ネット書き込みを削除する方法|状況別の3つの手続きを徹底解説

ネット書き込みを削除する方法|状況別の3つの手続きを徹底解説

インターネットは個人の意見や感想を自由に発表できる場所ですが、一方で他人の権利を侵害する行為や誹謗中傷といったトラブルが生じやすい場所でもあります。

ネット掲示板サイト・個人ブログ・SNSなどでは、他人を攻撃することを目的とした悪意のある書き込みを受けるケースが少なくありません。

悪質な書き込みをそのまま放置していると、ほかのユーザーの目にとまってしまい悪評が拡散されてしまうおそれがあります。

被害を拡散・拡大させないためには、書き込みの削除を検討するべきです。

このコラムでは、ネット上での書き込みを削除する方法を解説します。

状況に応じていくつかの方法があるので、あなたが置かれている状況に照らして最善の方法で手を尽くしていきましょう。

ネットでの悪質な嫌がらせにお悩みの方へ

ネットの投稿を削除しても、再び投稿が繰り返されるようでは意味がありません。

 

問題を根本的に解決するには、加害者を特定して訴訟で対応した方が良いケースも多い
です。
もし加害者への慰謝料請求刑事告訴を検討する場合は、以下の法律相談サービス(電話・メール)をお気軽にご活用ください。

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この記事を監修した弁護士
甲斐 伸明弁護士(東京みらい法律事務所)
2005年弁護士登録。インターネットの普及に伴うさまざまなトラブルに対し、培ってきた様々な知識・経験を活かし、被害者に寄り添う。テレビなどメディアでの掲載実績も多数有。

悪質なネット書き込みを削除する3つの方法

ネットの書き込みを削除する方法は3つです。

  1. サイト管理者への削除依頼
  2. 仮処分での削除申立て
  3. 書き込んだ本人に削除させる

書き込みを削除するには、まずサイト管理者に対して対象の書き込みを「削除してほしい」と依頼することからスタートします。

それでも解決しない場合に限り、裁判所に仮処分での削除を申し立てるというのが一般的な流れとなるでしょう。

掲示板サイト・SNSなどのように、悪意のある書き込みをした本人と接触できる場合は、本人に「削除してほしい」と求めることも可能です。

ただし、本人に削除を求めることで相手を逆上させてしまう、面白がられてさらに悪意のある書き込みが続き炎上するといったリスクも覚悟する必要があります。

逆上・炎上のリスクを考えれば、加害者本人との接触はおすすめできる方法ではありません。

まずはサイト管理者への削除依頼から

まず、ご自身でネット誹謗中傷を削除する方法を確認していきましょう。

サイトによって細かな手続き内容は異なりますが、一般的にはお問い合わせフォームなどから削除依頼を出すことで対応してもらえます。

たとえば、X(旧Twitter)ならX(旧Twitter)の所定のフォーム(https://help.twitter.com/forms)がありますので、このフォームの指示に従って投稿(書き込み・画像など)の削除を求めるのが、削除依頼の基本的な流れとなるでしょう。

削除依頼では書き込みの違反内容を明確にする

サイトへ削除依頼をする際には、投稿内容がどのような規約違反・権利侵害(名誉毀損や肖像権侵害など)に該当するかを明記する必要があります。

たとえば、サイトの利用規約で削除基準が定められている場合は、「この投稿の○○という表現は削除基準の第三項の要件に該当します」のように、投稿内容がどの削除基準に該当するかを正確に記載しましょう。

削除基準が公開されていない、または権利侵害被害の記載が条件の場合は、「この投稿の○○という表現は名誉毀損に該当します」のように、投稿内容が違法な権利侵害に該当することを正確に記載します。

権利侵害の代表例
名誉毀損公然の場で具体的な事実を挙げたうえで第三者の評判を落とす可能性のある行為をすること
(例:あいつは不倫している、あいつは前科持ちだ)
侮辱公然の場で具体的事実を挙げないで第三者の評判を落とす可能性のある行為をすること
(例:昔からずっと根暗、仕事ができない落ちこぼれ)
プライバシー侵害公開を望んでいない個人情報や私生活の情報を正当な理由なく公表する行為
(例:本名や住所などの個人情報、出社退社の時間帯)

