Amazonの悪質・違法なレビューを削除する方法

Amazonの悪質・違法なレビューを削除する方法

世界最大のECサイトである『Amazon』では、書籍をはじめとしてさまざま商品が販売されており、当該商品の紹介ページには購入者や利用者から投稿されたカスタマーレビューが表示されます。

このカスタマーレビューには、『書籍や商品に関する意見や感想』にとどまらず、著者や出品者に対する誹謗中傷が投稿されることがあります。

特に書籍については、創作に多大な労力を費やしたにもかかわらず心無い誹謗中傷のレビューが投稿されると、対象書籍の売上の低下にとどまらず、著者としての社会的信用が失墜することになりかねません。

この記事では、Amazonのカスタマーレビュー(以下よりAmazonレビューと表記)に書き込まれた誹謗中傷の対応方法についてご紹介します。

Amazonの悪質なレビューに困っていっるあなたへ

Amazonで自分の商品に悪質なレビューが投稿されてるけど、どう対処すればいいかわからず困っていませんか?

 

結論からいうと、Amazonのガイドラインに違反するレビューは削除対象になります。

もし、レビュー投稿者を特定して責任追及したい場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします。

 

弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • レビューに違法性があるか判断してもらえる
  • 削除依頼の出し方を教えてもらえる
  • 依頼すれば、アマゾンジャパン合同会社への情報開示手続きを一任できる
  • 依頼すれば、損害賠償請求の手続きを一任できる

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この記事を監修した弁護士
山岡 裕明弁護士(八雲法律事務所)
2010年弁護士登録。情報セキュリティスペシャリスト。ITに関する法律問題に特化。2016年4月、日本で初めてアマゾンジャパンからAmazonレビューの投稿者情報の開示請求につき認容判決を勝ち取る。
(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)

Amazonレビューの対応方法

Amazonレビューに投稿された誹謗中傷を内容とするレビューに対する対応方針は、大きく分けて以下の2つです。

  1. 投稿の削除
  2. 投稿者の特定

いずれの対応が適切かは投稿内容次第ですが、書籍の内容に関する若干過激なレビューということであれば削除対応をすれば足りることが多いです。

それに対して、書籍の内容に関係ない著者の人格に対する誹謗中傷など明らかに書評にとどまらない悪意のあるレビューについては、削除しても執拗に投稿が繰り返される可能性があるので、投稿者を特定しないと抜本的な解決に繋がりません

これまでAmazonレビューを対応した経験上では、後者の内容のレビューの場合、著者の競業者であったり、著者に個人的な恨みを持つ身近な人物からのレビューであったことが少なくありません。

(※上記の内容は最も多いご相談事例である書籍を念頭に置いて説明しますが、書籍以外の商品についても同様です)

削除対象になるAmazonレビュー

まずは、Amazonレビューの削除対象から確認していきましょう。

Amazonは『コミュニティガイドライン』において、「不正やガイドラインを違反する行為を発見した場合は、カスタマーサービスへご連絡ください。」と規定しています。

同ガイドラインでは、以下のような内容の投稿を禁止していきます。

  • 「誹謗、中傷、いやがらせ、脅迫、扇動、卑猥、わいせつ、またはみだらな内容」
  • 「他のお客様のプライバシーを侵害する投稿」
  • 「他人の悪口や攻撃へ関与」
  • 「知的財産や所有権を侵害する内容の投稿」
  • 「違法行為を誘発したり、支持したりする内容の投稿」

したがって、これらのガイドライン違反のAmazonレビューが削除対象になるでしょう。

Amazonレビューを削除する方法

弁護士に依頼せずに独自に削除する方法としては以下の3つの方法があります。

レビューを削除する方法
  • レビューを違反報告する
  • メールで問い合わせる
  • 郵送による削除請求

レビューを違反報告する

各Amazonレビューの下部には、『役に立った』『コメント』及び『違反を報告』という3つのフォームが用意されています。

amazonレビュー違反報告

Amazonのアカウントをお持ちであれば、この『違反を報告する』をクリックし理由を入力して送信することで、Amazonに対して削除対象であることの報告をすることができます。

メールで問い合わせる

「違反を報告」のリンクが見当たらない場合、又は「違反を報告」しても削除の対応がなされない場合、メールにて削除の請求をすることができます。

<お問い合わせ先>
community-help@amazon.co.jp

郵送による削除請求

サイト上での報告やメールでの請求以外にも、Amazonの日本における運営法人であるアマゾンジャパン合同会社に対して、削除すべき理由を具体的に記載したうえで郵送にて削除請求をおこなうこともできます。

