名誉毀損
名誉毀損の証拠には何が必要?訴訟を起こすために用意すべきものとは
2024.08.01
Google(以下、グーグル)上のネガティブな口コミは、内容次第では「名誉毀損」を理由に削除できる可能性があります。
また、名誉毀損をされた場合は、その発信者を特定して損害賠償を請求したり、刑事告訴をして処罰を求めたりすることもできます。
ただし、これらは別々の手続きなので、何がしたいのかで対応すべきことが変わります。
本記事では、グーグルのネガティブな口コミに悩んでいる方に向けて、グーグルで削除対象となる口コミの内容、口コミを削除する4つの方法、発信者を特定して名誉毀損で訴えるまでの流れを解説します。
あわせて、弁護士に依頼するメリットなども紹介するので、グーグルの口コミトラブルを解決するために、本記事を役立ててください。
ネガティブな口コミによる嫌がらせを受けており、投稿者を訴えられるかわからず悩んでいませんか?
結論からいうと、グーグルの口コミは内容によって名誉毀損と認められる場合があります。弁護士に相談・依頼すれば、名誉棄損に当たるかを判断することができます。
そのほか、弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます。
当サイトでは、名誉毀損問題の解決を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。
無料相談はもちろん、電話で相談が可能な弁護士も多数掲載していますので、まずはお気軽にご相談ください。
名誉毀損とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立する犯罪です(刑法第230条)。
インターネット掲示板やSNSなどへの書き込みも対象であり、グーグルマップの口コミも内容次第では名誉毀損罪に該当する可能性があります。
ここでは、名誉毀損に該当し削除対象となる口コミとそうでない口コミについて確認しましょう。
(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法 | e-Gov法令検索
口コミで名誉毀損が成立するかどうかは、以下の点から判断されます。
上記の全てに該当する場合は、名誉毀損として投稿削除や損害賠償請求などができる可能性があります。
ただし、例外として以下に該当する場合は、上記の成立要件を満たしていても名誉毀損が成立しない可能性があります。
具体的にどのような内容の口コミが該当するのかについては、次の項目で詳しく解説します。
以下のような口コミは名誉毀損に該当する可能性が高いため、削除が認められるでしょう。
以下のような口コミは名誉毀損に該当しない可能性が高いため削除するのが難しいでしょう。
「ボリュームの多さ」「待ち時間の長さ」「場所のわかりやすさ」などは個人によって評価が変わります。
そのため、口コミに書かれても名誉毀損に該当する可能性は低く、その投稿を削除できないことが多いといえます。
もし口コミを削除できなかった場合は、丁寧に謝罪し今後の改善策などと一緒に返信することをおすすめします。
グーグルの口コミには、コメントを投稿せずに5段階の評価だけをつけることもできます。
しかし、この評価は名誉毀損の構成要件である「事実の摘示」に該当しないため、評価1の投稿だけでは名誉毀損が成立しているとはいえません。
もっとも、名誉毀損ではなく「いたずら」や「嫌がらせ」などで削除申請することはできるでしょう。
グーグルの口コミを削除する方法には、検索結果から削除依頼を出す方法や法的手続きで削除する方法など、いくつかあります。
ここでは、グーグルの口コミを削除する方法について確認しましょう。
グーグルの検索結果から削除依頼を出す手順は、以下のとおりです。
ナレッジパネルは、ナレッジグラフに存在する対象(人、場所、組織、物事など)を検索したときに Google に表示される情報ボックスです。あるトピックに関する概要を簡単に確認できるようにするためのものであり、ウェブ上で利用可能なコンテンツについて Google が把握している内容に基づいています。
引用元:ナレッジパネルについて – ナレッジパネル ヘルプ
グーグルマップから削除依頼を出す手順は、以下のとおりです。
グーグルビジネスプロフィール(旧グーグルマイビジネス)から削除依頼を出す手順は、以下のとおりです。
グーグルの口コミを削除したい場合、任意での削除申請だけでなく、裁判所に「投稿記事削除の仮処分命令」を申し立てるという方法もあります。
申し立て後に裁判官と面談し、裁判所が「削除する理由がある」と認めた場合には、担保金を納めることで仮処分命令が出されます。
これにより名誉毀損に該当する口コミを削除できます。
グーグルの口コミ投稿者を名誉毀損で訴えたい場合、まずは「発信者情報開示請求」で加害者を特定する必要があります。
ここでは、グーグルの口コミ投稿者を特定して、損害賠償請求をするまでの流れを確認しましょう。
グーグルへの発信者情報開示請求では、任意開示に応じてもらえないことが多いため、基本的には法的手続きをおこなう必要があります。
相手方は米国法人Google LLCになるため、東京地方裁判所に発信者情報開示仮処分命令の申し立てをおこないます。
裁判所から仮処分命令が出たら、グーグルから発信者のIPアドレスなどが開示されます。