それぞれの違反内容を明確に挙げていないと、削除依頼に失敗してしまいます。

書き込みのどの部分がどのような権利侵害にあたるのかを正確に判断できない場合は、弁護士への相談を検討しましょう。

ネット書き込み削除依頼の例文

削除を依頼する場合の例文を挙げてみましょう。

<個人情報の削除依頼>
この書き込みで記載されている氏名と住所は、私の個人情報です。この書き込みはプライバシー侵害にあたるので、削除対応をお願いいたします。
<誹謗中傷の削除依頼>
この書き込みの「◯◯は美容整形をしている事実を隠して視聴者をだましている」という表現は、私の社会的評価を下げる悪質な誹謗中傷です。名誉毀損に該当するので、削除をお願いいたします。
<口コミの削除依頼>
この口コミの「高級シャンプーを売りつけてくる美容室だから気をつけて」という表現は、当店の評価を低下させる悪質な投稿です。名誉毀損に該当しますので、削除対応をお願いいたします。

この例文は、削除理由に関する箇所だけを抜粋したものです。

サイトによってはほかにも記入情報が必要になる場合もあります。

利用規約を確認のうえ、記入漏れのないようにご注意ください。

書き込みの削除依頼が失敗してしまったら

書き込みの削除依頼が失敗してしまった場合にとるべき行動は3つです。

  1. 削除依頼の方法・内容に問題がないかを確認
  2. 専門家へ対処法を相談する
  3. 弁護士へ削除依頼の代行を依頼

削除依頼の方法・内容に問題がないかを確認

削除依頼の失敗でもっとも多いのが、削除依頼の方法や内容に問題があるケースです。

  • 各サイトへの削除依頼の問い合わせ・請求について、方法や手順を間違えている
  • 削除依頼の理由について、違反内容を正確に指摘できていない

時間が経っても削除してもらえない場合は、各サイトの利用規約を確認して削除依頼の方法や手順に問題がなかったのかを検証してみましょう。

「この部分に間違いがあるので削除に応じられない」と指摘してくれるサイトばかりではないので、気長に待っていると危険です。

削除されず、サイト側からの返答もなければ、ただちに次の手を打つ必要があると心得ておいてください。

専門家へ対処法を相談する

各サイト・SNSでは、権利侵害や規約違反について独自のルールを定めています。

利用規約とともに『プライバシーポリシー』という表記をみかけたことがある方も多いでしょう。

プライバシーポリシーとは「個人情報の取扱い方針」を意味しており、どのような内容が権利侵害や規約違反にあたるのかは各サイト次第です。

もし、内容や手順に間違いがないのに削除依頼に応じてもらえなかったとすれば、サイト管理者が「削除できる内容ではない」という判断を下したと考えなければなりません。

専門家に相談して、別の対処法に向けたアドバイスやサポートを受けましょう。

【相談先】インターネット違法・有害情報相談センター

弁護士へ削除依頼の代行を依頼

個人での削除依頼に失敗した場合は、弁護士に相談して削除依頼を代行してもらいましょう。

これまでに削除依頼の成功実績がある弁護士なら、削除が実現するよう法的根拠に照らしながら交渉に尽くしてくれます。

各サイトに応じた削除依頼の方法や傾向も熟知しているので、個人による削除依頼のような失敗はありません

また、5ちゃんねる・2ちゃんねるのように、過去の実績からサイト側が認めた弁護士からの削除依頼には応じるといった姿勢を示しているサイトも存在しています。

弁護士に削除依頼の代行を任せた場合の費用相場は次のとおりです。

着手金5万~10万円
報酬金5万~10万円

決して安くはない費用がかかりますが、個人で対応するよりも削除の成功率やスピードを高めることができるでしょう。

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それでも削除できない場合は仮処分を検討する

個人からの削除依頼には応じてくれない、弁護士に削除依頼を任せても削除してくれないといった状況なら、裁判所の『仮処分』という手続きを活用し、法的措置によって削除を目指しましょう。

