その他刑事事件
恐喝罪で逮捕されたらどうなる?無料相談できる窓口と弁護士に依頼するメリット
2024.02.13
20歳未満の少年が逮捕された場合、少年法に則って調査・審判などがおこなわれます。
しかし、2022年4月1日より未成年者の年齢が18歳未満に引き下げられたため、18歳・19歳の少年は「特別少年」として扱われるようになりました。
本記事では、少年事件の新しい区分、成年の刑事事件との違い、逮捕後から処分決定までの流れ、少年事件の主な処分内容などを解説します。
少年事件に関する疑問を解消するために、ぜひこの記事を役立ててください。
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未成年者が事件を起こして逮捕された場合は、成人の刑事事件とは異なる手続きがとられます。
まずは事件を起こした未成年者の法律上の扱いについて確認しましょう。
14歳以上20歳未満の少年が犯罪を起こした場合、その事件は「少年事件」と呼ばれます。
少年事件を起こした少年は、原則として少年法に定められた少年審判を受けることになります。
少年審判の目的は「犯罪を起こした少年に自らの過ちを自覚させて、更生をさせること」です。
そのために家庭裁判所でおこなわれる審判にて、非行の事実を質問されたり、事件の内容や問題点などに応じた処遇を決定されたりします。
2022年の民法改正で「未成年者」の定義が18歳未満に引き下げられました。
これを受けて少年法も改正され、新たに「特別少年」という区分が設けられました。
以下では簡単に、少年法における少年の区分を解説します。
触法少年とは犯罪を起こしたときの年齢が14歳未満であったため、法律上は犯罪が成立しない少年のことです。
刑法第41条には「14歳に満たない者の行為は罰しない」と規定されているため、14歳未満の少年が犯罪を起こしても罪にはならないのです。
ただし、罪にならないだけで少年審判を受けることになる場合はあります。
犯罪少年とは、犯罪を起こした14歳以上20歳未満の少年のことです。
14歳以上になると刑事責任能力が認められるため、通常は少年審判によって一定の処遇を受けることになります。
しかし、更生の可能性が期待できるため、保護観察や少年院送致などの処分が下されたり、再非行の可能性がないため不処分になったりすることもあります。
特定少年とは、少年法の改正に伴い2022年4月1日から適用された新たな区分で、犯罪を起こした18歳、19歳の少年のことです。
18歳、19歳であっても従来どおり少年法が適用されますが、刑事事件として処分する「逆送対象事件」が拡大され、逆送時は20歳以上の者と同じように取り扱われるようになりました。
【参考記事】法務省:少年法が変わります!
ここでは少年事件と成人の刑事事件の具体的な違いを確認しましょう。
成人の刑事事件では、起訴後に保釈保証金を納付することで身柄を開放してもらうことが可能です。
しかし、少年事件では保釈請求が認められておらず、家庭裁判所に送致されたあとは観護措置のために少年鑑別所に収容されることが一般的です。
証拠調べが必要な場合は、少年鑑別所への収容期間は最長で8週間まで延長できるとされています。
成人の刑事事件には通常裁判と略式裁判があり、通常裁判であれば原則法廷は公開されます。
一方、少年事件の少年審判は、少年法によって「公開しない」と決められています。
少年審判が非公開の理由は、多感な時期の少年の感情を保護する必要性があることや、少年の非行を秘密にして更生や社会復帰を高める必要性があることなどが関係しています。
また、少年やその家族のプライバシーにも踏み込むため、限られた人物しか審判には出席できません。
(審判の方式)第二十二条 審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない。2 審判は、これを公開しない。3 審判の指揮は、裁判長が行う。引用元:少年法 | e-Gov法令検索
成人の刑事事件には「起訴便宜主義」という考え方があり、検察が被疑者を起訴するかどうか決定します。
これに対して少年事件には「全件送致主義」という考え方があり、嫌疑がある少年事件は全て家庭裁判所に送致しなければなりません。
少年事件で全件送致主義がとられている理由は、少年法の目的が「少年の健全育成」であるからです。
