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恐喝罪で逮捕されたらどうなる?無料相談できる窓口と弁護士に依頼するメリット
2024.02.13
犯罪を犯して逮捕や勾留の可能性がある場合、勾留の概要を知っておくとよいでしょう。
また、あらかじめできる備えができれば、知りたい方もいるかもしれません。
そこで本記事では、勾留されるリスクを減らす方法や勾留の要件、阻止・早期釈放のコツを解説します。
勾留期間や流れを知って、勾留の心づもりをしておきたい方はぜひ参考にしてみてください。
勾留とは、容疑者(被疑者または被告人)が裁判の判決を受けるまでの間、特定の施設にて一時的に身体を拘束されることです。
この措置は、容疑者(被疑者または被告人)の逃亡や証拠の隠滅を防ぐため、または公共の安全を確保するためにおこなわれます。
また、勾留には以下の2つがあります。
検察官が裁判を起こすことを起訴といい、刑事裁判がおこなわれる場合は身柄の拘束期間がさらに長くなるので、勾留阻止や不起訴獲得が早期釈放へのカギとなります。
被疑者を勾留するかどうかは裁判官によって判断されますが、以下の要件のいずれかに該当している場合、勾留決定になる可能性が高いと考えられます。
勾留の要件は、刑事訴訟法の第60条第1項によって、次のとおり定められています。
上記のいずれかの要件のうち、1つでも要件に該当すれば、勾留が認められることになりますし、複数の要件に該当していれば、勾留の可能性が高まります。
勾留期間は原則、10日間です。
期限は、検察官が勾留請求をした日からカウントされ、期間内に検察官が公訴を提起しなければ被疑者はただちに釈放されます。
しかし、検察官の勾留延長請求と裁判官の許可によって、追加でさらに10日間の延長が可能です。
勾留の延長を認めるためには「やむを得ない事由」(刑事訴訟法208条2項)が必要ですが、統計的には勾留が延長されるケースが多いのが実状です。
実際に下記の2022年の勾留人数の統計を見てみると、勾留された人数の約70%が勾留延長されています。
【勾留人数の統計(2022年)】
人数 | |
勾留人数 | 81,017人 |
勾留が延長された人数 | 56,310人 |
勾留延長された割合 | 約70% |
事件の性質・状況や被疑者の個別の事情によっては、勾留されないケースもあります。
具体的には「逃亡や証拠隠滅のおそれが少ない」「被疑者が事実を認めており、犯罪の度合いが軽いうえ、身元引受人がいる」ような状況の場合、勾留の必要がないと判断されて在宅事件で捜査が進められる場合やそのまま釈放される可能性も十分考えられるでしょう。
ただし、在宅事件は、あくまで在宅で(被疑者の身柄を拘束せずに)事件の取り調べを進めるということなので、警察からの出頭要請には従う必要がありますし、もしこれを断り続けた場合には、逮捕される恐れもあります。
勾留に似た手続きには、逮捕や拘留があります。
ここでは、それぞれの手続きと勾留との違いを見ていきましょう。
逮捕と勾留はどちらも犯罪が疑われる人物を一時的に拘束する手続きですが、とくに「期間」「面会」において違いがあります。
逮捕の期間は、最長で72時間です。
この期間中に警察は、犯罪の有無を確認するための調査をおこないます。
一方、勾留の期間は原則10日間です。
しかし、必要に応じてさらに10日間延長もできるため、合計で最長20日間となります。
また、逮捕中は家族や友人との面会はできません。唯一、弁護士とは面会が許されています。
他方で勾留中は接見禁止の決定がない限り、制限はあるものの、家族や友人が面会することも可能ですし、差し入れなども可能です(差し入れ可能な物については、各留置施設により細かく指定があります)。
勾留は、容疑者(被疑者または被告人)が裁判の判決を受けるまでの間、特定の施設にて一時的に身体を拘束されることです。裁判やその他の処分を受ける前の状態を指します。
一方、拘留は刑事施設において身柄を拘束する刑罰のことです。
勾留は刑事裁判の正確な実施を確保するための措置ですが、拘留は刑罰の一環としての身柄拘束であることに大きな違いがあります。
逮捕から勾留されるまでの流れは、次のとおりです。
逮捕されたあとは警察署の留置所に拘束され、48時間以内に検察官に送致されます。
警察は48時間の間に被疑者の取り調べをおこない、必要な証拠を集めます。
犯罪の重大性が低く、逃亡や証拠隠滅のリスクが少ないと判断された場合は、この段階で釈放されることもあるでしょう。
ただし、即時釈放された場合でも顔写真や指紋などが採取され、記録が残ります。
