口コミ・レビュー削除
Amazonの悪質・違法なレビューを削除する方法
2024.08.02
インターネット上に口コミを投稿した場合、その内容によっては店舗や施設などの運営者から訴えられるおそれがあります。
もし口コミの投稿を理由に訴えられてしまったら、速やかに弁護士へ相談・依頼して穏便な解決を図りましょう。
本記事では、投稿した口コミについて訴えられるおそれがあるケースや、訴えられた場合の手続きの流れ・対処法などを解説します。
口コミを投稿したところ訴えられてしまった方は、本記事を参考にしてください。
インターネット上に投稿した口コミについて、店舗や施設などの運営者から訴えられるおそれがあるのは、たとえば以下のような場合です。
他人の社会的評価を下げるような口コミを投稿すると、被害者に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負うことがあるほか(民法709条)、裁判所から謝罪広告の掲載などの名誉回復措置を命じられることがあります(民法723条)。
さらに、他人の社会的評価を下げるような口コミについては刑法上の「名誉毀損罪」が成立し、「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」に処されるおそれがあります(刑法230条1項)。
他人に知られたくない私生活に関する事柄は「プライバシー情報」と呼ばれます。
他人のプライバシー情報を勝手に公開することは「プライバシー権侵害」に当たり、被害者に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負うことがあります(民法709条)。
投稿した口コミが脅迫や業務妨害と受け取られかねない内容である場合は、被害者に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負うことがあります(民法709条)。
さらに、刑法上の「脅迫罪」(刑法222条、2年以下の懲役または30万円以下の罰金)、「偽計業務妨害罪」(刑法233条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)、「威力業務妨害罪」(刑法234条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)などが成立して処罰されるおそれがあります。
合理的な表現によって他人を批判することは、「表現の自由」(日本国憲法21条1項)の範囲内で保障されています。
その一方で、他人の名誉を不当に害する表現は、名誉毀損として違法となります。
正当な口コミと名誉毀損に当たる口コミは、どのように区別されるのでしょうか。
名誉毀損には、刑法上の名誉毀損罪と民事上の名誉毀損(不法行為)の2種類があります。
それぞれの成立要件は以下のとおりです。
刑法上の名誉毀損罪は、以下の構成要件をすべて満たした場合に成立します(刑法230条1項)。
名誉毀損罪の構成要件 |
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①問題の言動が公然とおこなわれたこと ※公然と=不特定または多数の人に向けて言動がなされること |
②言動の中で何らかの事実が摘示されたこと ※事実の摘示がない場合は、名誉毀損罪ではなく侮辱罪(刑法231条)の成否が問題となります。 |
③他人の名誉を毀損したこと ※名誉を毀損した=他人の社会的評価を下げるような言動を発したこと。 実際に被害者の社会的評価が下がったことは必要なく、客観的に見て被害者の社会的評価を低下させる可能性のある言動であれば足ります。 |
ただし例外的に、以下の3つの要件をすべて満たす場合には、「公共の利害に関する場合の特例」(刑法230条の2)によって名誉毀損罪が不成立となります。
公共の利害に関する場合の特例の要件 |
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①言動が公共の利害に関する事実に係ること(公共性) ②言動の目的が専ら公益を図ることにあったこと(公益性) ③摘示された事実が真実であると証明されたこと(真実性) ※摘示した事実が真実であると誤信したことにつき、確実な資料・根拠に照らして相当の理由がある場合には、犯罪の故意が否定されて名誉毀損罪が不成立となります(最高裁昭和44年6月25日判決)。 |
刑法上の名誉毀損罪との関係では、批判的な口コミが適法・違法のどちらに当たるかの区別は、主に「公共の利害に関する場合の特例」の要件を満たすかどうかによって判断されます。
民事上の名誉毀損(不法行為)は、以下の要件をすべて満たした場合に成立します(民法709条)。
民事上の名誉毀損(不法行為)の要件 |
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①言動が違法であること ※違法性の判断においては、言動の性質(=被害者の社会的評価を下げる性質のものであったか否か)や、刑法上の名誉毀損罪における公共の利害に関する場合の特例の要件に該当するか否かなどが考慮されます。 ※刑法上の名誉毀損罪とは異なり、事実の摘示は不要 |
