ネット誹謗中傷
SNSなどネット上で名誉毀損を受けたらどうする?悪意ある投稿への対処法
2024.08.28
SNS上で誹謗中傷を受けたとき、相手を名誉毀損で訴えたいと考える方もいるでしょう。
名誉毀損罪で訴える場合、まずは名誉毀損罪が成立する要件や注意点を理解しておく必要があります。
本記事では、名誉毀損罪で訴えることができる要件や投稿例、訴えるまでの流れを解説します。
SNSでの誹謗中傷・名誉毀損で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
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名誉毀損罪は、刑法第230条で定められている犯罪です。
まずは、名誉毀損罪とはどのような犯罪なのか、ネット上の投稿で名誉毀損罪が成立する要件などを解説します。
(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法 | e-Gov法令検索
名誉毀損罪が成立するのは、以下の4つの要件を満たした場合です。
名誉毀損罪が成立する書き込みの具体例は以下のとおりです。
投稿された内容が本当であるかに関係なく、その人の社会的評価の低下につながると考えられる場合は名誉毀損罪に該当します。
また、「バカ」「デブ」「殺すぞ」などの投稿は具体的な事実を示していないので、名誉毀損罪にはあたりません(この場合は、侮辱罪や脅迫罪が問題となります。)。
SNSなどインターネット上で名誉毀損をしてきた相手に法的責任を負わせる方法には、以下の3つがあります。
名誉毀損罪は「親告罪」なので、相手を名誉毀損罪で訴えたい場合は告訴をおこなう必要があります。
親告罪とは、被害者が告訴しなければ検察が起訴できない犯罪のことです。
告訴が受理されると、警察による捜査が始まります。
その後、検察が投稿者を起訴すれば、相手は罰金刑や、懲役刑、禁固刑などの刑事罰に処せられる可能性があります。
SNS上で名誉を毀損された場合、投稿者に損害賠償(慰謝料)を請求することも可能です。
投稿された内容が虚偽であった場合、慰謝料がより高額になる傾向があります。
また、投稿によって企業の売上が低下した場合は、その損害額も慰謝料として請求できます。
名誉毀損に該当する場合の慰謝料の相場は以下のとおりです。
個人の場合 | 10万〜50万円 |
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企業の場合 | 50万〜100万円 |
ただし、事案の悪質性や結果の重大性によっては、個人の場合であっても慰謝料が100万円を超える事例や、企業の場合で数百万円の慰謝料が認定される事例もあります。
また、投稿の数が多い場合、その分慰謝料が増額される傾向にありますので、上記はあくまで目安となります。
名誉毀損にあたる記事や投稿を、削除するよう請求することも可能です。
SNSやサイト管理者に対して直接削除を請求する方法は、SNS・Webサイトごとに用意されています。
そのため、各SNS・WebサイトのFAQなどで確認が必要です。
具体的にはSNS・サイトごとに以下のような方法が用意されています。
上記のような方法が用意されていない場合、「送信防止措置依頼書」をサイト管理者へ郵送する方法もあります。
送信防止措置依頼書の見本については、以下法務省の公式サイトでダウンロードできるので参考にしましょう。
【参考】侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書 | 法務省公式サイト
送信防止措置依頼書を送付する際は、本人確認書類のコピー、誹謗中傷の証拠(投稿内容などを印刷したもの)を添付しましょう。
これらの方法で削除に応じてくれない場合は、裁判所で削除依頼の仮処分を申し立てます。
名誉毀損をした投稿者への慰謝料請求や刑事告訴をおこなう場合、まずは相手が誰なのかを特定する必要があります。
ここからは、投稿者を特定して慰謝料請求・刑事告訴をする際の一般的な流れを解説します。
誹謗中傷などの投稿のスクリーンショットを撮影するなどして、証拠を残しましょう。
SNS上の投稿はいつ削除されるかわかりません。
証拠を残しておかないと、名誉毀損を受けたという事実を証明できず、投稿者に法的責任を負わせるのが難しくなります。
投稿を見つけたら、すぐに以下の内容が映るように画面を撮影してください。
スマートフォンでは上記の情報が全て映らない場合があるので、できればパソコンの画面を撮影しましょう。
次に発信者情報開示請求、または発信者情報開示命令の手続きをします。
発信者情報開示請求とは、インターネット上の匿名の投稿で誹謗中傷や名誉毀損を受けた場合に、投稿者の情報を開示するよう求める手続きのことです。
大まかな流れは以下のとおりです。
発信者情報開示命令申立ては、2022年10月1日に新設された制度です。
発信者情報開示命令申立ては発信者情報開示仮処分命令申立てと違い、コンテンツプロバイダ・アクセスプロバイダ別々に裁判手続きをおこなう必要がありません。
1回の裁判手続きで投稿者の情報開示を求めることができます。
一般的な流れは以下のとおりです。
投稿者を特定できたら、損害賠償を請求します。
損害賠償額は投稿者との話し合いで決めますが、お互い適正な金額がわからず揉めてしまう可能性があります。
