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恐喝罪で逮捕されたらどうなる?無料相談できる窓口と弁護士に依頼するメリット
2024.02.13
微罪処分とは、警察限りで事件を終結させる刑事事件の手続です。微罪処分になれば、長期間逮捕・勾留されることも、前科がつくこともありません。
微罪処分になるかどうか判断が微妙な事件を起こしてしまったときは、可能な限り微罪処分での解決を目指したいところです。
この記事では、微罪処分となる犯罪や判断基準、微罪処分となることのメリット・デメリット、微罪処分を目指すための方法などを解説します。
なお、すでに被害者が通報しているなど、逮捕の可能性が高いときはベンナビ刑事事件で近くの弁護士を探してください。刑事事件に注力している弁護士のみ登録されており、地域別の絞り込み検索もできるので、自宅や会社に近い弁護士がすぐに見つかります。
犯罪の疑いで警察に逮捕された場合、刑事裁判にかけるかどうかの判断は検察官がおこなうため、原則的には警察から検察へ被疑者の身柄や事件の扱いが送致されます。
ただし、犯罪の程度が軽く、検察官送致が不要と判断された場合は、微罪処分としてそのまま釈放されるケースもあります。
微罪処分になるかどうかで逮捕後の扱いは大きく変わるので、以下を参考に手続きの概要や目的などを理解しておいてください。
微罪処分とは、警察限りで事件を終結させる例外的な手続です。
刑事事件には全件送致主義の考え方があるため、原則的には警察から検察へ送致をおこない、検察官によって被疑者の起訴・不起訴が決定されます。
ただし、以下の刑事訴訟法第246条の但し書、および犯罪捜査規範第198条の規定により、検察官へ送致しない事件もあります。
簡単にいうと、検察官が指定している特定の犯罪、かつ軽微な犯罪であれば、警察が微罪処分を決定しても構わないということです。
ただし、被害者による告訴や第三者から告発があったときは、微罪処分が適用されないので注意してください。
微罪処分の根拠は刑事訴訟法と犯罪捜査規範になりますが、目的は「法律上の建前」と「事件処理の実態」のギャップ解消です。
刑事訴訟法第246条では刑事事件を全件送致としているものの、全ての事件が送致されると検察官が対応しきれません。参考データとして日本弁護士連合会と法務省の
公表資料をみると、2022年現在の検察官数1,980人に対し、前年の刑法犯検挙数は26万4,485件となっています。
つまり、検察官1人で年間134件近い刑事事件を扱っていることになるため、全件送致が徹底されるとパンク状態になるでしょう。
このような事情があるため、特定かつ軽微な犯罪を微罪処分とし、検察官送致をおこなわないことで刑事事件の処理を円滑化しています。
参考記事:2022年現在の裁判官数・検察官数・弁護士数の推移(日本弁護士連合会)
参考記事:令和4年版犯罪白書(法務省)
人質司法とは、逮捕や勾留によって被疑者や被告人の身柄を長期間拘束し、犯行を認めるまで釈放させない扱いを皮肉した言葉です。
逮捕から勾留までの期間は最長23日間になり、取り調べを受けながら留置場生活を送るので、ストレスから逃れるためにやってもいない犯罪を認めてしまう事例もあります。
微罪処分になると検察官へ送致されることはないので、弁護士などに問題視されている人質司法の解消になっているのかもしれません。
微罪処分は刑事事件の例外的な扱いになるため、特に決まった流れはありませんが、万引きや傷害罪を例にすると以下のようなパターンになるでしょう。
【万引きの現行犯逮捕】
【傷害罪の現行犯逮捕】
なお、傷害罪は15年以下の懲役または50万円以下の罰金になる犯罪ですが、友人との口論がエスカレートして軽く殴った程度であれば、微罪処分ですぐに釈放される可能性があります。
微罪処分の判断を主体的におこなうのは警察ですが、対象になる犯罪や事件は検察庁が指定して、都道府県警へ通知しています。
ただし、犯罪発生件数などの地域性が考慮されるので、全国統一の指示ではないようです。