示談の有無や被害の大小にかかわらず、嫌疑がある少年事件は全て家庭裁判所に送致されるのです。
(司法警察員の送致)
第四十一条 司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
(検察官の送致)
第四十二条 検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
引用元:少年法 | e-Gov法令検索
未成年者が捜査機関に逮捕されてからの大まかな流れは、成人の刑事事件と同じです。
しかし、成人の刑事事件の一審は簡易裁判所や家庭裁判所で審理されるのに対し、少年事件では家庭裁判所に送致されるのが一般的です。
このように成人の刑事事件と少年事件では手続きが異なる点もあるため、未成年者が逮捕された際の流れを確認しましょう。
14歳以上20歳未満の少年による少年事件の場合、まずは警察に取り調べを受けることになります。
その後、罰金刑以下の犯罪である場合は警察から直接、家庭裁判所に送致されます。
一方、死刑・懲役刑・禁固刑にあたる犯罪の場合は警察から検察へ送致されます。
警察は逮捕から48時間以内に送致するかどうかを決定しなければなりません。
検察に送致された場合、検察官は24時間以内に勾留請求をするかどうか決定します。
また、裁判所が勾留を決定すると原則として最長10日間、勾留延長を決定すると最長20日間にわたり身柄を拘束されます。
なお、少年法では「やむを得ない場合でなければ勾留を請求することができない」としており、その代わり「勾留に代る措置」として裁判官の決定があれば少年鑑別所に収容できるとしています。
少年鑑別所への収容期間は最長で10日間です。
(勾留に代る措置)
第四十三条 検察官は、少年の被疑事件においては、裁判官に対して、勾留の請求に代え、第十七条第一項の措置を請求することができる。但し、第十七条第一項第一号の措置は、家庭裁判所の裁判官に対して、これを請求しなければならない。
2 前項の請求を受けた裁判官は、第十七条第一項の措置に関して、家庭裁判所と同一の権限を有する。
3 検察官は、少年の被疑事件においては、やむを得ない場合でなければ、裁判官に対して、勾留を請求することはできない。
引用元:少年法 | e-Gov法令検索
少年事件は「全件送致主義」がとられているため、嫌疑がある場合は全て家庭裁判所に送致されます。
捜査機関から送致を受けた家庭裁判所は、その少年の処遇を決定するまえに、少年を少年鑑別所に収容して観護措置をとるかどうか決定します。
また、観護措置と並行して家庭裁判所調査官による少年の調査もおこなわれます。
最終的に裁判官はこれらの結果を踏まえて、少年審判をするかどうか決定します。
調査のみで終了する場合は審判不開始といいます。
家庭裁判所の裁判官は、必要に応じて少年を少年鑑別所に収容し観護措置をおこないます。
少年鑑別所とは科学的な検査や鑑別ができる設備や専門家が配置されている施設で、ここでは少年の処遇を決定するために専門家による面接や、医学的・心理学的な検査などがおこなわれます。
収容期間は通常の場合で最長4週間までですが、特別な証拠調べが必要な場合は最長8週間まで延長できるとされています。
少年の処遇を決定する前に、家庭裁判所調査官による調査がおこなわれます。
調査の内容は多岐にわたり、少年の性格、日頃の行動、これまでの環境などを確認したり、保護者をはじめとする少年の関係者を呼んで面接をしたりすることもあります。
ほかにも、少年に反省を促す、再非行防止のための面接をする、地域の美化活動に参加させることもあるようです。
調査官が調べた内容は報告書にまとめられて、少年の処遇を決定する裁判官に提出されます。
裁判官が少年審判の開始を決定した場合、家庭裁判所で非公開の審判がおこなわれます。
主な出席者は裁判官、裁判所書記官、家庭裁判所調査官、裁判所事務官、少年、保護者、付添人(弁護人)などです。
審判は少年の処遇を決定するために開かれますが、審判そのものにも教育的機能があると考えられています。
そこで裁判官は調査の結果に加えて審判でのやり取りも踏まえて、最終的にその少年にとってどのような処分が適当かを判断し告知します。
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少年審判によって決定される主な処分には、不処分、保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)知事・児童相談所長送致、逆送(検察官送致)があります。
