その他刑事事件
恐喝罪で逮捕されたらどうなる?無料相談できる窓口と弁護士に依頼するメリット
2024.02.13
近年、SNS上での誹謗中傷により名誉毀損罪で逮捕されるという事件がよく報道されるようになりました。
このように、具体的な内容を示して相手の社会的名誉を傷つけた場合、名誉毀損によって責任追及を受ける可能性があります。
特にネット上の書き込みでは、匿名であるためエスカレートしやすい反面、書き込んだ本人にとっては、犯罪だという意識が低いこともあるでしょう。
そこでこの記事では、名誉毀損について以下の点を中心に解説します。
自分の書き込みや行動が原因で逮捕されるかもしれない、と不安に感じたら、この記事を参考に名誉毀損についての基礎知識をつけたうえで、一度弁護士に相談してみましょう。
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SNSの発展した現代では、誰もそれと気づかないまま、他人の名誉を毀損する発言をしてしまう可能性があります。名誉毀損は自分に加害意識があるかは関係なく、法定基準や被害者側の受け取り方によって左右されてしまいます。
自分の行動が名誉毀損に該当するのか確認するためにも、まずは基本的な定義について把握しておきましょう。
名誉毀損とは、公の場で具体的な事実を示して誰かの名誉を傷つけたり、社会的地位を低下させたりすることをいいます。
公表した「具体的事実」がたとえ真実であっても、相手の社会的地位や名誉を毀損する内容なら名誉棄損に問われる可能性があることに注意が必要です。
以下の基準に当てはまる場合、名誉毀損に該当します。
公然の場であるとは、不特定多数の人が閲覧可能な状態であることをいい、インターネットやマスコミ報道などがこれにあたります。
少数の人に向けた発信でも、それが伝搬する可能性がある場合にも公然性は認められます。そのため、SNSフォロワーが少数しかいない場合でも、それがリツイートなどで拡散される可能性があれば公然性が認められ、名誉毀損が成立することもあるでしょう。
内容は単に誹謗中傷や暴言ではなく、具体的な事実を明示している必要があります。
【名誉毀損にあたる例】
近年はSNSでの誹謗中傷が名誉毀損として訴えられるケースが多く、総務省でも注意喚起をしています(SNS等での誹謗中傷による慰謝料請求)。
名誉毀損罪で逮捕された場合の刑罰は、3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金です。
名誉毀損の要件を備えていても、事実に公共性がある場合は責任追及を免れる可能性があります。これを、「違法性阻却事由」といいます。
公共性と公益目的がある場合や、公表した内容が事実であると自ら証明した場合は、違法性阻却事由が認められて責任追及を免れます。
名誉毀損が免責されるケースとしては、以下のような例が考えられます。
名誉毀損は刑事事件だけでなく民事事件で裁かれることもあります。その場合、被害者が求めるのは刑事罰ではなく損害賠償です。
名誉毀損の被害者が警察に告訴すれば刑事事件となり、損害賠償を求めて裁判所へ訴えた場合には民事事件となります。名誉毀損の民事事件と刑事事件には、以下のような基準があります。
民事 | 刑事 | |
根拠法 | 民法第709条 | 刑法第230条 |
効果 | 名誉毀損が認められれば損害賠償金の支払いや謝罪広告など | 3年以下の懲役もしくは禁固または50年以下の罰金 |
時効 | 損害および加害者を知った時から3年(民法第724条2号) | 犯罪行為が終わった時から3年で公訴時効(刑事訴訟法253条、250条2項6号) |
保護対象 | 本人の社会的地位や評判 故意だけでなく過失も含む | その人の真価や社会的地位、評判または自尊心 故意犯のみ対象 |
実際、名誉毀損が刑事事件として告訴される件数は決して多くはありません。
刑事事件での名誉毀損罪は「親告罪」、つまり被害者が犯人を特定して警察に告訴することで捜査が開始されます。当事者同士に示談が成立し、刑事事件にまで発展しないケースも多くあります。
警察庁がまとめた令和3年の犯罪統計書では、名誉毀損罪の年間認知件数は1,011件であり、そのうち検挙された人数は640人でした。刑事罰での検挙数としては、決して多いとはいえない件数です。
名誉毀損に該当しなくても、類似するいくつかの罪に該当する場合もあります。以下で、名誉毀損に類似する罪の定義と罰則について解説します。
侮辱罪の定義は、公然と人を侮辱することです。根拠のない誹謗中傷でも成立しうる罪で、名誉毀損との違いは、事実を摘示していないことでしょう。
