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恐喝罪で逮捕されたらどうなる?無料相談できる窓口と弁護士に依頼するメリット
2024.02.13
上記の行為は、業務上横領罪に該当する可能性があります。
業務上横領罪は最大で10年の懲役刑が科されることとなる、非常に罪が重い犯罪です。
また、場合によっては逮捕されてしまうこともあります。
一方で、窃盗やそのほかの犯罪とは区別がつきにくく、自分のやっている行為が横領にあたるのかどうかなかなか判断がつきにくいのも事実です。
罪の意識がないまま業務上横領罪を犯している方も多く、業務上横領罪にあたるのはどのようなケースで、罪を犯してしまった場合の量刑などを理解しておくことはとても重要です。
そこで、本記事では、業務上横領罪の具体的な例を交えて解説しつつ、逮捕されてしまった場合やや罪を犯してしまった場合に、どのように対処すればよいのかについて紹介します。
ここでは、業務上横領罪が成立する要件や刑罰の重さについて解説します。
業務上横領罪とは、刑法第253条で定められている犯罪です。
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
引用元:刑法|e-Gov法令検索
仕事や業務において、委託を受けて自分が管理している他人のものを、自分のものにしてしまう行為を指します。
業務上横領が成立するための要件は「物を業務上管理していること」「自己の占有する他人の物であること」「横領行為であること」の3つがあります。
業務とは、社会生活上の地位に基づいて反復継続しておこなわれる事務を指します。
そのため、いわゆる仕事だけでなく町内会やサークルの会計係のような業務も含まれます。
所属団体の活動が営利目的かどうかは問われません。
「自己の占有する」とは、他人の物を管理している状態を指します。
具体的にいえば、その物の利用や処分を自分の判断でできる状態を指します。
たとえば銀行の集金係がお客のお金を預かっている状況や、会社の経理担当者が会社の現金や預金通帳を管理している状態などを指します。
また、「他人の物」とは金銭に限りません。会社から支給されているパソコンや筆記用具・コピー用紙といった事務用品も含まれます。
横領行為とは、他人の物を占有する者が、所有者でなければできないような処分をする行為を行うことを指します。
横領行為については、他人の物を売却したり消費したり、質に入れたりや隠ぺいした場合など非常に広義なケースで認められています。
業務上横領罪の法定刑は、「10年以下の懲役」です。
量刑は横領した金額や悪質性などを総合的に考慮して判断されます。
最大で懲役10年の刑が科されることとなりますので、非常に重たい罪であるといえるでしょう。
業務上横領を起こした場合、刑事罰だけでなく、被害者からの損害賠償請求といった民事上の責任を問われることもあります。
刑事上の公訴時効は犯罪が終わった日から7年です。
民事上の時効は、被害者が損害(被害)及び加害者を知ったときから3年か、横領されたときから20年間のいずれか早いほうです。
つまり時効までは最大20年間ではあるものの、被害や加害者がわかったときから3年が経ってしまった場合は民事上の時効が成立します。
業務上横領罪とよく似た行為で、背任罪と窃盗罪のふたつがあります。
それぞれどのような違いがあるのか解説していきます。
背任罪とは、委託された業務・責任に反し、損害を与える行為を指します。
たとえばパチンコ店に勤務する従業員がお客にパチンコ台の設定情報を漏らしお店に損害を与える行為や、銀行の理事などが、資金繰りが苦しく、本来であれば融資をするのが不適当である会社に対して、十分な担保をとることなく貸付を行う行為などが該当します。
業務上横領罪との違いは、横領行為の有無です。
業務上横領は、自己の占有する他人の物を自分の利益を図るために行った場合に成立しますが、背任罪は、自分以外の利益を図るために行った場合にも成立することがあります。
また、業務上横領罪は自分の物でなければできないような処分をする意思が必要ですが、背任罪は第三者の利益を図った場合でも成立します。
そのため、背任罪は業務上横領罪よりもより範囲が広い犯罪といえ、業務上横領罪が成立しなかった場合でも、背任罪は成立する可能性があるといえるでしょう。
業務上横領罪と窃盗罪の違いは、奪った物が自分の占有下にあったかどうかです。
自分が委託を受けて占有している物をとった場合には業務上横領罪、他人が占有している物をとった場合には窃盗罪となります。
窃盗罪の量刑は10年以下の懲役か50万円以下の罰金であり、場合によっては罰金刑のみで済むこともあります。
ここでは、業務上横領罪の具体的な例を紹介します。
銀行の集金係が、お客様から預かった現金を、自分の口座に移す行為は業務上横領罪に該当します。
また、支店のなかで出納係(銀行支店内の現金を管理する立場)が金庫から現金を持ち出し自分の飲食代や買い物などに使ってしまうケースも業務上横領でよくある事例です。
自分に支給されているペンやパソコンを無許可で持ち帰る場合も業務上横領罪に該当する可能性があります。
自分の占有下にないコピー用紙などを持ち帰る行為は窃盗罪となります。
同じ業務上横領であっても、逮捕されやすいケースとそうでないケースがあります。
基本的には横領した金額や悪質性などを加味して、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあるかという観点から、総合的に判断されます。
被害額が大きかったり、身柄を拘束しないと、事件の捜査に悪影響が出たりすると判断された場合は逮捕される可能性が高いです。
具体的には以下のようなケースです。
【逮捕されるケース】