以下でそれぞれの処分の意味や特徴を確認しましょう。
調査や審判などによる教育的な働きかけの結果、少年の再非行の可能性が低いと判断されれば「不処分」となるでしょう。
不処分とは「処分しない」という意味なので、どこにも施設に収容されずに私生活に戻ることができます。
法務省が発表した「令和3年版 犯罪白書」によると、一般保護事件の不処分割合は16.2%となっています。
成人の刑事事件と異なる少年事件の特徴的な処分が「保護処分」です。
保護処分には保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致の3種類があり、調査や審判で明らかになった問題点などに応じて決定されます。
犯罪白書によると、一般保護事件の保護観察の割合は24.0%、少年院送致の割合は6.6%となっています。
裁判官が、18歳未満の未成年者を児童福祉法の措置にゆだねるのが相当と判断した場合は、知事または児童相談所長送致の処分を下すことになります。
特に、少年の再非行の可能性は低いけれど、家庭環境に問題があると判断された場合に採用される処分です。
犯罪白書によると、この処分の割合は1%以下となっています。
裁判官が、少年事件を起こした少年の非行歴、成熟度、事件性などを踏まえて刑事裁判が相当と判断した場合は、逆送(検察官送致)という処分が下されます。
家庭裁判所から逆送された場合、検察によって地方裁判所または簡易裁判所に起訴されます。
犯罪白書によると、一般保護事件の検察官送致の割合は1.9%となっています。
未成年者が捜査機関に逮捕された場合でも、弁護士に相談・依頼することは可能です。
早期に弁護士に依頼することで取り調べに関する適切なアドバイスを受けられるでしょう。
また、学校への説明をしたり、ほかの非行少年との関係を断ったりするなどの環境調整をサポートしてくれます。
ここでは弁護士に依頼できることを確認しましょう。
少年事件で家族などが少年本人と面会できるのは、検察官によって勾留が決定されてからです。
しかし、弁護士の場合は逮捕直後から少年と面会することが可能です。
早い段階で少年と面会できると「どのように取り調べを受ければいいか」のアドバイスをもらえるようになり、不利な供述調書を作成されずにすむ可能性が高まります。
また、保護者の方も「少年がどのように過ごしているか」を教えてもらえるため、接見禁止期間でも安心できるでしょう。
被害者が存在する少年事件であれば、弁護士がその被害者の方と示談交渉をおこなってくれます。
成人の刑事事件と異なり、被害者との示談が成立したからといって家庭裁判所への送致を防げる訳ではありません。
しかし、示談を成立させることは、「自分の行為を十分反省し被害者に謝罪している」という証明になり、また「親が積極的に謝罪している」という教育的な意義を示すことにもなります。
その結果、重い処分を避けられる可能性が高まるのです。
事件を起こしたのが少年の場合は、学校に通っていることが多いでしょう。
そうした少年の非行が学校に知られてしまうと、最悪の場合は退学処分を下されるかもしれません。
しかし、弁護士が介入すると学校に対して事件の見通しや更生の可能性などを丁寧に説明してくれるため、こうした退学処分などを回避できる確率が高まります。
少年事件では「全件送致主義」がとられているため、少年に嫌疑がある場合は全て家庭裁判所に送致されてしまいます。
しかし「検察による勾留請求がされるかされないか」「家庭裁判所で観護措置がとられるかどうか」などは事件の内容や少年の周辺環境などによって異なります。
依頼を受けた弁護士は少年の周辺環境の調整をおこなうなど、できる限り早期に釈放してもらえるように尽力してくれます。
未成年の子どもであっても、犯罪行為をすれば捜査機関に逮捕されます。
逮捕された少年の年齢によって異なりますが、14歳以上20歳未満の少年の場合は家庭裁判所に送致されて、少年審判によって一定の処遇を受けることになるでしょう。
できる限り早く身柄を解放したり、重い処分を避けたりするためには、弁護士のサポートが不可欠です。
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