束時間に応じて決まることが多いです。

<喧嘩の刑事弁護に関する日当額の目安>

半日(往復2時間超4時間以内)3万3,000円以上5万5,000円以下
一日(往復4時間超)5万5,000円以上11万円以下

喧嘩の刑事弁護を依頼する弁護士を探すなら「ベンナビ刑事事件」

喧嘩の刑事弁護を依頼できる弁護士に心当たりがない方は、「ベンナビ刑事事件」を利用するのが便利です。

相談内容や地域に応じて、スムーズに弁護士を検索できます。

また、「ベンナビ刑事事件」には無料相談を受け付けている弁護士も多数登録されているので、弁護士費用を抑えながら依頼したい方にもおすすめです。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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