【侮辱罪と名誉毀損罪の比較】
以前の法定刑は、30日未満の拘留または科料1万円未満でした。しかし、SNSによる誹謗中傷によって自殺者が発生したことなどが社会問題に発展し、2022年7月7日より侮辱罪の法定刑が引き上げられました。
改正後の法定刑では、1年以下の懲役、30万円以下の罰金等が科されることになります。
人をだましたり勘違いさせたりして相手の業務を妨害すると、「偽計業務妨害罪」に問われ、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
たとえば、以下のようなケースには、偽計業務妨害罪が適用されます。
【偽計業務妨害罪の例】
受験生が大学入学共通テストで、スマートフォンを用いて試験問題を外部に流出させること
虚偽のうわさを流布、または偽計を用いて人の信用を失わせると、信用毀損罪に問われる可能性があります。名誉毀損罪との違いは、流したうわさの真偽等です。たとえば、うわさが真実である場合には、名誉毀損罪が成立します。
信用毀損罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
【信用毀損罪の例】
SNS上で「あの会社は倒産寸前だから取引をすべきではない」などと投稿すること
ここまでで、名誉毀損や類似の罪の定義や罰則について解説しました。以下では、実際に発生した刑事・民事事件を紹介して解説します。
SNS上の書き込みで、名誉毀損罪が成立することがあります。
たとえ匿名で書き込んでいたとしても、悪質な場合は発信者情報開示請求などから発信者を特定され、責任追及を受けるでしょう。
たとえば、2020年に誹謗中傷を苦に自殺を図った女性に対し、死亡後もさらにネット掲示板などで誹謗中傷を続けていた40代の男性が、名誉毀損で書類送検された事件が大きく報じられました。
【参考】木村花さんの母親をネット掲示板で中傷、名誉毀損容疑で40代男を書類送検
また、2020年には、全くの別人を指名して、「あいつはあおり運転事件で同乗していた女性だ」というデマをSNS上で拡散した元市議に対し、賠償金の支払いが命じられた事件もあります。
【参考】「ガラケー女」デマ拡散、元市議に33万円の賠償命令:朝日新聞デジタル
近年は特にSNSでの誹謗中傷が問題となり、誹謗中傷を受けた芸能人やスポーツ選手などが発信者を特定して責任追及をする事件も報じられています。
テレビや雑誌、インターネット上の報道で著名人のスキャンダル記事が報じられた場合などに、マスコミに対して名誉毀損による損害賠償が請求されることがあります。
この場合、たとえ報じた内容が真実であっても名誉毀損は成立します。
ただし、スキャンダル記事の対象が政治家や公務員である場合と、芸能人などの署名人であるが公人ではない場合では対応が異なります。
2012年、当時の内閣官房長官のセクハラ発言を報じた週刊誌に対し、名誉毀損による損害賠償と謝罪広告の掲載が請求された事件では、原告の請求が棄却されました。
この事件で裁判所は、政権の中枢にいる内閣官房長官が公的な懇親会の場でセクハラ発言をしたことは問題視されてもやむを得ないと判断しています。
このように、その事実を公表することに公益があり、報道された内容が事実である場合には、名誉毀損が成立しない可能性もあります。
実在の人物をモデルに書かれた小説やその他の書籍で、その者の社会的評価を低下させた場合には、損害賠償請求を受ける可能性があります。
2013年には、ある女性をモデルとして書かれた小説が女性の名誉を傷つけたとして、作者と出版社に対する損害賠償請求が認められました。
【参考】中村うさぎさんに賠償命令 小説モデルの名誉毀損: 日本経済新聞
実在の人物名を記載しなかったとしても、その人物を容易に想起できるうえ、その人物の社会的評価を低下させる内容であれば、名誉毀損が認められることがあります。
前述のとおり、名誉毀損で逮捕されるケースは実際に多くはありません。ただし近年では、SNS上で誹謗中傷をおこなったとして、実際に逮捕される者も出ています。
そこで以下では、名誉毀損罪で逮捕された場合の刑事手続きの流れについて解説します。
名誉毀損罪で逮捕状が出ると、警察に身柄を拘束されて取り調べを受けます。警察から任意同行を求められて逮捕に至るケースもあります。
警察署での取り調べは逮捕から48時間以内です。容疑不十分として釈放しない限りは、48時間以内に警察は事件を検察に「送検」します。
被疑者には「黙秘権」が保障されています。そのため、警察の取り調べに対し、素直に応じても黙秘してもかまいません。