また、微罪処分にするかどうか判断する場合、警察は過去の事例を参考にしているため、軽微な犯罪でも前例がなければ、「ひとまず検察官へ送致」となる可能性も考えられます。
微罪処分が適用される犯罪はある程度決まっていますが、内容の重大性や悪質性なども考慮されるため、「指定されている犯罪だから微罪処分になる」というわけではありません。
微罪処分になる犯罪とその他の犯罪については、以下のような判断基準で分類されています。
微罪処分の対象となる犯罪には以下のような例があります。
なお、被害者の告訴がなければ検察官が起訴できない親告罪や、第三者からの告発や犯人の自首があった場合、または逮捕状が発付された犯罪には微罪処分を適用できません。
侮辱罪や痴漢・強姦などの性犯罪、器物損壊罪などは微罪処分の対象外となっています。
微罪処分には犯罪に至る経緯や動機などが考慮されます。酔った勢いで相手を殴る、店の看板を蹴り倒すなどの計画性がない犯罪や、脅迫されて仕方なく犯した窃盗などであれば、強い動機があったとはいえないでしょう。
また、暴行の場合は凶器を使ったかどうか、使ったのであればあらかじめ用意していたかどうかで判断が変わります。計画性がなく動機の弱い犯罪であれば、再犯の可能性が低いことから微罪処分になる可能性があります。
被害者の状況や被害額も微罪処分の決定要素になります。明確な基準はありませんが、万引きなどの被害額が2万円以下であったり、傷害であれば全治1週間以内のけがだったりしたときは、微罪処分になるケースが多いようです。
警察が微罪処分を判断する場合、犯罪の被害回復や被害者への謝罪も考慮されます。
万引きで逮捕された場合でも、警察立ち合いのもとで被害額を弁償し、被害店舗にも十分な謝罪をすれば、検察官への送致は不要と判断してもらえるでしょう。
ただし、犯罪の被害者は以下のような状況になりやすいので、被害額の弁償だけでは済まないかもしれません。
1本のジュースを万引きしただけでも数万円~数百万円の被害になるケースがあるため、弁償が高額になることも想定しておかなければなりません。
被害者が処罰を望んでいなければ、微罪処分になる可能性はかなり高くなります。
犯人が十分に反省しており、被害の弁償もあった場合は、警察がきつく注意してくれたらそれでよいと考えてくれるケースもあるでしょう。
ただし、早期釈放を狙って「相手は処罰を望んでいない」などと嘘をつくと、すぐに検察官への送致が決まってしまうかもしれません。表面的なごまかしは必ずバレてしまうので、必ず被害者に謝意を示し、許しをもらうようにしておきましょう。
事件の犯人に前科や前歴(捜査対象となった記録)がある場合、前回犯した罪の反省がないことや、再犯の可能性が考慮されるため、微罪処分は難しいかもしれません。
また、前科・前歴がない場合でも、捜査によって日頃の素行の悪さが判明したときは、微罪処分になる可能性が低いでしょう。
事件を起こして逮捕された場合、警察官から身元引受人がいるかどうか聞かれます。
犯人が十分に反省している場合でも、釈放後に同じ犯罪を繰り返す可能性がゼロではないため、警察も身元引受人がいると微罪処分にしやすくなるでしょう。
微罪処分の判断基準に照らし合わせると、以下のような事件は検察官への送致がなく、警察限りで微罪処分になる可能性があります。
万引きの場合は被害額が小さく、店舗側に処罰感情がないことも条件になるでしょう。
相手にけがを負わせた場合は傷害事件になりますが、示談が成立すれば被害者の処罰感情も収まるため、微罪処分になるケースがあります。
刑事事件の被疑者が警察から検察へ送致された場合、長期間の身柄拘束や有罪判決になる可能性があります。
しかし、微罪処分になると以下のメリットがあるので、仕事や学校生活への影響が最小限になるでしょう。
微罪処分はすぐに釈放されるため、前科なしでそのまま一般社会に戻れますが、検察官への送致が決定すると以下のような流れになります。
事件の犯人が住所不定であったり、身柄を解放すると証拠隠滅や逃亡の恐れがあるときは、検察官が裁判所に勾留請求する可能性が高いでしょう。
勾留請求は却下されるケースが少ないため、検察官に送致されると高確率で10日間の身柄拘束になるでしょう。