『仮処分』とは、訴訟の判決を待つことなく、権利侵害を排除するための手続きです。

書き込みがプライバシー侵害や名誉毀損などにあたる場合は、裁判所からサイト管理者に対して「書き込みを削除しなさい」という仮処分命令を得られる可能性があります。

仮処分の条件や流れについては、以下記事でも詳しく解説しています。

【関連記事】仮処分での削除申し立て|書き込み削除までの流れと費用について

仮処分による書き込み削除にかかる費用

仮処分の申立てに必要な費用は次のとおりです。

裁判所に納める費用印紙代2,000円
郵便切手代1,000円前後
担保金30万~50万円
弁護士に支払う費用着手金約20万円
報酬金約15万円

裁判所に納める費用として気になるのは『担保金』でしょう。

担保金は、仮処分によって相手方に何らかの損害が生じ、申立人がその賠償責任を負う事態になった場合の責任を担保するものです。

担保なので、申立人側が勝訴すれば取り戻すことが可能です(実際には裁判をすることなく取り戻していますが、詳しくは弁護士にご相談ください)。

弁護士費用はあくまでも相場ですが、サイト側への裁判外の削除依頼の代行から継続して任せた場合は着手金が不要または減額される可能性があります。

書き込みが削除されるまでの期間の目安

仮処分を申し立てて実際に削除されるまでの期間は、おおむね1~2ヶ月です。

ただし、X(旧Twitter)・Googleなどのように運営元が海外にあるサイトでは、文書の翻訳や郵送などの手続きに時間がかかるので、さらに時間がかかることもあります。

※書き込み削除で代行業者の利用は要注意

検索エンジンで「書き込み 削除」と検索すると、数多くの削除代行業者がヒットします。

「削除率100%」「確実に削除」といった魅力的な宣伝を目にすることもありますが、実は削除代行業者の多くが違法です

書き込みの削除依頼は法律事務にあたります。

そして、他人の法律事務について報酬を受け取ることができるのは弁護士だけです

弁護士ではない削除代行業者がサイトに対して削除を依頼することは弁護士法に反する『非弁行為』であり、実際に違法であるという判決が下された事例もあります。

しかも「削除代行業者からの依頼は一切受け付けない」と宣言しているサイトもありますので、高額な費用を支払っても削除に失敗してしまうケースはめずらしくありません。

削除代行業者は違法であるという情報は徐々に浸透してきましたが、なかには「弁護士が所属している」と虚偽の宣伝をしている業者もあるので、違法業者の選別は難しくなっています。

疑わしい削除依頼業者の利用は避けて、正規の弁護士に依頼しましょう。

ネットの書き込み削除に関するQ&A

ネットの書き込み削除に関してよく寄せられる疑問に答えていきましょう。

自分の書き込みでも削除はできる?

本当に自分の書き込んだ投稿であることの証明が難しいので基本的にはできないことが多いようです。

犯罪歴・逮捕歴の削除はできる?

プライバシーにあたるものですが、削除に応じてもらえないケースも多数あります。

個人の犯罪歴・逮捕歴は社会の重要な関心事であり、公共性・公益性が高いため、削除を認めてもらうのは容易ではありません。

【詳細記事】ネット上の逮捕歴は削除できる?自分で削除する方法や依頼費用を解説

削除しても嫌がらせが続く場合の対処法

プライバシー侵害や誹謗中傷にあたる書き込みを放置するのは得策ではありません。

しかし、せっかく手を尽くして削除しても、再び同じような書き込みが続くのであれば、削除は根本的な解決法とはいえないでしょう。

書き込みを削除しても嫌がらせが続く場合は、加害者を特定し、法的措置で対抗する必要があります。

加害者が匿名やハンドルネームなどを利用している場合でも、手順を踏めば特定は可能です。

加害者の特定方法やその後の法的措置については、以下記事で詳しく解説しています。

【関連記事】ネット誹謗中傷の特定方法|書き込み犯人を調べる費用の相場は?

まとめ

ネットの書き込みで誹謗中傷やプライバシー侵害などの嫌がらせを受けている場合は、各サイト・SNSのルールに従って削除を依頼しましょう。

削除の条件や手続きの手順を間違わなければ、削除依頼が認められる可能性があります。

もし削除依頼に失敗した場合は、なぜ削除に応じてもらえなかったのかを詳しく検証する必要があるので、専門家にアドバイスやサポートを請うのが賢明です。

個人では削除に失敗してしまったのでより確実に削除を成功させたい、一旦は削除に成功したが繰り返しの被害を受けて困っているという方は、削除依頼の実績が高い弁護士に相談しましょう。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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