逮捕中は携帯電話やスマートフォンが没収され外部との連絡が取れないうえ、弁護士以外との面会は原則認められていません。
検察への送致後は、検察官による取り調べが始まります。
取り調べのあと、検察官は24時間以内に被疑者を釈放するか、または勾留するかどうかの決断を下さなければなりません。
証拠などの判断材料が不足しており、引き続き被疑者の身柄を拘束する必要がある場合、検察官は裁判所に勾留請求をします。
勾留前から弁護人が勾留阻止の活動をしていた場合を除き、勾留請求が却下されるケースはほとんどありません。
したがって、逮捕後に検察に送致されると、そのまま勾留される可能性が高いといえるでしょう。
裁判所が勾留請求を認めると、被疑者は原則10日間留置所で勾留されます。
勾留中も検察官による取り調べは続き、原則として10日以内に起訴するかどうかの決定が下されるでしょう。
勾留中は接見禁止になっていない限り、家族や友人との面会が認められます。
検察官の勾留延長請求を裁判所が認めた場合、被疑者の勾留期間は最長でさらに10日間延長されます。
勾留延長の請求が却下されるケースは、あまり見られません。
勾留延長が認められた場合、逮捕から最長23日間は留置所で過ごすことになります。
そのため、逮捕から勾留、そして勾留延長というプロセスは被疑者だけでなく家族や職場、学校にも深刻な影響を及ぼす可能性があるでしょう。
勾留期間中、被疑者は留置所で特定のルールとスケジュールに従って生活します。
留置所によって多少異なる場合もありますが、おおむね以下のような生活を送ります。
留置所に入る際に、財布や貴重品は没収されます。
週に1~2回日用品などの購入日が設定されているので、その際は所持金で下着、洗面具、週刊誌、弁当などを購入することが可能です。
入浴は週に2回です。
脱衣、入浴、着衣を含め、全てを20分程度で終える必要があります。
勾留期間中は娯楽や自由などが限られているため、精神的苦痛を感じる人も少なくありません。
逮捕・勾留後、早期釈放になるケースは次のとおりです。
犯罪の規模や被害額が小さく証拠隠滅のおそれもない場合、警察の判断で微罪処分として釈放される可能性があります。
被疑者が罪を認め、十分に反省していると判断されれば、勾留されずに釈放される可能性があります。
弁護士が検察官や裁判官に対して働きかけることで、結果が出やすくなる場合もあるでしょう。
身柄引受書や弁護人による勾留却下を求める意見書などの文書が提出された場合も、早期釈放が実現する可能性が高まります。
被害者との示談が成立したり告訴が取り下げられたりすると、検察官が不起訴処分にする可能性が高まります。
不起訴になった場合はそのまま釈放されるので、関係者との協議や被害者への働きかけが重要です。
起訴後は、裁判所の許可を得ることで保釈により身柄が釈放される場合があります。
判決言い渡しまでの期間、身柄が解放されるため、一定程度の社会復帰ができます。
保釈金の額は被告人の社会的地位や状況によって変動しますが、多くのケースでは150万円~300万円程度です。
保釈金は一時的な負担金であり、裁判の終了後に返還されます。
勾留阻止と早期釈放のポイントは、次のとおりです。
事案によりますが、被疑者が罪を素直に認め十分な反省をしていると判断されれば、検察官や裁判官は「身柄を拘束しなくても、在宅の取調べで捜査の目的は達成できる」と考える可能性があります。
検察官や裁判官の心象をよくすることで、勾留阻止や早期釈放の可能性が高まるでしょう。
逮捕後勾留される可能性が出てきたら、速やかに弁護士を呼びましょう。
弁護士と接見をおこなうことで、どのように取り調べに対応すべきか具体的なアドバイスを受けられます。
弁護士にはそれぞれ以下のような違いがあるため、逮捕後の状況や資金事情によって判断しましょう。
当番弁護士は、弁護士会から派遣される弁護士のことです。
逮捕された人は誰でも1回のみ無料で利用できるため、急な逮捕の場合でも即座に法的支援を受けられます。
その際、被疑者やその家族が、派遣される弁護士を選ぶことはできません。
経験の浅い弁護士や、注力分野が異なる弁護士が派遣される場合もあるため、ご自身が信頼できる弁護士に依頼したい場合は、個別に弁護士を探して相談しましょう。
【私選弁護士】
私選弁護士は、自分で選ぶ弁護士のことです。
弁護士費用は自己負担となりますが、選んだ弁護士が一貫して担当するため、専門的かつ継続的なサポートが期待できます。
また、逮捕される前に刑事事件に詳しい弁護士を見つけておけば、警察や検察を介して接見の要望を出すことで、留置所に来てもらえます。
【国選弁護士】
