暴行・傷害事件
暴行罪の対処法と無料相談の方法|弁護士に相談するタイミングとメリット
2024.02.13
DVは夫婦間の些細な言い争いから発展するパターンも多く、通報されて初めて犯罪だと自覚する方もいるでしょう。
DVで逮捕されてしまうと、暴行罪や傷害罪などのように重大な刑事事件として処罰される可能性も十分にあります。
この記事では、DVで逮捕されることに不安を感じている方に向け、以下のような点を中心に解説します。
弁護士が仲介することで相手と示談しやすくなるため、逮捕を免れる可能性が高まります。
DV事件で逮捕されるのではないかと不安に感じているなら、実際に逮捕される前に弁護士に依頼しましょう。
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DVは、以前は家庭内のもめ事とされていましたが、現在では警察が介入し、刑事事件として起訴される可能性もあります。
以下で、刑事事件として取り締まり対象となるDV事件や、逮捕されるきっかけなどを、DV事件の現状とともに解説します。
DVとは、ドメスティック・バイオレンスの略で、一般的には「配偶者等に対する暴力」と捉えられています。
DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)1条では、DVを以下のように規定しています。
この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ。)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(以下この項及び第二十八条の二において「身体に対する暴力等」と総称する。)をいい、配偶者からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含むものとする。
取り締まり対象は配偶者に限らず、元配偶者や内縁関係、または同棲関係も含みます。
また判例によると、「身体に対する暴力」とは、必ずしも「肉体」のみだけではありません。
行為によって相手にトラウマを与えるなど精神的な傷害を負わせた場合も、DVと判断される可能性があります。
DVで逮捕されるきっかけとなるのは、以下の3点です。
DVを受けた被害者や近隣住民から110番通報を受け、駆けつけた警察官によって現行犯逮捕されるケースがあります。
また、現行犯で逮捕されなかった場合も、その場で任意同行を求められ、取り調べの後に逮捕に至ることもあるでしょう。
また、被害を受けた本人が被害届や告訴状を警察に提出したことにより逮捕される場合もあります。
特に告訴状は、犯人の処罰を求める被害者の意思表示となり、告訴状を受領した捜査機関は、必ず捜査を開始しなければなりません(刑事訴訟法242条)。
近時はDVに関しては厳罰化が進んでいますので、告訴状は受理される傾向にもあります。
暴力によって負傷した被害者が医療機関を受診したことによってDVが発覚し、医療機関から警察に通報されることもあります。医師などには、DVを発見した場合、被害者の意思を尊重しつつ、配偶者暴力相談支援センターや警察官に通報することが求められているからです(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律6条2項)。
このように、DVで逮捕されるケースは暴行の直後だけではなく、時間が経過してから逮捕される可能性もあります。
2001年のDV防止法施行以降、DVの警察への相談件数は年々増加しています。警察庁の調査によると、2021年の相談件数は83,042件にものぼりました。
実際の検挙数も右肩上がりで伸びており、2020、2021年には減少したものの、9,000件程度が1年間で逮捕されています。
以前までは警察は民事不介入として、よほどのことがない限りDVを刑事事件として捜査することはありませんでした。
しかし、被害者の声や国際的な世論の流れもあり、2001年10月13日に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、通称DV防止法が施行されました。
DV防止法はその後も改正を繰り返し、被害者の保護が強化されています。
また実働面を強化するために、警察庁では2013年12月6日に通達を出し、警察としてDVやストーカー事件の捜査に積極的に取り組む姿勢を打ち出しています。
DVは単なる家庭内のもめ事ではなく、刑事責任を追及される可能性がある事件だということが、明確に定義されているのです。
【参考】
令和3年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について
恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案への迅速かつ的確な対応の徹底について(通達)
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「DVで逮捕される」といっても、実際にDV罪があるわけではありません。事件の内容や被害状況によって罪名は変わります。
また、実際の法定刑の他、DV防止法による接近禁止命令や退去命令などの措置が科される可能性もあります。
