私的情報・画像流出
【事例あり】個人情報漏洩とは? 被害を最小限にする対処法を徹底解説
2024.08.27
肖像権(しょうぞうけん)とは、被写体が無断で写真や動画を撮影されたり、不特定多数の前に公開されたりすることを禁止する権利です。
スマホの普及により、現代では以下のようなトラブルに発展するケースも珍しくありません。
この記事では肖像権とは何か、どのような行為が肖像権の侵害になるのか、肖像権を侵害された時の対処法を解説します。
SNSに自分の写真を無断で転載されている、誹謗中傷に利用されているなど、すでに被害を受けている方は解決の参考にしてください。
肖像権侵害の対処法を知れば、これからインターネットを使用するときに自分や大切な人を守れるでしょう。
また、あなた自身が知らないうちに誰かの肖像権を侵害することを防げるかもしれません。
勝手に撮られた写真や動画をSNSなどでで公開されたら、嫌な気持ちになるうえ「これって肖像権侵害?」と悩んでしまいますよね。
結論からいうと、肖像権侵害でお悩みの方は弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談すれば、自分のケースが肖像権侵害にあたるかどうかや対処法を教えてもらえるので、心強いでしょう。
弁護士に相談することで、さまざまなメリットがあります。
当サイトでは、対面はもちろん、メールや電話での相談が可能な弁護士も多数掲載しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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肖像権はプライバシー(人格)権とパブリシティ(財産)権の2つで構成されている権利です。
また、肖像権には法律上保護されるべき人格的利益を有していると解釈された判例もあります。
人は,みだりに自己の容姿を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有し,また,自己の容姿をみだりに公表されない人格的利益も有している。
【引用】
裁判年月日 令和 2年10月13日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 令2(ワ)133号
事件名 発信者情報開示請求事件
文献番号 2020WLJPCA10138005
【関連記事】肖像権の侵害が認められる条件と侵害された時に気をつけるべきこと
プライバシー権とは、あなたの姿や個人情報を守るための権利です。
もしも無断で撮影されたり、無許可でネットに公開されたりすればプライバシー権が侵害されているといえる可能性があります。
後述のパブリシティ権とは異なり、一般人(普通に生活をしている人)である以上は皆プライバシー権を持っています。
【関連記事】プライバシー侵害とは|成立要件と事例(判例)で具体例を解説
『著名人』が持つ経済的な利益や価値を財産と考え、その財産を独占的に利用する権利のことをパブリシティ権といいます。
たとえば芸能活動やプロアスリートとして活動をしている人の中にはその存在だけで、多大な経済利益を創出する人がいます。
人気・あるいは時の人を起用することでテレビの視聴率が上がったり、広告に起用して商品の売れ行きが良くなったりするなどです。
そんな著名人のブランドによる顧客吸引力も保護の対象になっています。
また、以下3つの要件を満たしていた場合、パブリシティ権の侵害が認められるでしょう。
なお、上記の成立要件は以下の『ピンク・レディー無断写真掲載事件』による判例が元になっています。
〔裁判要旨〕
人の氏名、肖像等を無断で使用する行為は、(1)氏名、肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、(2)商品等の差別化を図る目的で氏名、肖像等を商品等に付し、(3)氏名、肖像等を商品等の広告として使用するなど、専ら氏名、肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、当該顧客吸引力を排他的に利用する権利(いわゆるパブリシティ権)を侵害するものとして、不法行為法上違法となる裁判所名 最高裁第一小法廷 裁判区分 判決
事件番号 平21(受)2056号
事件名 損害賠償請求事件 〔ピンク・レディー無断写真掲載事件・上告審〕
裁判結果 上告棄却
引用元:文献番号 2012WLJPCA02029001