また、相手から減額を求められ「思っていたよりも少ない金額しか受け取れなかった」ということにもなりかねません。
損害賠償請求をおこなう場合はできるだけ弁護士に依頼し、代わりに交渉してもらいましょう。
投稿者を名誉毀損罪で訴えたい場合は、刑事告訴をします。
告訴状を作成し、最寄りの警察署に提出しましょう。
告訴状は投稿者を特定してから6ヵ月以内に提出する必要があるので、期限を過ぎてしまわないよう注意してください。
インターネット上で名誉毀損された場合は弁護士に相談するのがおすすめです。
ここからは、名誉毀損について弁護士に相談・依頼するメリットを3つ紹介します。
投稿者を特定するために、発信者情報開示請求仮処分命令の申立てや・発信者情報開示命令の申し立てなどをおこなう必要があります。
裁判手続きをおこなうことになりますが、法律の知識がない人がスムーズに進めるのは決して簡単ではありません。
また、開示請求が認められるには、名誉毀損を受けた事実や情報開示を受けるべき正当な理由があることなどを証明する必要があり、一般の人が対応するのは難しいでしょう。
弁護士に依頼すれば、開示請求が認められるための要件を考慮した適切なサポートやアドバイスを受けられます。
一連の手続きを任せることもできるので、自分でやるよりも投稿者をより迅速に特定できるでしょう。
投稿者に損害賠償を請求する際の交渉も任せられます。
投稿者と直接話し合う必要がないため、精神的な負担を軽減できるでしょう。
また、弁護士は交渉経験が豊富なので、より有利な条件で賠償金を受け取れる可能性が高くなります。
刑事告訴をする際のサポートを受けられる点も大きなメリットです。
告訴をするには、告訴状の作成や証拠の準備などの専門的な手続きをとる必要があります。
また、告訴状を提出しても、受理してもらえないケースは少なくありません。
弁護士に依頼すれば、告訴に向けた準備や、告訴状を受理してもらうための働きかけをしてもらうことが可能です。
刑事告訴をスムーズかつ確実におこなうためにも、弁護士に依頼するのは有効な方法といえるでしょう。
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SNSなどネット上の名誉毀損トラブルについて、弁護士に対応を依頼した場合にかかる費用の目安は以下のとおりです。
依頼内容 | 手続きの種類 | 費用の目安 |
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記事削除 | 削除依頼の代行 | 着手金:5万〜10万円 報酬金:5万〜10万円 |
裁判(仮処分)の申し立て | 着手金:20〜30万円 報酬金:0〜20万円 | |
投稿者特定 | IPアドレス開示請求 | 着手金:20〜30万円 報酬金:10万〜20万円 |
発信者情報開示請求 | 着手金:20万〜30万円 報酬金:10万〜20万円 | |
損害賠償請求 | 交渉による請求 | 着手金:10万円〜20万円 報酬金:賠償金の約16%前後 |
民事訴訟での請求 | 着手金:約20万円〜30万円 報酬金:賠償金の約16%前後 |
インターネット上で名誉毀損にあたる投稿をされた場合、以下の3点に注意しましょう。
開示請求までに時間がかかると、投稿者を特定する前にプロバイダのログが削除されてしまう可能性があります。
アクセスプロバイダのログは、3ヵ月程度で消えてしまうことが多いです。
またコンテンツプロバイダのログについては、事業者によってより短い期間で削除されてしまうこともあります。
ログが消えてしまうと投稿者を特定できなくなってしまうので、できるだけ早く開示請求をおこないましょう。
名誉毀損罪は「親告罪」のため、名誉毀損罪で訴えたい場合は必ず刑事告訴をする必要があります。
親告罪とは、被害者が告訴しなければ検察が加害者を起訴できない犯罪のことです。
刑事告訴をして初めて警察の捜査がおこなわれるので、必ず刑事告訴をおこないましょう。
SNS上で投稿者と直接やりとりしてしまうと、逆恨みされ相手からの誹謗中傷がエスカレートする可能性があります。
また「投稿を削除してください」と焦って依頼してしまうと、証拠を取得する前に投稿が削除され開示請求ができなくなるリスクがあるので注意してください。
投稿を見つけたら、まずはその内容を撮影して証拠に残し、弁護士に相談することをおすすめします。
また、証拠を確保したら相手をミュート・ブロックするなどして、直接やりとりできないように距離をおくことも大切です。
これによって、SNS上で相手から直接攻撃されて傷ついてしまうのを避けられます。
インターネット上で誹謗中傷してきた相手に法的責任を負わせるには、まずは発信者情報開示請求などをおこなって投稿者が誰なのかを特定しましょう。
投稿者を特定したら、損害賠償請求や刑事告訴の手続きを進めることになります。
しかし、いずれの手続きにも専門的な知識が求められるため、一般の人がスムーズに対応するのは簡単ではありません。
投稿者を確実に特定したい場合は、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、開示請求手続きや刑事告訴のサポートを受けられるほか、損害賠償を請求する際の交渉を代行してもらうこともできます。
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