インスタグラムのなりすましアカウントへの対処法｜削除方法・特定方法

自分になりすましたインスタグラムのアカウントを見つけ、「なんとか対処したい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

インスタグラムのなりすまし行為は、運営元に通報すれば削除してもらえます。また、投稿内容が悪質であれば刑事責任を追及できるうえ、慰謝料の支払いを求めて民事訴訟を起こすことも可能です。

今回は、自分になりすましたインスタグラムアカウントを見つけた場合の対処法について紹介します。

この記事を監修した弁護士

大隅愛友弁護士（弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所）

掲示板・SNS・口コミサイトへの悪質な書き込みの削除に注力！法人・個人問わず対応可。法人や個人事業主には顧問契約での継続的なサポートも行っています。

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インスタグラムでのなりすまし行為は規約違反として通報できる

インスタグラムでは利用規約によって、他人へのなりすましを禁止しています。

そのため、なりすまし行為を見つけた場合は、運営元に通報すればしかるべき対処をしてもらえます。

速やかにアプリやWebブラウザのサポートフォームから被害を報告し、対処してもらいましょう。

インスタグラムでのなりすまし行為は犯罪になることもある

なりすましアカウントによって次に紹介するような被害を受けた場合は、加害者の身元を特定できる可能性があります。

犯罪として刑事責任に問えたり、不法行為による損害の賠償を求めて民事訴訟を起こしたりすることもできます。

自分の社会的評価が落ちるような投稿がされている場合

なりすましアカウントによって、「自分は不倫をしている」「自分には前科がある」など、被害者の社会的評価を落とすような投稿をされた場合は名誉棄損罪が成立する可能性があります。

名誉棄損とは、内容の真偽に関係なく、本人の名誉を傷つけるような言動を公然とおこなった者に対して問われる罪です。

名誉棄損罪が成立すれば、刑法第230条で定められているとおり、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」に処せられます。

他人を侮辱するような投稿がされている場合

具体的な事実を示すことなく、公然と人を侮辱するような言動をされた場合は侮辱罪が成立しえます。

なりすましアカウントが「自分はデブでブスで嫌われている」「自分はあばずれだ」など被害者を侮辱する投稿をしていたり、「あの先輩はバカだ」「あの上司は使えない」など被害者以外の第三者に対して侮辱的な内容の投稿をしていたりするケースが当てはまるでしょう。

侮辱罪が成立すれば、刑法第231条で規定されているとおり、「一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処せられます。

自分の個人情報が無断で公開されている場合

なりすましアカウントによって、自分の住所や電話番号、職業、家族構成などの個人情報を公開された場合は、プライバシー侵害に当たります。

プライバシー侵害は刑法での定めがなく犯罪ではないため、刑事責任は問えませんが、不法行為として損害賠償請求をおこなえる可能性があるでしょう。

プライバシー侵害にあたる情報とは以下の3つの要件を満たすものを指します。

• 私生活上の事実または事実らしく受け取られるおそれのある内容である
• 一般的な感覚を基準にして公開を望まないと思われる内容である
• 本人が公開しておらず、一般の人々がまだ知らない内容である

自分の写真や動画が無断で公開されている場合

なりすましアカウントが、自分の写真や動画を公開していれば肖像権の侵害に該当します。

肖像権の侵害も刑法での定めはないため、刑事責任は問えませんが、民事訴訟により、損害賠償請求をできる可能性はあるでしょう。

肖像権の侵害が成立するには、一般に以下の要件を満たす必要があるとされています。

• 個人が特定できる画像や動画である
• インスタグラムなど不特定多数が閲覧できる場所で公開された
• 公開されておらず、公開の許可もしていない画像や動画である

インスタグラムでなりすまし被害に遭った場合の対処法

自分になりすましたインスタグラムのアカウントを見つけたら、どのようにすればよいのでしょうか。対処法を紹介します。

自分のなりすましアカウントがあることを周囲に注意喚起する

まずはなりすましアカウントがあることを周知しましょう。

なりすましアカウントが削除されるまでにはある程度の時間がかかります。その間に、なりすましアカウントがDM送信などによって、DM受信者の個人情報を盗むなど悪用するおそれがあるからです。

以下の内容をフィードやストーリーに投稿するなどし、閲覧者に注意を呼びかけましょう。

• なりすましアカウントのプロフィール欄やDMに記載されたURLはクリックしない
• クレジットカードの番号や銀行の暗証番号、住所、電話番号といった個人情報は入力しない
• なりすましアカウントをフォローしない。誤ってフォローしてしまった場合は、直ちにフォローをやめる

インスタグラムの運営に通報して削除依頼をする

なりすましアカウントによる被害を拡大しないためにも、早急に運営元へ削除依頼をしましょう。

インスタグラムでは、アプリやWebブラウザから通報できるほか、アカウントをもっていなくても報告できます。

アプリから通報する場合の流れ

アプリからは以下の手順で通報します。

1. なりすましアカウントのプロフィール画面を表示する
2. 画面右上にある3つの点が縦に並んだボタンをタップ
3. 「報告する」を選択
4. 報告の対象で「このアカウント全体」を選択
5. 「このアカウントについての報告内容」のうち「他の人になりすましている」を選択
6. 「誰になりすましていますか？」の選択肢から「自分」を選択

