IPアドレスから個人の特定はできるか?誹謗中傷をしてくる相手を特定する方法

IPアドレスから個人の特定はできるか?誹謗中傷をしてくる相手を特定する方法

ネット上で誹謗中傷を受けた方のなかには「IPアドレスから相手を特定したい」と考えている方もいるでしょう。

IPアドレスとは、インターネット接続をする際に必要となる住所のようなものです。

IPアドレスは、パソコンやスマートフォンでインターネット接続をする際に、プロバイダから割り振られます。

それでは、IPアドレスから、氏名や住所といった具体的な個人情報を特定することはできるのでしょうか。

本記事では、IPアドレスで個人を特定できるのかを解説します。

IPアドレスからわかる情報、投稿者を特定する際のポイントや注意点も解説するので、誹謗中傷をしてきた相手を特定したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
立花 志功弁護士(立花志功法律事務所)
立花志功法律事務所は、北海道札幌市の法律事務所。トラブルに巻き込まれた方々を全力で助けるため、活動している。

IPアドレスだけで詳細な個人情報の特定はできない

誹謗中傷をしてきた相手の詳細な個人情報をIPアドレスだけで特定することはできません

それでは、IPアドレスで特定できるのはどのような情報なのでしょうか?

IPアドレスだけで特定できる情報は限られている | 特定できる主な情報2つ

IPアドレスだけでわかる情報は限られています。

IPアドレスから特定できる主な情報は、国・地域単位での位置情報とインターネット接続サービスプロバイダです。

名前や正確な住所といった詳しい個人情報までは特定できません

なお、投稿者の大まかな位置情報やインターネット接続サービスプロバイダなど情報は、「IPアドレス住所検索」や「KEIROMICHI|IPアドレスから住所を検索」などのサイトで検索できます。

以下、IPアドレスから特定可能なこれら情報について詳しく見ていきましょう。

1.国・地域単位での位置情報

IPアドレスから、そのIPアドレスで投稿者がインターネット接続をした国や大まかな地域などの位置情報までわかります。

たとえば投稿者が自宅でSNSなどに情報を書き込んだのであれば、自宅のある国とおおよその地域がわかるわけです。

日本国内の場合、都道府県や市区町村までなら特定できることがあります。

投稿者の正確な住所まで特定することはできません。

2.インターネット接続サービスプロバイダ

投稿者が投稿時に利用したインターネット接続サービスプロバイダ(以下、プロバイダと略します)を特定することもできます。

アクセスプロバイダとも呼ばれ、具体的にはSo-net、BIGLOBE、OCNなどが挙げられます。

IPアドレスをもとにプロバイダへ開示請求をすることで投稿者の氏名などを特定する

これまで述べたとおり、IPアドレスだけでは投稿者の詳しい個人情報はわかりません。

投稿者の氏名や住所といった個人情報を特定するには、IPアドレスを割り振ったプロバイダへ開示請求をします。

投稿者自身がそのプロバイダと契約していれば、投稿者の氏名・住所などを調べられるのです(一部例外もあります。例外的なケースについては「3.IPアドレスなどがわかっても投稿者を特定できないケースがある」で紹介しています。)。

次項からは、IPアドレスをもとに投稿者の個人情報を特定する手順をみていきましょう。

投稿者のIPアドレスを特定するため、サイト運営者に開示請求をおこなう

投稿者の個人情報を知るためには、まず投稿者のIPアドレスを特定する必要があります。

投稿者のIPアドレスを特定するには、2chやX(旧Twitter)などサイトの運営者に対してIPアドレスを開示するよう請求しなければなりません。

なお、サイト管理者に開示請求をおこなう際は、IPアドレスとあわせて「タイムスタンプ」などの情報も求めます。

タイムスタンプとは、簡単に言うとそのIPアドレスによって投稿がおこなわれた日時に関する情報です。

しかし、サイト運営者には個人情報の守秘義務があることなどから、任意の開示請求に応じることは少ないでしょう。

任意の開示請求を拒否された場合は、裁判所を通して開示するよう申し立てる必要があります。

IPアドレスなどから投稿者の氏名や住所を特定する際にできる3つの手続き

サイト管理者から投稿者のIPアドレスやタイムスタンプなどが開示されたら、その情報をもとに投稿者の氏名や住所を特定する手順です。

IPアドレスなどから投稿者の氏名や住所を特定する手続きとして、以下3種類があげられます。

1.プロバイダに任意の開示を求める

IPアドレスから特定したプロバイダに対し、任意の情報開示を求めます(IPアドレスからプロバイダを特定する方法は「IPアドレスから特定できる情報は限られている | 特定できる主な情報2つ」で紹介しています。)。