①でグーグルから開示されたIPアドレスを参考に、加害者が利用しているプロバイダを特定します。
プロバイダとはインターネット接続事業者のことで、AsahiNet・OCN・So-net・@nifty・BIGLOBE・plalaなどがあります。
プロバイダは「WHOISサービス」や「IP SEARCH」などのオンラインサービスを利用して特定できます。
②の工程で特定したプロバイダに対して発信者情報開示請求をおこないます。
プロバイダに対する発信者情報開示請求にも任意開示と法的手続きの2種類がありますが、プロバイダが任意開示に応じることは少ないため、基本的には裁判所に発信者情報開示請求訴訟を提起する必要があります。
通常は2回~3回程度の期日で終了することが多く、勝訴判決が得られると、プロバイダから発信者の氏名や住所などの個人情報が開示されます。
③で開示された発信者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をおこないます(民法第709条、第710条)。
この損害賠償請求は、まずは示談交渉でおこない、示談が成立しなかった場合は訴訟などに移行するのが通常の流れです。
名誉毀損の慰謝料相場は、事案によって異なりますが、事業主の場合は50万円~100万円程度とされています。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限方法では、サイトの運営会社への発信者情報開示請求とプロバイダへの発信者情報開示請求を1回の手続きでおこなえるようになりました。
従来の方法では、投稿者の特定までに数ヵ月程度の期間がかかっていた一方、新しい手続きでは1ヵ月~2ヵ月程度での特定が望めます。
なお、従来の方法と新しい方法のどちらを利用するかは自由に選択できるため、どちらを利用するべきかわからない方は弁護士に相談しながら進めるとよいでしょう。
グーグルの口コミの削除申請をするだけなら、自力で対応することも可能です。
しかし、発信者情報開示請求などの法的手続きが必要になった場合には、インターネットトラブルが得意な弁護士に相談・依頼したほうが迅速な解決が望めます。
ここでは、グーグルの口コミトラブルを弁護士に相談・依頼するメリットを確認しましょう。
名誉毀損罪が成立するには事実を摘示して名誉を毀損している必要がありますが、この名誉を毀損しているか・社会的評価を低下させたかを判断するのは素人では困難です。
また、名誉毀損に該当していても、違法性阻却事由が認められるケースもあります。
弁護士に相談すれば、口コミが名誉毀損に該当しているかを正確に判断してくれます。
(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
引用元:刑法 | e-Gov法令検索
グーグルの口コミは、店舗選びの際に見られることもよくあります。
そのため、名誉毀損するような口コミが残っていると、それを見た人が「行くのをやめておこう」と判断する可能性があり、売上などに悪影響が出てしまいます。
インターネットトラブルが得意な弁護士に依頼すれば迅速な削除が期待でき、名誉毀損による被害の拡大防止が望めます。
グーグルの口コミの投稿者を特定し、その加害者に損害賠償請求をするためには、発信者情報開示請求訴訟や損害賠償請求訴訟などが必要になることもあります。
このような法的手続きでは専門的な知識や経験が必要になるため、弁護士に一任するのがおすすめです。
弁護士に依頼することで、少ない負担で加害者を特定できたり、損害賠償を請求できたりするでしょう。
もし「グーグルに投稿した口コミは名誉毀損だ」と訴えられた場合、加害者側はどのような対応を取るべきなのでしょうか。
ここでは、名誉毀損で訴えられた場合の加害者の対応について解説します。
名誉毀損は犯罪行為であるため、被害者が刑事告訴した場合は捜査機関に逮捕・起訴されるリスクがあります。
できるかぎり穏便に問題解決するためにも、早い段階で被害者に十分謝罪し、示談の成立を目指すのが望ましいでしょう。
特に、被害者が告訴状を出す前に示談が成立すれば、刑事手続きに移行することなく事件を終了させられるでしょう。
名誉毀損に該当するような口コミを書いてしまった場合、刑事事件が得意な弁護士に相談・依頼するのもおすすめです。
弁護士に相談・依頼すれば、口コミが名誉毀損に該当するかどうかを判断してくれますし、被害者との示談交渉なども一任できます。
また、もし逮捕されたとしても早い段階から弁護士によるサポートが受けられます。
口コミには広告効果が期待できるため、ポジティブな口コミが書き込まれれば売上アップに役立ちます。
しかし、ネガティブな口コミを書き込まれてしまうと、来客や売上が減ってしまうリスクがあります。
特に、名誉毀損に該当するような悪質な書き込みは、大きな被害拡大につながる可能性があります。
グーグルの口コミに名誉毀損に該当するような内容を書き込まれた場合は、できるかぎり早くインターネットトラブルが得意な弁護士に相談して対処することをおすすめします。
【参考】
・口コミ対策・MEO対策(GoogleMapの口コミ・マイビジネス削除) | 株式会社ルミネージ
・Googleマップに悪い口コミを書かれた場合の対処法|ひどい悪口はどうする? | デジマーケ|SEO、サイト制作、集客方法メディア
・【初心者】Googleの口コミを削除したい!削除依頼・非表示の手順を図解解説 | リバログ