勾留延長になると最長23日間の留置場生活になり、外部との連絡もできないため、仕事や収入を失ってしまうことになりかねません。
罪を犯したあとは警察官の判断が犯人の明暗を分けてしまうため、逮捕後は何としてでも微罪処分を獲得する必要があります。
後半で解説している微罪処分となるためにできることを必ず確認しておきましょう。
微罪処分になると前科がつかないため、会社を解雇されたり退学処分になったりする可能性が低くなります。微罪処分には刑罰もないので、罰金の支払いや懲役刑によって刑務所に収監されることもありません。
逮捕されてもすぐに釈放されるので、犯罪が周囲に知れ渡る可能性が低いこともメリットになります。
軽微な犯罪の場合、犯人の住所が定まっており、逃亡や証拠隠滅の恐れがなければ在宅事件になるケースがあります。
在宅事件は身柄が拘束されないため、会社や学校にも行けますが、警察や検察の出頭要請には必ず応じなければなりません。
また、身柄の拘束はなくても被疑者や被告人には変わりないため、勾留や起訴、刑事裁判になる可能性も十分にあります。
しかし、微罪処分になると無罪で釈放されるので、再犯さえなければ警察や検察から連絡を受けることもないでしょう。
警察の判断で微罪処分になった場合でも、罪を犯した事実は消えません。
また、微罪処分に刑事罰はありませんが、民事上の責任は残ってしまうので、以下のようなデメリットもあります。
微罪処分として釈放される場合、一般的には身元引受人が必要になります。
身元引受人は親族や会社の上司などにお願いすることが多いので、一部の人には犯罪によって逮捕されたことを知られてしまうでしょう。
会社の上司や同僚が身元引受人になった場合、社内にも事件が知れ渡るため、昇進・昇給に影響が出る可能性もあります。
微罪処分は刑事裁判にかけられないため、前科はつきません。
ただし、罪を犯した事実として前歴は残るため、次に逮捕されたときは再犯の扱いになってしまいます。再犯の場合は微罪処分になる可能性が低いので、万引きや盗撮など、常習性の高い犯罪で逮捕されたときは、再犯対策も考えておかなければならないでしょう。
なお、前科の場合は国家公務員や医師などの資格を失う可能性もありますが、前歴の場合は資格制限を受けることがありません。
微罪処分になると刑事責任は負いませんが、民事上の責任は残ってしまうので、被害額の弁償や慰謝料などの支払いは避けられません。
民事責任を果たさなかった場合は被害者の処罰感情も収まりにくいため、告訴される可能性も十分考えられます。告訴された犯罪は微罪処分が適用されないので注意しておきましょう。
刑事事件で逮捕された場合でも、身柄が警察に拘束されている間は被疑者の扱いになるため、まだ刑罰が確定したわけではありません。ただし、検察に起訴されると有罪判決になる可能性があるため、微罪処分は積極的に獲得する必要があります。
犯罪者として逮捕されても諦めず、以下のように対応してください。
微罪処分には被害者の処罰感情が影響するので、万引きなどの窃盗であれば商品代金を弁償し、傷害の場合は慰謝料や治療費を必ず支払ってください。
ただし、お金だけでは処罰感情が変わらないケースがあるため、きちんとお詫びして謝意を示す、または謝罪文を書いて被害者に渡しておきましょう。
また、被害者にお願いして話し合いの場を設けてもらい、和解に向けて示談しておくことも重要です。
自分1人で対応するのが不安なときは、弁護士に同行を依頼してもよいでしょう。弁護士は示談書の作成もサポートしてくれるので、当事者間で和解できたことを警察に証明しやすくなります。
警察に逮捕されたときは犯罪を認め、取調べにも素直に応じてください。
捜査や取調べに協力的であれば、再犯の可能性が低く、身柄を解放しても一般社会で更生可能と判断されるため、微罪処分になりやすいでしょう。
なお、逮捕後は黙秘権を行使できますが、取り調べに対して黙秘を貫くことは難しく、警察も「黙っていると自分のためにならない」など、黙秘を諦めさせようとするケースがあります。