誹謗中傷や名誉毀損など、権利を侵害する投稿がされた場合に情報を開示してもらうことが可能です。

開示請求に必要な書類はプロバイダにより異なりますが、一般的には以下のとおりです。

  • 発信者情報開示請求書
  • 本人確認資料
  • 投稿の内容・日時・URLがわかるWebサイトの画面キャプチャなど
  • 投稿日時や投稿時の接続元IPアドレスを証明する書類

しかし、情報開示はあくまで任意であり、残念ながら開示請求しても応じてもらえないことが多いです。

開示請求を拒否された場合は、次に紹介する発信者情報開示請求訴訟を申し立てます。

2.裁判所に発信者情報開示請求訴訟を提起する

プロバイダに任意の開示請求を拒否された場合、裁判所に発信者情報開示請求訴訟を提起します。

本訴訟はプロバイダの本社所在地がある裁判所でおこなわれることから、たいてい東京地方裁判所管轄です。

発信者情報開示請求訴訟に勝訴することで、プロバイダから投稿者の氏名・住所など個人を特定するための情報が開示されます。

3.発信者情報開示命令によって開示を求める

2022年10月1日から新設された発信者情報開示命令を使って開示を求めることもできます。

発信者情報開示命令とは、1回の裁判手続きでサイト運営者とプロバイダの両方に開示請求ができる手続きのことです。

従来の発信者情報開示請求よりも少ない負担で、より早く投稿者を特定しやすいのがメリットといえます。

一方で、プロバイダが開示を強く拒み異議が訴えられると訴訟へ移行する点は注意しなくてはなりません。

その結果、従来の発信者情報開示請求にくらべかえって開示までにかかる時間が長くなることがあるのです。

ケースにより発信者情報開示請求と発信者情報開示命令のどちらが適切か異なるので、判断に迷ったら弁護士に相談するとよいでしょう。

【参考】発信者情報開示命令申立て | 裁判所

IPアドレスなどから投稿者を特定する際の3つのポイント

IPアドレスやタイムスタンプなどから投稿者を特定する際は、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

1.できる限り早く開示請求の手続きを始める

投稿者を特定するには、投稿のログが残っている間に開示請求を済ませる必要があります。

SNSなどのログは1~2ヵ月程度、プロバイダのログは数ヵ月程度で削除されてしまう場合も少なくないのです。

そのため開示請求の手続きを始めるのが遅れると投稿者を特定できなくなる可能性があります。

また、開示請求の手続きには専門的な知識が求められるので、思った以上に時間がかかることも考えられるでしょう。

早めに手続きを始めておけば、ログが消えないうちに余裕を持って手続きできるため、ネット上で誹謗中傷を受けたらすぐに手続きに取り掛かりましょう

2.権利侵害をされたことがわかる証拠を残しておく

ネット上で誹謗中傷を受けたら、投稿内容などのスクリーンショットを撮影して証拠を残しましょう

証拠を残しておかないと、投稿者が投稿を削除した場合に誹謗中傷を受けた事実を証明できず、開示を受けられない可能性があります。

スクリーンショットを撮る際は、以下の情報が映るようにしてください。

  • 投稿の内容
  • 投稿のURL
  • 投稿された日時
  • その投稿に関する一連の投稿内容
  • 投稿者のユーザー名

スマートフォンでは上記の情報が映らない可能性があるので、パソコンで撮影したほうがよいでしょう。

3.発信者情報開示請求が得意な弁護士に相談・依頼する

発信者情報開示請求に詳しい弁護士に依頼すれば、開示請求や損害賠償請求などの手続きを代わりにおこなってもらえます。

開示請求を認めてもらうには、誹謗中傷を受けたという事実を法律的に証明しなければなりません。

高度な知識が求められるので、一般の人が自力で対応するのは決して簡単ではないでしょう。

仮に開示請求が成功したとしても、損害賠償を請求する段階で再び法律の知識が必要になり、より複雑な対応が求められます。

弁護士に依頼すれば、開示請求手続きを素早く正確に進められるうえ、有利な条件で損害賠償を受け取れる可能性も高くなります

手続きをスムーズかつ有利に進めるには、弁護士に依頼するのが得策です。

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IPアドレスなどから個人情報を特定する際に知っておくべき注意点