②被害者に損害を与えることについて、加害者に故意または過失が認められること ※刑法上の名誉毀損罪は故意がある場合のみ、民事上の名誉毀損(不法行為)は過失による場合も成立 |
③言動によって被害者が損害を受けたこと ※物理的な損害だけでなく、精神的な損害(慰謝料)も損害賠償の対象 |
民事上の名誉毀損(不法行為)との関係でも、批判的な口コミが適法・違法のどちらに当たるかの区別は、主に「公共の利害に関する場合の特例」の要件を満たすかどうかによって判断されます。
ただし、民事上の名誉毀損(不法行為)は過失によっても成立するため、故意犯に限られる刑法上の名誉毀損罪よりも成立範囲が広い点に注意が必要です。
インターネット上に投稿される口コミは、投稿者の意見・論評を表明するものです。
公共の利害に関する場合の特例では、その要件の一つに「摘示された事実が真実であると証明されたこと(真実性)」が挙げられています。
意見・論評は「事実」に当たりませんが、その前提となる事実の重要な部分が真実であると証明されれば、真実性の要件を満たすと解されています(最高裁平成9年9月9日判決)。
したがって、口コミの前提となる事実が重要な部分について真実であると投稿者が証明すれば、公共の利害に関する場合の特例によって名誉毀損罪が不成立となります。
また、口コミの前提となる事実が重要な部分が真実でなくても、それが真実であると誤信したことにつき確実な資料・根拠に照らして相当の理由がある場合には、犯罪の故意が否定されて名誉毀損罪が不成立となります(最高裁昭和44年6月25日判決)。
ただし、民事上の名誉毀損(不法行為)との関係では過失があると判断され、損害賠償責任を負う可能性があるので注意が必要です。
たとえば口コミサイトにおける飲食店の紹介ページに、「店員に怒鳴られて不快な思いをしたので、二度と行かない」という内容の口コミを投稿したとします。
怒鳴られたことが真実であると証明できる場合(=真実性が認められる場合)は、そのことを閲覧者に向けて注意喚起する点で公共性・公益性もあると考えられるため、上記のような口コミを投稿しても名誉毀損に当たらないと考えられます。
これに対して、怒鳴られたことが真実であると証明できない場合は、店舗や店員の社会的評価を不当に下げる口コミと判断され、刑法上の名誉毀損罪や民事上の名誉毀損(不法行為)の責任を負う可能性が高いです。
投稿した口コミの中に、他人の私生活上の事実を勝手に暴露する内容が含まれていると、プライバシー権侵害によって不法行為に基づく損害賠償責任を負うことがあります(民法709条)。
「プライバシー権」とは、私生活上の事柄をみだりに公開されない法的保障・権利です。
また、開示・訂正・削除請求などを通じて、自己に関する情報をコントロールする権利もプライバシー権に含まれるとする見解が有力に主張されています。
以下の要件をすべて満たす行為をした場合は「プライバシー権侵害」が成立し、被害者に対して不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任を負うと考えられます(東京地裁昭和39年9月28日判決参照)。
たとえば口コミサイトにおける会社の紹介ページに、「この会社の社長は子どもをA小学校に通わせている」という内容の口コミを投稿したとします。
子どもをどこの小学校に通わせているかについては私生活上の事実であり、かつ一般人の感受性を基準にして公開を欲しないであろうと認められます。
そのため、「子どもをA小学校に通わせている」ことを社長自ら公表している場合などを除き、上記のような口コミはプライバシー権侵害に当たると考えられます。
たとえば以下のような口コミを投稿すると、脅迫や業務妨害によって不法行為に基づく損害賠償責任を負うほか、脅迫罪・偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪などによって処罰されるおそれがあります。
なお、業務妨害に当たる口コミについては、名誉毀損罪などが併せて成立する場合もあります。
インターネット上に投稿した口コミについて、店舗や施設などの運営者から訴えられてしまった(=民事訴訟を提起された)場合は、大まかに以下の流れで手続きが進みます。
原告によって民事訴訟が提起されると、被告には裁判所から訴状が送達されます(民事訴訟法138条1項)。
訴状には、原告が主張する請求の内容やその根拠が記載されています。
被告はその内容を確認した上で、適切に反論することが求められます。
訴状が送達される際に、裁判所は被告に対して、訴状に対する反論を記載した「答弁書」の提出期限を指定します。
被告としては、裁判所に指定された期限までに答弁書を提出しましょう。
その際、答弁書に記載した反論・事実の根拠となる証拠資料も併せて提出します。
なお、答弁書では請求の棄却を求める旨のみを記載し、詳しい反論は別の書面(=準備書面)でおこなう例もよく見られます。
「口頭弁論期日」とは、裁判所の公開法廷でおこなわれる審理の期日です。
原告と被告はそれぞれ口頭弁論期日に出席し、裁判所による訴訟指揮の下で主張・立証をおこないます。
口頭弁論期日における主張・立証は、実務上書面によっておこなうのが一般的です。