逮捕直後には、弁護士を要請することも可能です。弁護士の知り合いがいない場合には、日本弁護士連合会の「当番弁護士制度」を利用することができます。
当番弁護士制度では、無料で一度、弁護士を留置施設に呼び、相談をすることができます。逮捕されて不安を感じたら、警察官に「弁護士を呼んでください」と要請してみましょう。
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警察でさらに取り調べの必要があると判断された場合、検察庁に捜査権が引き渡されます。これを「送検」といい、以後は検察官からも取り調べを受けることになります。
警察からも検察からも同じ質問を繰り返し聞かれることがあります。しかし、それぞれ質問の目的が違い、意味があるということを理解しておきましょう。
検察庁で24時間以内にさらに取り調べる必要があると判断すれば、裁判所に「勾留請求」をおこないます。
逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合などには、身柄を拘束されることなく取り調べを受けることもあります。これを「書類送検」といいます。
書類送検をされると、今後は検察の要請を受けた際に自宅から出頭して取り調べを受けることになります。一般的に軽微な事案が多く、名誉毀損罪でもよく用いられる方法です。
ただし、身柄拘束を解かれても取り調べは続きます。また、身柄拘束の有無が起訴・不起訴の判断に直結するわけではありません。
裁判所の勾留決定が出ると、留置施設または拘置所に勾留され、警察官及び検察官から10日間の取り調べを受けます。この取り調べはさらに10日間延長することができます。
逮捕されてから起訴・不起訴が決定するまでの期間は、最長23日です。
名誉毀損で起訴されれば、起訴後1ヵ月程度で刑事裁判が始まります。
日本の刑事裁判の有罪率は99.9%以上です。検察庁の統計では、2021年に公訴請求された213,315件のうち、無罪となったのは94件、公訴棄却となったのは302件でした。
【参考】検察統計調査 検察統計確定裁判 63 審級別 確定裁判を受けた者の裁判の結果別人員 | 統計表・グラフ表示
このように、起訴されるとほぼ100%に近い確率で有罪判決が下され、有罪が確定すると前科がついてしまいます。
名誉毀損で告訴または民事訴訟の可能性がある場合は、なるべく早く弁護士に依頼しましょう。特に刑事事件に発展する場合には、早期に依頼することで以下のような大きなメリットを受けられます。
弁護士に相談することで、自分の行動が名誉毀損に該当するかどうかがわかります。刑事事件としての名誉毀損罪だけでなく、民事請求を受ける可能性も判断してもらえるでしょう。
名誉毀損には該当しない場合でも、「侮辱罪」が成立する可能性もあります。両者の違いは専門家でなければ判断が難しいでしょう。
弁護士に相談し、自分の行動に対する今後の対応を検討しましょう。
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刑事事件として告訴される可能性がある場合は、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、被害者との示談が成立する可能性が高くなります。事件の当事者同士で示談を進めることは困難でしょう。
被害者との示談が成立し、賠償金の支払いが済めば、被害者に告訴を取りやめてもらい、逮捕を回避できる可能性があります。
また、逮捕されてしまった後でも、起訴前に示談がまとまれば不起訴で終わることもあります。
たとえ逮捕されて刑事裁判が始まっても、弁護士による弁護活動や示談交渉の継続によって、罪状の軽減が期待できます。
示談の成立や弁償の有無は裁判所の判断に大きく影響します。判決までに示談成立と賠償金の支払いを済ませ、少しでも罪状の軽減を目指しましょう。
名誉毀損は刑事事件として逮捕されるだけでなく、民事事件として損害賠償請求を受ける可能性もあります。
ささいないらだちから投稿した内容でも、受け取った本人の感情を大きく傷つけ、責任追及をされてしまうこともあるでしょう。後で後悔して相手に謝罪しようとしても、当事者同士ではなかなか示談交渉も難しくなります。
名誉毀損で相手から責任追及を受けたら、一度弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、当事者の間に入って示談交渉を進め、逮捕の回避や早期の事件解決に導いてくれるでしょう。
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