実際にはやっていない罪を厳しく問われたり、冤罪で逮捕されたために黙秘したいときは、警察に弁護士の手配を依頼してください。これまでの取調べ内容を弁護士に伝えておけば、今後の対応方法をアドバイスしてくれます。
微罪処分を受ける場合、基本的には身元引受人が必要です。
犯罪や逮捕の事実は知られてしまいますが、微罪処分を獲得できれば検察へ送致されないため、勾留によって身柄拘束されることがなく、起訴の心配もありません。
身元引受人には以下の役割があるため、同居親族や会社の上司、親しい友人などにお願いするケースが一般的ですが、弁護士に依頼することも可能です。
1人暮らしで家族を呼べない場合や、逮捕されたことを職場に知られたくないときは、弁護士に身元引受人を依頼したほうがよいでしょう。
なお、無職者や身寄りがない人でも、軽微な犯罪で前科・前歴がなく、十分に反省していると認められた場合は、身元引受人がいなくても微罪処分で釈放されるケースがあります。
刑事事件で逮捕された場合、警察に身柄を拘束されている間は以下の弁護士と面談できるので、微罪処分を獲得できるように弁護活動を依頼しましょう。
当番弁護士の面談は1回のみ無料となっており、引き続き弁護を依頼したいときは委任契約を結ぶことになりますが、刑事事件に詳しい弁護士が来てくれるとは限りません。
私選弁護人との面談は有料ですが、刑事事件に注力している弁護士を自分で選べるため、微罪処分の獲得を期待できます。
なお、広い意味では当番弁護士も私選弁護人の選任を目的としていますが、ここでは当番ではなく自分で選んだという狭義の意味での私選弁護人を指します。
警察署の留置場に入ると携帯電話やスマートフォンが使えないので、逮捕前に弁護士を探しておくことが重要になるでしょう。
弁護士に刑事事件の弁護を依頼した場合、罪が軽くなるように警察や被害者に働きかけてくれるため、微罪処分を獲得しやすくなります。
具体的には以下のような弁護活動を依頼できるので、警察に逮捕されたあとはすぐに弁護士を手配してもらいましょう。
何らかの罪を犯した場合でも、被害者と示談できれば通報や告訴を踏みとどまってもらえるケースがあります。
加害者本人が交渉すると被害者が話を聞いてくれない可能性が高いので、示談交渉は弁護士に依頼するとよいでしょう。
弁護士は交渉のプロフェッショナルなので、以下のように示談で解決するメリットを被害者に伝えてくれます。
もし逮捕されてしまった場合でも、弁護士と面談する際に示談交渉を依頼できるので、身柄が拘束されていても被害者と和解できる可能性があります。
なお、刑事事件の示談金は加害者・被害者ともに相場を知らないことが多いため、法外な金額を請求されるケースがあるので注意しなければなりません。
「払わなければ告訴する」など、逆に脅されてしまう可能性もあるので、示談金の算定も弁護士に依頼しておくべきでしょう。
弁護士には警察との交渉も依頼できるので、検察官送致の必要性がないことや、微罪処分が妥当であることを警察官にアピールしてもらえます。
ほかにも以下のような働きかけをしてくれるので、弁護活動を依頼すると微罪処分になりやすいでしょう。
ただし、警察官も弁護士の主張を鵜呑みにするわけではないため、自分でも罪を認めて深く反省し、更生に向けて再出発する姿勢をみせなければなりません。
逮捕されたあとの対処を弁護士任せにすることなく、弁護士と協力して微罪処分を獲得しましょう。
弁護士は検察官へ送致されたあとでも面会できるので、弁護活動による勾留阻止を期待できます。
不当な理由で勾留されたときは、弁護士に勾留取消請求や準抗告の申し立てを依頼しましょう。
何らかの罪を犯したときは、逮捕される前に弁護士へ相談しておく必要があります。被害者との示談交渉で罪を許してもらえれば、通報や告訴を考え直してもらえるでしょう。
また、刑事事件に詳しい弁護士を逮捕前に見つけておくと、もし逮捕された場合でもすぐに面談できるので、弁護活動のスタートも早くなります。
弁護士の相談料は30分5,500円、1時間1万1,000円程度が相場ですが、ほとんどの弁護士は初回のみ無料にしているので、相談だけでもしておくべきでしょう。