<郵送先>
アマゾンジャパン合同会社
〒153-0064
東京都目黒区下目黒1-8-1

弁護士にレビュー削除を依頼することも可能

Amazonレビューの削除は、弁護士に依頼することも可能です。

弁護士を雇った場合は、郵送による削除請求、または裁判での削除請求で対応することになるでしょう。

郵送による削除請求

郵送による削除請求はご自身でおこなうことも可能です。

ただ、削除理由を法的に整理して構成する点で、弁護士からの削除請求の方が効果は高いような印象があります。

通常、期間としては2週間~2ヶ月程度でアマゾンジャパン合同会社から削除請求についての返答が届きます。

裁判での削除を検討するべき状況

郵送による削除請求に応じてもらえなかった場合、Amazon側において削除請求対象のAmazonレビューがガイドラインに違反するかの判断が難しかった事例といえます。

この場合、裁判を利用することで裁判官に削除が相当か否かの判断をしてもらいます。

裁判官からAmazonレビューが削除相当との判断が下れば、Amazon側は迅速に削除請求に応じるでしょう。

その際には、仮処分手続という迅速な裁判手続を利用することになりますので、通常、期間としては1か月~2か月程度が見込まれます。

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レビュー投稿者を特定する方法

Amazonレビューのご相談においては、ご依頼が多いのは投稿者の特定です。

削除がなされたにもかかわらず繰り返し同じ内容の投稿がなされてキリが無い場合や、投稿内容から察するところ著者の競業者、又は著者に個人的な恨みを持つ身近な人物からのレビューである場合など深刻な件が多いからです。

投稿者を特定し損害賠償請求をおこなうことで、誹謗中傷投稿をやめさせる抑止力にもなり得ます。

発信者の特定の方法

投稿者を特定するためには、アマゾンジャパン合同会社に対して投稿者の情報開示を求めることになります。

ただし、投稿者のプライバシーにも関わりますので、裁判を利用せずに開示してもらえることはほとんど期待できません

では、裁判を利用する場合、どのような方法があるでしょうか。

大きく分けて2つの方法があります。

投稿者を特定する方法
①アマゾン合同会社にIPアドレスの開示請求後、プロバイダに対して投稿者の開示請求をする方法
②アマゾンジャパン合同会社に対してアカウント情報(氏名や住所)の開示を求める方法

①の特定方法の特徴

①の方法のデメリットは、裁判を2回利用しますので、裁判を1回だけ利用する後者の方法と比べて、費用と期間が1.5倍から2倍掛かります。

メリットとしては、IPアドレスという確かな情報を辿りますので、投稿者の特定に辿り着く可能性が高いといえます。

なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。

改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によっておこなうことができるようになります。

これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。

また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。

②の特定方法の特徴

②の方法のメリットは、裁判を1回だけ利用しますので、前者の方法と比べて費用と期間を抑えることができます。

デメリットとしては、投稿者がアカウント情報に虚偽の情報を入力していた場合、仮に勝訴してもアマゾンから虚偽の情報しか入手できないという点にあります。

ただし、Amazonは商品の配送の関係上、氏名及び住所といったアカウント情報について真実の情報を入力している可能性が高いです。

このことはAmazonレビューの投稿者であっても同じです。

以上の2つの方法を前提に、どちらの方法が適切かを検討のうえ、投稿者の特定のための裁判を起こします。

投稿者を特定した後は?

投稿内容が、ガイドライン違反のみならず、著者の名誉権を侵害する場合は不法行為が成立します。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法709条

また、投稿者が競業者の場合、不正競争防止法上の『不正競争』行為に該当し得ます。

第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
~中略~
十五 その限定提供データについて限定提供データ不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその限定提供データを開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
引用元:不正競争防止法2条1項15号

これらを根拠に、投稿者に対する損害賠償請求が可能です。

また、Amazonレビューの投稿が名誉毀損罪に該当する場合、刑事告訴も可能です。

(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法230条

まとめ

Amazonレビューの削除対応では、基本的には一般的なウェブサイトにおける誹謗中傷記事削除対応の手続きと変わりはありません。

一方で、投稿者の特定については、裁判の利用が不可欠となり、また、裁判の方法も複数存在します。

確実かつ早期に投稿者を特定できるよう、ネットの誹謗中傷問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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