以下では、DVで逮捕されたケースのうち、統計で多い順にその罪名について解説します。
「暴行罪」とは、人の身体などに暴行を加えた場合に適用されます。
暴行によって相手が怪我を負った場合には、傷害罪が適用されます。具体的には殴る、蹴る、物を投げつけるなどの行為です。
法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金・拘留・科料です。
2021年に実際に刑事事件として検挙された約8,700件のうち、暴行罪は最も多く、5,200件以上にのぼっています。
「傷害罪」とは、人の身体を傷つけた場合に科せられる刑罰です。
暴行罪との違いは、「暴行により被害者に怪我を負わせた」ことで、一般的に全治5日以内のケースであれば「暴行罪」、それ以上なら「傷害罪」とされることが多いでしょう。
また、判例によると、身体には「精神」も含むとされるため、極度の脅迫行為によって相手にストレス症状などを起こさせたことでも傷害罪に問われる可能性があります。
法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金等です。
2021年の統計では、暴行罪の次に検挙数が多く、2500件以上にのぼります。
また、傷害の末被害者が死亡してしまった「傷害致死事件」も2件発生しています。
暴力行為等処罰法とは、元は暴力団の行為を処罰するために制定された法律でした。
現在では夫婦間で刑事事件に発展するケースが増えており、2021年の統計では約340件が検挙されています。
たとえば、夫婦間の口論の末、妻が包丁を取り出し「殺してやる」などと脅した場合にも適用されます。
処罰対象となるのは、暴行、傷害、脅迫、器物損壊などで、これらのDV常習者に対しては、1年以上15年以下の懲役という、重い刑事罰が科される可能性もあります。
「脅迫罪」とは、相手の生命・身体・自由・名誉・財産に対し害を加えることを告げた場合に問われる罪です。
脅迫とは、一般的な人が恐怖を感じる程度の害悪の告知を指し、実際に相手が怖がっているかどうかは要件ではありません。
「殺すぞ」「殴るぞ」「家に火をつけてやるぞ」などの言葉は、一般的に十分恐怖を感じると判断され、脅迫罪が成立する可能性が高いといえるでしょう。
2021年統計では、130件以上が脅迫罪で検挙されています。
法定刑は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金等です。
殺意をもって相手を殺した場合は殺人罪に問われますが、殺人罪は未遂に終わっても殺人未遂罪が成立し、殺人罪と同じ法定刑が科せられます。
法定刑は死刑または無期もしくは5年以上の懲役です。懲役5年以上の法定刑なので、執行猶予はつきません。
DV事件でも殺人未遂罪が成立するケースがあり、実際に2021年には108件が検挙されています。
DV防止法で接近禁止命令や退去命令を受けているにもかかわらず、命令に背いたことが発覚した場合、保護命令違反として1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
2021年の統計では約70件が検挙されています。
DVで逮捕されてしまったら、その後は被疑者として取り調べを受けることになります。
このとき対応を間違えると、不利な状況に陥ってしまう可能性もあるので注意が必要です。
逮捕されて警察の留置場に拘束されてしまったら、まずは弁護士を呼んでもらうよう、警察に伝えましょう。
弁護士に面会する前に警察の取り調べが始まってしまうと、不用意な発言で立場を悪くしてしまう可能性もあります。
取り調べ前に弁護士に面会できれば、言っていいことや悪いことなどのアドバイスをしてくれます。また、配偶者との示談の進捗状況も教えてくれるでしょう。
弁護士を呼ぶことは被疑者の権利です。場合によっては弁護士が来るまで黙秘権を行使してもいいでしょう。
DVで逮捕されてしまったら、素直に罪を認め、反省を示しましょう。
素直に警察の捜査に協力する態度を示すことで反省と更生に向けての努力が認められ、より軽い罪になるでしょう。
ただし、暴行の事実がないにも関わらず逮捕されてしまった場合には、弁護士に連絡し、配偶者からDVにあたる行為がなかったことを証言してもらいましょう。
DVは夫婦げんかの発展で起こることもあるため、「こんなことで逮捕されるなんておかしい!」と思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、暴行したにもかかわらずその事実を認めないと、取り調べが長引いたり、反省が見られないとして起訴されてしまったりすることもあります。
万が一DVで逮捕されてしまった場合、以下のような流れで手続きが進みます。多くの方にとって逮捕されるのは初めての経験です。
手続きの流れを知ることで、今後どうなるのか、今何をすべきかがわかるでしょう。
逮捕されると、まずは警察署の留置場に身柄を拘束され、警察からの取り調べを受けることになります。取り調べ期間は逮捕後48時間以内です。
48時間経過後、さらに取り調べが必要だと判断された場合、警察は検察に被疑者を「送検」します。