国選弁護士は、裁判所から指名される弁護士のことです。
主に資金面で困難な状況にある被疑者または被告人に割り当てられます。
費用は国が負担するため、被疑者または被告人にかかる経済的負担は軽減されるでしょう。
被害者との示談が成立すると、検察官も身柄の拘束や起訴が不必要であると判断する可能性が高まります。
弁護士が代理人として示談交渉をおこなったり、被害者に対して謝罪文や誓約書を示すなど、被害者の被害回復を図る活動を進めていくことで、身体拘束が不要となる理由が増えていくでしょう。
準抗告とは、勾留決定に対して不服を申し立てる手続きで、申し立てが認められると被疑者は釈放されます。
勾留が不要である旨を主張することで、裁判官がケースを再検討する可能性があるでしょう。
主張が認められれば勾留自体取り消しの可能性がありますし、または勾留延長について争う場合には、勾留延長期間が短縮される可能性はあります。
ただし、準抗告は通常初回の勾留時と延長時の2回しか申し立てられません。
また、準抗告が認められなかった場合は、特別抗告で裁判官の憲法違反を主張する手段もあります。
被害者との示談の成立や事件に関する全ての証拠が出揃った場合など、勾留が不要となった場合には「勾留取消し請求」が可能です。
申し立てが認められれば、被疑者はそのまま釈放されます。
事件の勾留請求率の総数は94.3%です。
割合として刑法犯では93.8%、刑法犯以外の特別法犯では95.7%になります。
罪名別の勾留に関する人数割合は、次のとおりです。
罪名 | 勾留認容数(人) | 勾留却下数(人) | 勾留請求率(%) | |
刑法犯 | 放火 | 445 | 4 | 98.9 |
強制わいせつ | 2,023 | 98 | 98.6 | |
強制性交等 | 855 | 2 | 99.2 | |
殺人 | 453 | 2 | 99.6 | |
傷害 | 8,115 | 408 | 91.6 | |
暴行 | 3,676 | 472 | 82.8 | |
窃盗 | 21,245 | 778 | 94.9 | |
強盗 | 721 | 4 | 99.6 | |
詐欺 | 8,198 | 43 | 99.4 | |
恐喝 | 1,270 | 7 | 97.8 | |
その他 | 11,863 | 867 | 91.7 | |
特別法犯 | 銃刀法 | 736 | 50 | 85.0 |
大麻取締法 | 4,763 | 84 | 98.8 | |
覚醒剤取締法 | 8,869 | 16 | 99.7 | |
入管法 | 3,586 | 11 | 99.3 | |
地方公共団体条例 | 2,050 | 566 | 79.1 | |
その他 | 4,947 | 153 | 96.1 |
ここでは、勾留についてよくある質問に対する回答をわかりやすく紹介します。
勾留中はスマートフォンの使用は許可されていません。
留置所では通信手段は厳しく制限されるため、入所時にスマートフォンは没収されます。
したがって、SNSの更新や通話、メールの送受信などはできない状態となるでしょう。
原則、勾留中は家族含め誰でも面会が可能です。
ただし、留置所で面会する際は弁護士との接見を除いて、1日に1回1組しか面会することができません。
また、一度の面会で入室できる人数は最大3名までとされています。
一方、拘置所(法務省管轄の留置施設)で面会できる回数は、1日につき1回以上で各施設が定める回数となります。
また、一度に3人を下回らない範囲で各施設が定めた人数と面会することができます。
差し入れも可能ですが、品目や規格が指定されている場合が多いので、あらかじめ施設に確認が必要です。
差し入れは、各施設の窓口で所定の申込用紙で申し込みます。
申込みの際には身分証明書や印鑑が必要になる場合もあるので、用意しておきましょう。
接見禁止になった場合は、家族や友人との面会は不可ですが、弁護士とは面会可能です。
接見禁止は事件捜査中に証拠隠滅や共犯者との連絡が懸念される場合に適用されますが、被疑者の防御の観点から制限なく弁護士とコミュニケーションを取ることは保障されています。
勾留阻止や早期釈放を実現するために最も効果的なアクションは、弁護士に依頼することです。
たとえば、弁護士が代理で被害者と交渉し示談が成功すれば、検察も勾留の必要性を見直す可能性があるでしょう。
また、準抗告の申し立てや勾留取消し請求などは、専門の知識と経験が必要です。
勾留が決定してしまうと、多くの人々は不安と疑問で精神的な負担も大きいと感じるでしょう。
確実かつ迅速に問題を解決するためには、弁護士への依頼を検討しましょう。