X(旧Twitter)やFacebookなどのSNS利用者が増えた現代では、ネット上の画像を通じてコミュニケーションを楽しめるようになりました。
しかし、一方で「許可していないのにSNS上に動画をアップされた」「顔がはっきりわかる画像を無断で載せられた」など個人の権利が侵害されるケースも増えています。
事実、総務省では肖像権やプライバシーの侵害などのインターネット上のトラブルが増加しているとして、問題に巻き込まれないよう注意を促しています。
【参考】SNS上での誹謗中傷への対策に関する 取組の大枠について|総務省
この項目では、SNS上で肖像権を巡ったトラブルの対処法を解説します。
X(旧Twitter)は拡散力の高いSNSのため、無断で写真をアップされた場合には強い不安を覚える方もいるでしょう。
X(旧Twitter)上にアップされた写真を放置することでGoogleなどの検索に表示されてしまったり、第三者に悪用されてしまったりするリスクがあります。
X(旧Twitter)上にあげられた写真を肖像権侵害として削除依頼する場合、公式ページの「個人情報の投稿について報告する」から申請する方法が有効です。
削除申請の流れは以下のようになります。
削除依頼から2週間以上経過して削除されない場合には、「運営側に投稿の問題点をきちんと伝えられているか」を確認してみましょう。
それでも対応してくれない場合には、弁護士への相談も一つの手段となるでしょう。
【関連記事】X(旧Twitter)で肖像権侵害になる状況と投稿された写真を削除する方法
根強い人気を保つインスタですが、肖像権侵害にあたる写真がアップされるケースもあるようです。
利用規約では肖像権違反の写真をアップロードした責任はアップしたユーザー自身が第一に負うとされています。
【参考】利用規約|Instagram
したがって、肖像がはっきりと写っており、その人がアップロードを嫌がると想定できる写真についてはアップロードを控えるか、またはアップロードの了承をその人にもらう必要があります。
また、インスタのストーリー機能は24時間以内に自動削除されますが、それよりも早く削除したい!といった場合には投稿者に削除を求めてみましょう。
ストーリー上で肖像権侵害が繰り返し続く場合には「アカウントの違反報告」を検討してみましょう。
ただし、ご自身が風景の一部として写り込んでいたり、埋め込み・リポスト機能が利用されていたりする場合には肖像権侵害と認められない可能性があります。
後述しますが、権利侵害に該当するには被写体の特定が可能であること、公開されることで具体的な不利益が生じる可能性があること、公開を許可していないこと等が要件となります。
要件を満たしていないようなちょっとした写り込みでは、相手方が交渉に応じないケースもありますので、そういった場合には弁護士に相談してみましょう。
【関連記事】インスタグラムに写真を勝手に載せられたときの対処法
ユーチューバーの台頭によりYoutubeの人気はさらに高まっていますが、撮影された動画を無断で投稿するなどして肖像権侵害が起こることもあります。
例えば、動画の内容がご自身の社会生活に現実的な悪影響を及ぼしている場合には肖像権侵害が認められるでしょう。
一方で、駅や公園などの人が大勢いる公共の場で撮影されて、背景の一部として写り込んでしまった場合には肖像権侵害になりにくいでしょう。
Youtubeで肖像権侵害をされた場合には、Youtube運営に削除依頼を出す方法と、動画投稿者を特定して訴える方法があります。
犯人特定の手続きは裁判になるケースがほとんどで、特定までにかかる時間は半年前後とされています。
Youtubeで投稿者を特定したい場合にはある程度の労力がかかることを覚えておきましょう。
【関連記事】Youtubeでの肖像権侵害|勝手に動画を投稿された際の対処法
Tiktokは気軽に動画をアップロードできるSNSですが、中には肖像権侵害にあたる投稿もあるかもしれません。
知らない間にご自身の姿を撮影されて、その動画が拡散されることに嫌悪感を覚える方もいるでしょう。
Tiktokに投稿された動画を削除したい場合には、以下のような対応が考えられます。
Tiktokのガイドラインには「肖像権などの権利を侵害するコンテンツは削除する」という内容が記載されていますので、まずは運営に「当該動画がご自身の権利を著しく侵害している」ことを伝え、それでも対応してくれない場合には仮処分を申し立てるといった流れが適切でしょう。
