知的財産権とは|含まれる権利と侵害された場合の対処法

知的財産権とは|含まれる権利と侵害された場合の対処法

知的財産権(ちてきざいさんけん)とは、特許権や著作権など無形のものに価値を与え、その利用に一定の独占権を与えるというものです。

特許権、実用新案権、意匠権といったいくつかの権利の総称ですが、どのような権利が含まれているのか、また知的財産権を侵害された場合にはどのような対処がとれるのかについて紹介していきます。

知的財産権の侵害に悩んでいるあなたへ

知的財産権を侵害されているけど、どう対処すればいいかわからず悩んでいませんか?

 

結論からいうと、知的財産権の侵害は民事だけでなく、刑事上の責任追及をすることも可能です。

もし、知的財産権の侵害を解決したい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします

 

弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • 当該案件が知的財産権侵害に当たるか判断してもらえる
  • 投稿の削除依頼の出し方を教えてもらえる
  • 依頼すれば、差し止め請求の手続きを任せられる
  • 依頼すれば、損害賠償手続きを一任できる

ベンナビITでは、ネット上の知的財産権侵害の解決を得意とする弁護士を多数掲載しています。
無料相談・電話相談など、さまざまな条件であなたのお近くの弁護士を探せるので、ぜひ利用してみてください。

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この記事を監修した弁護士
梅澤 康二
梅澤 康二弁護士(弁護士法人プラム綜合法律事務所)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

知的財産はなぜ守る必要があるか?

具体的にどのようなものを守っているかについては後述しますが、知的財産というのは人が創造することによって生まれた価値のある情報です。

物ではなく情報です。

この知的財産は長い時間や莫大な資金や度重なる努力をかけて創られたものですが、有形の「物」とは異なり情報ゆえに同時並行的に消費されやすいという性質があります。

かんたんに言えばマネされやすいということです。

頑張って作ったのにもかかわらず容易くマネをされ、最初に創った人になんの見返りもなければ新しく創ろうという意思が損なわれかねません。

しかし、新しいモノを創ろうという意思を持つ人々がいなくなってしまった場合、これ以上の産業的な発展も望めなくなります。

産業的な発展を阻害しないためにも、作り手の権利を保護しようというのが知的財産権なのです。

知的財産権の種類

知的財産権は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、育成者権、回路配置利用権、営業秘密、商号、商品表示、商品形態等の権利をまとめた呼び方です。

この内、赤色のモノを産業財産権といって、産業もしく工業に関する技術やデザインなどの利用に独占権を与え、産業発展を円滑にすることを目的としています。

知的財産権

上記で挙げた権利の根拠法、概要、権利を発生させるための登録機関について表でまとめました。

表:知的財産権に含まれる権利の概要
権利名根拠法概要権利を発生させるための登録機関
特許権特許法発明(自然法則を利用した高度なもの)の保護特許庁
実用新案権実用新案法物品の形状等の考案の保護特許庁
意匠権意匠法物品、建築物、画像のデザインの保護特許庁
商標権商標法商品およびサービスのマークの保護特許庁
著作権著作権法小説などの本、楽曲、美術、建築物、地図、映画、写真、プログラムなどの保護なし
育成者権種苗法植物の新品種の保護農林水産省
回路配置利用権半導体集積回路の回路配置に関する法律半導体集積回路の回路配線の利用の保護ソフトウェア情報センター
商号商法商号(会社等の名称)の保護法務省
営業秘密不正競争防止法ノウハウや顧客リストなどの企業が保有する秘密情報の保護なし
商品等表示不正競争防止法周知or著名な商標等の不正使用の規制なし

【参考】特許庁

表の中にも記載してあるとおり、知的財産権には特定の機関に登録することで初めて権利が発生するものと、自動的に権利が発生するものがあります。

産業財産権の4つはすべて特許庁、育成者権なら農林水産省といった具合です。

下2つの営業秘密と商品等表示に関しては侵害されると不正競争防止によって不正競争行為の停止・予防請求や損害賠償請求をすることができます。

知的財産権を侵害された場合の対処法

知的財産権を侵害された場合、金銭的な措置である「損害賠償請求」「不当利益返還請求」と相手に対して利用の停止をする「差止請求」をすることが認められています。

また民事だけでなく、刑事上の責任を問うことも可能です。

損害賠償請求

侵害行為に遭った場合、相手に故意もしくは過失がある場合は、不法行為に基づく損害賠償請求が認められています(民法709条)。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

不当利益返還請求

侵害行為が故意によって行われたものでなければ損害賠償請求ができないため、その代わりとして故意や過失が不要である不当利得返還請求(民法703条)という方法があります。

(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

差止請求

権利を侵害した人に対し、侵害行為の停止や予防を求めることを指します。

具体的には、侵害行為によって作られた物の使用を禁止したり、作成するための設備を廃棄することが含まれます。

特許法第100条特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
著作権法第112条著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
実用新案法第27条実用新案権者又は専用実施権者は、自己の実用新案権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
商標法第36条商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
意匠法第37条意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
種苗法第33条育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

知的財産権の侵害によって刑事告訴することができます。

権利ごとに罰則が異なりますが、多くのものが10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金となっています。

刑事罰

権利名罰則根拠法
特許権10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科特許法196条
実用新案権5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金実用新案法56条
意匠権10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科意匠法69条
商標権10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科商標法78条
育成者権10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科種苗法67条
著作権10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科著作権法119条
回路配置利用権3年以下の懲役または100万円以下の罰金半導体チップ法51条
営業秘密10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科不正競争防止法21条

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知的財産権の侵害を弁護士に相談するメリットと費用

知的財産権の侵害をされていることが発覚した場合、前述した民事訴訟や刑事訴訟の前に警告書を送ったり、その後交渉によってお互いの妥協点を探すことが一般的です。

弁護士に依頼をすれば、相手との交渉、適切な書類作成、裁判へ進んだ際の出廷などを代理して行なってくれるのです。

弁護士に依頼するメリット

ここまでご覧いただいたように、著作権は様々な権利関係が絡み合ってできているので何にどう対応して良いかわからないケースが考えられます。

権利侵害を放置していた結果、別の第三者から訴訟を起こされる危険性もありますので、できるだけ早い解決が望ましいといえます。

著作権や権利関係弁護士であれば

  • 問題が深刻化する前に解決策を提示してくれる
  • たとえ問題が深刻化してもその対処法を知っている

この2点が大きなメリットになりますので、スピード解決が望んでいるのであれば、まずは弁護士の無料相談を利用してみてはいかがでしょうか。

弁護士費用

知的財産権の侵害で弁護士に依頼した場合、警告や交渉を行う場合訴訟を行う場合の2つが想定されます。

弁護士事務所によって費用はまちまちですので、はっきりと額を出せるわけではありません。

数件の弁護士事務所を比較してみましょう。

どのような弁護士を選ぶべきか

知的財産権の侵害をされた際の弁護士選びでは、各知的財産の法律に対する知識だけでなく、専門の知識が必要です。

ネット上で「知的財産 弁護士」などと検索すれば知的財産権に自信を持っている事務所がヒットするので、そこから選んでみるのもいいでしょう。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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