以上で完了です。

Webブラウザから通報する場合の流れ

Webブラウザからであれば、こちらのフォームから報告できます。次の手順で報告します。

1. 「誰かが自分の名前、写真または情報を使って新規アカウントを作成した」を選択し「次へ」をクリック
2. 「Instagramでのなりすましアカウントを報告」という画面が表示され、状況を一番よく表しているものを選べるので、該当の選択肢を選んで「送信」をクリック

インスタグラムのアカウントをもっていない場合の流れ

インスタグラムのアカウントをもっていない場合は、こちらのフォームから通報しましょう。表示される選択肢のうち、自身の状況に一番近いものを選んで送信すれば完了です。

加害者の身元を特定して慰謝料請求する

インスタグラムでのなりすまし行為によって、名誉棄損や侮辱を受けたり、プライバシーや肖像権の侵害を受けたりした場合は、加害者の身元を特定のうえ、慰謝料の請求が可能です。

その場合、以下の流れで進めます。

1. インスタグラムの運営元に加害者のIPアドレスの開示を請求する
2. IPアドレスから特定したプロバイダへ加害者についての情報開示請求をする
3. 加害者に対して慰謝料請求をする

発信者情報の開示請求は、インスタグラム運営元へもプロバイダへも直接おこなってもかまいませんが、対応してもらえないケースも多くあります。

インスタグラム運営元へは仮処分手続き、プロバイダへは訴訟手続きをおこなうことになるでしょう。慰謝料請求も、加害者が応じなければ訴訟を起こして請求することとなります。

2022年10月以降は発信者情報開示請求が一つの手続きで可能に

運営元とプロバイダへの開示請求は、2022年10月の改正プロバイダ責任制限法の施行により、一元化されました。

これまでのように仮処分と訴訟の二つの手順を踏まなくても、一度の手続きにより発信者情報が開示されます。

手続きの迅速化、簡便化が期待できる一方、従来どおりの手続きを踏んだほうが早いケースもあります。どちらの手続きを採用すべきかは個々のケースによるため、弁護士に相談するのがよいでしょう。

加害者の身元を特定して刑事告訴する

名誉棄損罪や侮辱罪が成立するケースでは、発信者の身元を特定すれば刑事告訴をして責任を問える可能性があります。以下の手順で進めるとよいでしょう。

1. インスタグラムの運営元に加害者のIPアドレスの開示を請求する
2. IPアドレスから特定したプロバイダへ加害者についての情報開示請求をする
3. 最寄りの警察やサイバー犯罪相談窓口へ相談する

インスタグラムでのなりすまし被害者が弁護士に依頼するメリット

自分になりすましているインスタグラムのアカウントを見つけたら、弁護士に相談、依頼することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、次のようなメリットが期待できるからです。

なりすまし行為について違法性があるかどうか判断してくれる

なりすましをされたというだけでは、発信者情報の特定も慰謝料の請求もできません。違法な権利侵害によって損害を被ったことが認められる必要があります。

弁護士に相談すれば、なりすまし行為に違法性があるかどうかを判断してもらえます。そのうえで的確に対処してもらえるでしょう。

加害者の身元特定や責任追及などの手続きを代行してくれる

発信者情報の開示請求や慰謝料請求は、裁判所での手続きを通じておこなうことがほとんどです。裁判手続きは煩雑であり、不慣れな方にとってはたいへんな負担となるでしょう。また、望む結果を得るためには、法律知識を用いた的確な主張が不可欠であり、専門知識がなければ困難です。

弁護士に依頼すれば、全ての裁判手続きを代わりにおこなってもらえます。

法律的な専門知識も備えており、論理的かつ的確に主張してもらえるので、望みどおりに解決する可能性が高まるでしょう。

自力で対応するよりもスムーズな問題解決が望める

弁護士は裁判手続きをおこなうのに慣れています。そのため、自分で申し立てをおこなうよりもスムーズに解決できるでしょう。

また、インスタグラムの通信データの保存期間は3ヵ月程度といわれています。

発信者情報の開示と、相手に何らかの責任を追及したいなら、被害に気づいた時点で速やかに対策を講じなければなりません。

保存期間経過によって悔しい思いをしないためにも、SNS被害をはじめとするIT問題の解決が得意な弁護士に早めに依頼するのが望ましいといえます。

さいごに｜インスタグラムのなりすまし被害でお悩みの方は弁護士に相談！

自分になりすましているインスタグラムのアカウントを見つけたら、すぐに弁護士に相談しましょう。

なりすましアカウントの悪用による被害者を減らすためにも、速やかな対応が肝心です。

特に加害者の特定を望む場合は、運営元のデータ保存期間が限られているうえ、裁判手続きを利用せねばならないケースがほとんどであるため、弁護士に依頼するのが無難でしょう。

速やかにIT問題の解決に注力している弁護士に相談することをおすすめします。

参考：【Instagram】なりすましに要注意！運用担当者がすべき対策｜Shopify experts-Shopi Lab

この記事の調査・編集者

アシロ編集部

本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。