仮処分の申し立てはIT問題に注力する弁護士に依頼するとスムーズに進むかもしれません。
【関連記事】肖像権の侵害が認められる条件と侵害された時に気をつけるべきこと
肖像権の侵害は、民法第709条の不法行為による損害賠償を根拠として訴えることになります。
肖像権侵害の被害にあった場合、相手に対し削除依頼(写真や動画の削除)と損害賠償請求ができるでしょう。
過去の裁判では差止請求(肖像権の侵害をやめさせる処置)も認められているので、削除して欲しい対象のデータを削除できる可能性があります。
肖像権侵害の基準は法律で規定されていませんが、違法性が認められる代表例として以下のような状況が挙げられます。
被写体がはっきりと写真や映像に映っているケースは肖像権の侵害になりやすいです。
一方で顔が映っていない、映っているけれどもほんの一瞬の映像やぼやけている場合は、肖像権侵害に該当する可能性は低いでしょう。
また、人混みで偶然写り込んでいただけなど、撮影者が被写体を狙った撮影でない場合も肖像権の侵害は認められにくい傾向にあります。
被写体本人から許可が出ていた場合の撮影は肖像権の侵害にはなりません。
ただし、撮影の許可をしたけれど公開を認めていない場合は、肖像権の侵害になる可能性が出てきます。
被写体が撮影された場所も肖像権侵害の判断材料になります。
たとえばイベント会場や公園のような公共施設など、他人の撮影に入り込む可能性が高いと容易に想像できる場所での撮影は、肖像権侵害が認められにくいです。
不特定多数の人に見られることで被写体の精神を害する可能性があります。
そのため、不特定多数の人に見られる可能性が高い場所に投稿された場合は、肖像権の侵害が認められやすいです。
例えば、X(旧Twitter)やFacebookといったSNS、インターネット掲示板などへの投稿は拡散性が高いため、肖像権を侵害していると判断されるでしょう。
肖像権侵害の判断基準について裁判の判例では次のように述べられています。
人の肖像等を無断で使用する行為が不法行為法上違法となるかどうかは,対象者の社会的地位や,当該使用の目的,態様及び必要性等を総合考慮し,対象者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである。
裁判年月日 令和 2年 6月26日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平31(ワ)8945号
事件名 発信者情報開示等請求事件
【引用】文献番号 2020WLJPCA06269004
つまり、肖像権を侵害されたと感じる側が生活する上で耐えきれないほどの苦痛を感じていれば、肖像権侵害と判断される可能性があるでしょう。
自分や子どもの画像が勝手にSNSにアップされていたなど、肖像権を侵害されたかもしれないときは、弁護士に最終的な判断をしてもらいましょう。
もしも肖像権を侵害されていたら差止請求(写真の削除)や損害賠償請求を求める流れになります。
なお、肖像権の侵害は刑事事件の犯罪ではなく民事上の問題として扱われるため、民事不介入の原則から警察は対応できない傾向にあります。
仮に被害届を提出しても警察は優先的に捜査をしない可能性が高いですから、解決を目指すなら弁護士に相談するのが適切でしょう。
肖像権侵害のトラブル解決を弁護士へ依頼するメリットは、以下のとおりです。
肖像権侵害をいつから受け、どのような被害を受けたのかを主張して、慰謝料や削除などあなたの希望を通してくれるでしょう。
また、肖像権侵害に該当する根拠を示して差し止め請求をおこなってくれますから、管理側が対応してくれる可能性も高まるかもしれません。
写真が投稿されたサイト管理者に動画や画像の削除請求や差止請求をおこないます。
サイトによっては専用の申し出フォームを用意しているサイトもありますが、それらが用意されていない場合は、下記の内容を用意して、運営者に伝達するといいでしょう。
とはいえサイト管理者が必ず請求に応じる責任はなく、削除するかどうかは任意のため対応してくれない可能性があります。
その場合は法的手段として『仮処分』の手続きを裁判所へ申請する必要があります。
また、損害賠償請求についても匿名のSNSに公開された場合は誰が投稿したのか相手がわからないので、投稿者を特定しなければいけません。
ここまで読んでみて削除依頼や損害賠償請求の手続きは難しそうだな…と感じた人は、すべて代理でおこなってくれる弁護士に依頼するのが向いているでしょう。