IPアドレスやタイムスタンプなどから個人情報を特定する際は、以下の3つに注意しましょう。

1.要件を満たしていない場合は個人情報を開示してもらえない

以下の要件をクリアしていなければ、情報を開示してもらうことはできません

  • 権利を侵害されたことが明らかであること
  • 開示を受ける正当な理由があること

投稿の内容が名誉毀損やプライバシーの侵害にあたる場合は、「権利を侵害されたことが明らか」であるとみなされます。

また開示を受ける正当な理由の例は以下のとおりです。

  • 投稿者に損害賠償を請求したい
  • 投稿者に誹謗中傷をやめさせたい

通常は上記のような理由で開示が求められるのが一般的ですから、本要件が問題となることはほとんどないでしょう。

「投稿者の家へ押しかけて仕返しをしたい」など、相手の生活が害される可能性がある理由は正当とはみなされません。

2.サイト管理者やプロバイダは任意の開示に応じないことがほとんど

サイト管理者やプロバイダに任意の開示請求をしても、残念ながら応じてくれないことがほとんどです。

サイト管理者には守秘義務があり、簡単には任意の開示請求に応じてくれません

またサイト管理者が任意の請求に応じるためには、投稿によって「権利が侵害されたことがあきらか」である必要があります。

しかしサイト管理者がその判断をするのが難しい、というのが任意の開示請求に応じない主な理由です。

プロバイダについても、同様の理由で任意の開示に応じてくれないことが多いのは否めません。

プロバイダに関しては、投稿者の氏名・住所といったより重要な個人情報の開示を求められることから、より慎重になる面もあるでしょう。

特に投稿者への意見照会で開示に同意しない旨の回答があった場合、任意の開示には応じてくれない傾向にあります。

そのため投稿者の個人情報を開示してもらうためには、裁判上の手続きが必要となることがほとんどなのです。

3.IPアドレスなどがわかっても投稿者を特定できないケースがある

仮にサイト管理者からIPアドレスやタイムスタンプなどの開示があっても、投稿者の個人情報が特定できないケースもある点は注意ください。

主なケースとして以下があげられます。

プロバイダがログを消してしまっている
プロバイダによってログの保存期間は異なります
保存期間を過ぎてログが削除されている場合、投稿者のIPアドレスがわかっても個人情報の特定には至りません。
海外のプロキシサーバーを利用している
投稿者が海外のプロキシサーバーを利用していた場合、サイト管理者から開示されるのはこのプロキシサーバーのIPアドレスです。
このとき、投稿者の個人情報を特定するには、海外のプロキシサーバーに対し接続元IPアドレスの開示を請求する必要があります。
海外プロキシサーバーへの開示請求が、できないわけではありません。
しかし国内のプロバイダに開示請求するのに比べ期間が長くなるうえ、費用も高額となります。
その結果、海外のプロキシサーバーを利用している場合、事実上、個人の特定が難しくなるのは否めません。
ただ、昨今ではSNSなどが海外プロキシサーバーを経由したアクセスを禁止している場合も多いです。
そのため、この理由で個人情報の特定ができなくなる例は少ないでしょう。
フリーWi-Fiを使って投稿している場合
フリーWi-Fiを使い問題の投稿がおこなわれた場合、開示請求によって判明するのは提供元・運営元のIPアドレスです。
投稿者自身のIPアドレスではありません。
そのためIPアドレスから、投稿者の個人情報を特定することはできないのです(刑事事件に発展し警察が捜査することになった場合、監視カメラの映像などで投稿者の特定に成功することは考えられます。)。

このほか、投稿者がネットカフェやインターネット付の集合住宅で投稿をおこなった場合も、個人情報の特定に至らない可能性があります。

このように、IPアドレスなどの特定によって、必ずしも投稿者の個人情報が判明するわけでないことは覚えておきましょう。

さいごに|インターネット上の投稿者を特定したい場合は弁護士に相談を!

インターネット上の投稿で誹謗中傷を受けた場合、サイト運営者からIPアドレスを開示してもらうことで投稿者を特定できることがあります。

しかし、情報開示請求には専門的な知識が求められるため、一般の人が難なくこなすのは至難の業です。

投稿者を素早く確実に特定したいなら、発信者情報開示請求に詳しい弁護士に依頼しましょう

弁護士に依頼すれば、手続きに必要な書類の作成や裁判手続きなどを全て代行してもらえるので、手間と時間を大幅に削減できます。

ぜひ一度相談してみてください。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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