被害額が小さかったり、逃亡や証拠隠滅の可能性が低いと判断されると逮捕されることも少ないでしょう。
とくに相手と示談が済んでいれば、罪を認めているだけでなく、相手との話し合いでも合意が取れている状態といえるので、逮捕の可能性はとても低くなるでしょう。
そのため、仮に罪を犯してしまった場合はすぐに弁護士と相談して事前に解決してしまうのが賢明といえます。
業務上横領で逮捕された場合、まずは警察と検察で取り調べを受け、起訴されるかどうかの判断がなされます。
具体的な流れは次のとおりです。
警察に逮捕されたあと留置場で取り調べがおこなわれます。
事件の経緯や動機など事件に関するさまざまな事柄を聴取されます。
この際に作成される供述調書は、裁判での重要な証拠となります。答えに迷った場合は黙秘権を行使するのもよいでしょう。
取り調べの最後に供述調書の内容を確認するタイミングがあるため、話した内容と誤りがある場合にはすぐに訂正するよう依頼しましょう。
一度署名・捺印をしてしまうと訂正ができなくなります。
逮捕から48時間以内に検察へ身柄が引き渡されます。
検察では警察同様取り調べを受けることになり、検察が起訴・不起訴の判断を下します。
検察が勾留請求を行い、裁判所が勾留すると判断した場合には、そこからさらに10日間、警察署の留置場等で勾留されることとなります。
そして、検察官がさらなる身柄の拘束が必要と判断した場合、さらに10日間身柄の勾留を延長される場合がありますので、最大で20日間勾留されることもあります。
なお、警察に逮捕され検察で勾留されるかが決まるまでの間(最大で3日間)、家族や友人と面会することはできません。
勾留決定がされ、かつ、接見禁止が付された場合には、弁護人を通じて接見禁止の解除申立をするなどの手続きを取らなければ、その後の勾留中も家族や友人と面会することはできません。
勾留期間中に検察は起訴をするかどうかの判断を下します。
なお、逃亡や証拠隠滅を行う可能性が低いと判断された場合は、起訴後に保釈されることがあります。
起訴された場合は、刑事裁判を受ける必要があります。
刑事裁判では検察官が被告人の有罪を立証します。
日本の刑事事件においては99%以上が有罪となっているため、起訴された場合は高い確率で有罪になるといえるでしょう。
無実を主張するか罪を認めて情状酌量を求めるかなど、どのように裁判を進めるべきかは担当した弁護士とよく相談しましょう。
前述のとおり、業務上横領の量刑は最大懲役10年です。
懲役刑の年数や執行猶予がつくかは次のような要素で判断されます。
【量刑を決める要素】
金額に明確な基準はありませんが、被害金額が高いほど量刑は重くなります。
また、ギャンブルによるお金の使いすぎなど、事件を起こした動機が悪質な場合や再犯の場合も罪は重くなるということを覚えておきましょう。
逆に起こした犯行が軽微なものだったり、相手と示談が済んでいる場合は執行猶予がついたり懲役年数が短くなったりする可能性が高めです。
業務上横領を犯してしまった場合、どのような責任に問われるのでしょうか?
会社で業務上横領を犯してしまうと、場合によっては懲戒解雇をされてしまう場合があります。
仮に会社に残れた場合でも降格処分や左遷といった処置がなされる可能性が高いでしょう。
業務上横領を起こしてしまったことで周りからの視線や態度も変わってしまい、懲戒解雇をされずとも自ら退職しなければならない状況に陥ってしまうことも考えられます。
刑事告訴され有罪になると、最大で10年の懲役に処される可能性があります。
前科がついてしまうと再就職が難しくなったり、場合によってはインターネット上で自身の名前が公開されてしまうといったリスクがあります。
業務上横領は懲役による刑事罰だけでなく民事上の責任が問われる場合があります。
横領してしまった金品の損害賠償請求を受けるというのが、もっとも一般的な例です。
自己破産をしてしまえば返済する義務は免れると考えている方も多いでしょう。
しかし、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権は、自己破産をしても支払いは免除されないため、業務上横領で請求された損害賠償については自分で賄う必要があります。
業務上横領は親告罪ではないため、被害者からの被害届がなくても警察が捜査を行い、身柄を拘束することは可能です。
ただし、実際には被害者である会社が被害届を出さない場合逮捕される可能性は低いでしょう。
また、会社としても警察沙汰にしたくないという理由で被害申告を出さないことも珍しくありません。
内々で済めば逮捕、起訴、裁判になることはなく、前科もつかないため、まずは被害届や告訴状の提出を回避することが望ましいといえます。
業務上横領を起こしてしまった場合は素直に罪を認め、弁済をおこなう意志を見せることが重要です。
出した損害分を弁償することができれば、会社としても問題を大きくしたくないため穏便に済ませてくれる可能性が高めです。
業務上横領がバレてしまった、身柄を拘束されてしまった、まだ発覚はしていないが罪を犯してしまっている、という場合はまず弁護士に相談するのがよいでしょう。
被害者との間に入って示談交渉を進めてくれたり、逮捕されて事情聴取を受ける際にも不利にならないようなアドバイスをくれたりします。
一人で悩んでいてもただ時間が経っていくだけで、平和的な解決はできる可能性はどんどん低くなっていきます。
そうなる前に、まずは専門家である弁護士を頼るところから始めるのがよいでしょう。
業務上横領を犯した場合の罪は重く、経済的にも社会的にも制裁を受けることになります。
「つい出来心でやってしまった」「悪いことだという意識がなかった」など、罪を犯すきっかけは人それぞれですが、まずは穏便に問題を解決できるよう弁護士に相談し示談を成立させることが重要です。
一人で悩まず、まずは弁護士に相談するところからはじめましょう。