なお、2022年10月27日までに改正プロバイダ責任制限法が施行されます。
改正プロバイダ責任制限法では、従来2段階の裁判手続が必要だった発信者情報開示請求を、1回の非訟手続によって行うことができるようになります。
これにより、被害者側の負担が軽減すると考えられるでしょう。
また、ログイン時情報の発信者情報開示請求は、一定の条件はあるものの、明文で認められるようになります。
弁護士への依頼費用の相場は、以下のとおりです。
着手金 | 20万円 |
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報酬金 | 賠償金の約16% |
弁護士費用は法律事務所によって、着手金無料など料金形態や金額が異なります。
なお、訴訟相手の身元が分からず特定手続きが必要な場合には、以下の開示請求の依頼費用も必要になる可能性が高いです。
IPアドレス開示請求(仮処分)※ | 着手金:約20万円 報酬金:約15万円 |
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契約者情報開示請求(裁判) | 着手金:約20〜30万円 報酬金:約15〜20万円 |
これらの費用は民事訴訟で特定した相手へ慰謝料として請求することも可能ですが、請求が認められるかどうかは裁判官の判断次第です。
法的措置での対応を検討している場合は、弁護士と相談して判断しましょう。
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肖像権侵害に関する過去の裁判事例を紹介します。
原告が、被告の発行する風俗店等の情報誌に無断で顔写真を掲載されたことで肖像権を侵害されたとして、損害賠償を求めた事案です。
写真を掲載する際に承諾の有無を確認すべきでしたが、それを怠った被告の過失が認められています。
結果、雑誌に写真を掲載されることで肖像権を侵害され、精神的損害を受けたとして20万円の請求が容認されました。
裁判年月日 平成26年11月27日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平25(ワ)16728号 事件名 損害賠償請求事件 裁判結果 一部認容 文献番号 2014WLJPCA1127800 |
原告が養育していた里子に対する傷害致死の容疑で逮捕された直後、被告が発行した週刊誌に掲載された記事及び写真により、原告の名誉が毀損されたほか、原告の著作権、パブリシティ権、プライバシー権等が侵害され、傷害致死容疑の刑事裁判に深刻な影響をもたらした事案です。
記事の一部について原告の社会的評価を低下させるものと訴えましたが、いずれも公共の利害に関する事実で公益を図る目的でおこなわれ、その主要な部分は真実であったと認められました。
結果的に裁判官は名誉毀損の成立を否定したほか、人格権侵害等に係る原告の主張も否定して、請求は棄却されました。
裁判年月日 平成26年 9月25日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平25(ワ)13121号 事件名 損害賠償請求事件 裁判結果 請求棄却 文献番号 2014WLJPCA09258009 |
自分が肖像権侵害の加害者にならないように気をつける必要もあるでしょう。
例えば、写真をSNSなどに公開するときは以下のことに注意しましょう。
たとえ友達でもプリクラなど一緒に写った写真を公開する時は、許可をもらうのが適切です。
また、観光名所などで撮影した写真を公開するときは、入り込んでしまった人々の顔をモザイク加工することでトラブルを防げるでしょう。
肖像権の侵害は法律で定義が定まっていないため、心当たりがある場合は弁護士に判断してもらうと間違いないでしょう。
肖像権を侵害している写真や動画などのコンテンツを削除したい場合は、サイトの管理者などに削除依頼をおこないます。
もしも管理者に対応してもらえない場合は仮処分など法的手段で削除を目指しますが、このような法的手段を取る場合は弁護士に依頼するのが一般的で、相手の特定や慰謝料請求など解決方法の選択肢も広がります。
自分の写真を関係ない人がネットに拡散して、別のトラブルに発展するリスクを避けるためにも早急に弁護士に相談しましょう。
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