逮捕され身柄の拘束を受けた場合には、弁護士を呼ぶ権利が保障されています。
弁護士に知り合いがいない場合には、弁護士会の「当番弁護士制度」を利用しましょう。
警察官に対し、「弁護士を呼んでください」と伝えると、その地区を管轄する弁護士会支部に連絡が行き、弁護士を派遣してもらえます。
当番弁護士制度では、要請を受けるとその日の担当弁護士が24時間以内に被疑者が拘束されている警察署に出動します。
弁護士に面会することで、自分の要望を伝えることや、今後の取り調べで取るべき態度などについて教えてもらうことも可能です。
ただし、当番弁護制度を利用して弁護士と面会できるのは1回のみです。
継続して弁護や被害者との示談交渉を進めたいなら、できれば逮捕前に弁護士に相談しておきましょう。
警察から事件が送検されると、検察官の取り調べが始まります。
検察官は、さらに取り調べる必要があると判断した場合、24時間以内に裁判所に勾留延長の申請をします。
裁判所から勾留決定が出ると、取り調べはさらに長期になります。
検察に送致されることが決まっても、逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合には身柄を釈放され、以後は呼び出しを受けた際に出頭して取り調べを受けるケースもあります。
これを、「書類送検」といいます。DV事件の場合も、被害者の安全が確保されていれば書類送検となる可能性もあるでしょう。
ただし、身柄拘束の有無は、起訴・不起訴の判断には影響をお呼びしません。
書類送検となったからといって無罪放免になるわけではなく、起訴されて有罪が確定すれば前科がついてしまいます。
裁判所から勾留決定が出た後は、最長20日間検察庁で取り調べを受けます。この20日以内に検察官は起訴、不起訴を決定します。
起訴された場合、保釈金を積んで保釈請求することも可能です。
保釈が認められれば身柄が解放され、以後は自宅などの指定された場所から取り調べに出頭することになります。
保釈は裁判所に保釈請求書を提出する必要があります。希望する場合は弁護士にその旨を伝え、申請書を提出してもらいましょう。
保釈は起訴後のみに申請が可能になるため、起訴前の捜査段階で申請することはできません。
ただし、死刑・無期懲役、法定刑の下限が1年以上とされている懲役・禁固刑の保釈請求は認められていません。また、保釈には保釈金が必要です。
保釈金の金額は一般的に150万円から300万円程度といわれていますが、本人の性格や資産状況などを総合的に鑑み、裁判所が決定します。
保釈されたとしても、禁止事項に抵触すると保釈金を没収され、再度身柄を拘束されてしまいます。保釈中は慎重に行動し、弁護士や検察官、裁判所の指示に従いましょう。
起訴された場合、通常は1ヵ月程度で公判が開始されるでしょう。公判は原則公開裁判となります。
殺人・殺人未遂など、DVでも一部の重大な事件については裁判員裁判の対象となるため、公判開始までの準備に数ヵ月かかることもあるでしょう。
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DV事件は刑事事件です。家庭内のことだからと思っていても、実際に相手から被害届が提出されてしまうと、「被疑者」として逮捕されてしまい、最悪有罪判決が出れば、前科がついてしまうでしょう。
最悪の事態を避け、早期に解決するためには、弁護士に依頼して被害者との示談を進めていく必要があります。
被害者と話し合い、示談することができれば、被害届の提出を思いとどまってもらうこともできるでしょう。
DV事件の場合、当事者同士で話し合って示談をまとめることはほぼ不可能です。
弁護士が介入し、反省や今後の保障などを伝えることで、被害者に安心感を与えることができるでしょう。
弁護士が仲介して金銭賠償や別居措置、今後被害者に接近しないなどの誓約書を取り交わすことで、早期解決が期待できます。
DV事件の立件には、「被害届」の提出が重要な鍵を握ります。
被害届が提出された後でも、被害者との示談が成立すれば、被害届を取り下げてもらえるかもしれません。
被害届が取り下げられれば確実に不起訴になるわけではありません。
しかし、被害者に処罰意思がないことの証明になるため、釈放される可能性が高くなるでしょう。
被害者と示談ができずに起訴されてしまった場合でも、弁護士が適切に弁護することで、罰金刑や執行猶予付き判決が期待できます。
怪我の程度にも寄りますが、暴行、傷害での起訴であれば執行猶予付き判決により実刑を避けられる可能性もあるでしょう。
昔は家庭内のもめ事で済まされていた配偶者に対する暴力ですが、現在は「DVは犯罪」という認識が進み、警察も積極的に取り締まる姿勢をみせています。
実際に相談件数は年々増加し、その中から逮捕される案件も増えています。
また、暴力の範囲も広く捉えられる傾向にあり、思いもよらないことで逮捕されてしまうかもしれません。
DV事件で逮捕されてしまった場合、弁護士のサポートは非常に有効です。被害者との話し合いを進め、早期に解決するためにも、刑事弁護の経験が豊富な弁護士に依頼しましょう。
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