被告は答弁書・準備書面・証拠資料などを用いて、原告の請求・主張に理由がないことを示すことが求められます。
また、書面の証拠調べが完了した段階で、人証(証人・当事者)に対する尋問がおこなわれることもあります。
尋問は、原告・被告・裁判所がそれぞれ質問する形で進められます。
なお、公開法廷でおこなわれる口頭弁論期日の間に、争点・証拠の整理や和解期日がおこなわれることもあります。
口頭弁論期日における審理を円滑に進めるため、期日間において争点・証拠の整理をおこなう期日が設けられることがあります。
争点・証拠の整理は、「弁論準備手続」または「書面による準備手続」によっておこなわれます。
法廷以外の準備室などにおいて、争点・証拠の整理をおこないます。
人証の尋問はできませんが、書証の証拠調べをおこなうことは認められています。
なお、遠方にいるなどの理由で現地での参加が難しい当事者は、電話会議システム(オンライン)によって参加することも可能です。
両方の当事者が出頭することなく、準備書面の提出などによって争点・証拠の整理をおこないます。
必要に応じて、電話会議システム(オンライン)によって協議することも認められています。
裁判所は、民事訴訟の途中で当事者に対して和解を提案することができます(民事訴訟法89条1項)。
早期・円満に紛争を解決できる点が、和解のメリットです。
和解内容の調整が必要と思われるときは、和解期日が開催されます。
和解期日では、裁判所が原告・被告のそれぞれから個別に主張や希望を聞き取り、和解内容を調整します。
最終的に原告・被告の双方が和解内容に合意したら、その内容をまとめた和解調書が作成され、訴訟が終了します。
和解調書には、確定判決と同一の効力が認められています(民事訴訟法267条)。
一方、和解が不成立となった場合には口頭弁論期日に戻るか、または口頭弁論が終結されて判決に移ることになります。
和解が得られる見込みがない場合は、裁判所が判決を言い渡します。
事案の内容によりますが、口頭弁論終結の1~2か月程度後に判決が言い渡されるケースが多いです。
判決が言い渡された後、裁判所から当事者に判決書が送達されます(民事訴訟法255条1項)。
判決の内容に不服がある当事者は、上級裁判所に控訴することができます。
第一審が地方裁判所の場合は高等裁判所、第一審が簡易裁判所の場合は地方裁判所が控訴先となります。
ただし、控訴状は第一審の裁判所に提出する必要がある点に注意が必要です。
控訴の期限は、判決書の送達を受けた日の翌日から起算して2週間です(民事訴訟法285条)。
また、控訴審判決に不服がある当事者は、さらに上告をすることができます。
控訴審が高等裁判所の場合は最高裁判所、控訴審が地方裁判所の場合は高等裁判所が上告先となります。
ただし、上告状は控訴審の裁判所に提出します。
上告の期限は控訴と同じく、判決書の送達を受けた日の翌日から起算して2週間です(民事訴訟法313条、285条)。
控訴・上告の期限が経過するか、または上告審判決が言い渡された場合には、判決が確定します。
インターネット上に投稿した口コミについて、店舗や施設などの運営者から訴えられてしまったときは、以下の各点に注意して対応しましょう。
民事訴訟の手続きには、専門的な検討と対応が必要になります。
自力で調べながら対応するのは非常に大変ですし、適切な対応ができずに不利な判決が言い渡されてしまうおそれもあります。
そのため、インターネット上に投稿した口コミについて訴えられてしまったら、速やかに弁護士へ相談・依頼しましょう。
弁護士に依頼すれば、専門的な民事訴訟の手続きにも適切かつスムーズに対応してもらえます。
相手方の損害賠償請求などには、法的根拠があるとは限りません。
たとえば相手方が名誉毀損を主張していても、公共の利害に関する場合の特例の要件を満たしているために、名誉毀損が成立しない場合もあります。
インターネット上に投稿した口コミについて訴えられてしまったときは、裁判所から送達される訴状の内容を確認して、相手方の請求・主張の当否を法的な観点から慎重に検討すべきです。
弁護士に相談しながら、和解に応じるのか、それとも徹底的に反論するのかなどの方針を立てましょう。
訴訟において裁判所に提出する答弁書・準備書面・証拠資料などの内容は、十分に検討・精査しなければなりません。
裁判所に提出した書面・証拠はすべて判決の基礎となるので、不用意な主張をおこなうと不利益に働くおそれがあります。
弁護士と協力して、法的に説得力のある反論を裁判所に提出しましょう。
相手方に指摘された口コミが違法と思われる場合は、訴訟が判決まで進めば敗訴してしまう可能性が高いです。
全面的に敗訴してしまうよりも、訴訟の途中で和解に応じた方が、損害賠償の金額を抑えられることがあります。
弁護士に相談しながら、受け入れられる合理的な和解案の水準を検討しておきましょう。
そうすれば、訴訟が進行して裁判所から和解を提案された際に、諾否を適切に判断することができます。
インターネット上に投稿した口コミの違法性を指摘され、相手方に訴えられてしまったら、すぐに弁護士へ相談しましょう。
弁護士と協力して対応すれば、早期かつ合理的にトラブルを解決できる可能性が高まります。
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